Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』を観る

今日のキネ旬シアターは東京タワー オカンとボクと、時々、オトンでした。

f:id:lynyrdburitto:20181028111613p:plain

 

監督:松岡 錠司

原作:リリー・フランキー

主演:オダギリジョー樹木希林内田也哉子小林薫松たか子

制作:日本 2007年公開

 

樹木希林追悼記念での公開でした。

 

過去と現在が交錯しながらドラマは進行します。

1960年代。ボク (オダギリジョー)は自由で勝手気ままなオトン(小林薫)に愛想をつかしたオカン(樹木希林内田也哉子)と共にオカンの実家、九州・筑豊の炭鉱町に引っ越し暮らし始めました。オカンは妹の小料理屋を手伝いを始めました。四姉妹仲良く楽しく暮らしていました。ボクはすっかりはじけました。

 

1970年代、ボクは家を出たくなり高校進学を大分の美術学校に決め、家を出ました。オカンの仕送りで学校に通いますが、オカンのいう通りに見事にだらしのない生活を送ります。そして今度は大学進学。憧れの東京へ。武蔵野美術大学に入学しました。

 

オカンの仕送りで暮らしますが、相変わらずだらしのない生活ぶり。留年して何とか卒業はしたものの、就職もせずサラ金から借金する始末。しかし貸してくれるところはもありません。しかたなくオカンに金の無心をしようと、久しぶりに連絡をとったら、オカンは癌の手術をして入院したことを知らされました。ボクがオカンに心配をかけまいと連絡しなかったいっぽう、オカンの方も心配をかけたくなくて連絡をしなかったのでした。

 

これでボクは目が覚めました。心を入れ替えイラストレーター兼コラムニストとして今までの人生を取り戻すかのように働き出し、借金も返済し、何とか生活のめども立ってきました。そして彼女・ミズエ(松たか子)も出来ました。

 

ボクはオカンに東京で一緒に暮らそうと誘います。東京案内をしながら、そのうち落ち着いたらミズエと3人で東京タワーに登ろうと約束します。オカンは料理好きで社交的なのでボクの友だちが毎日のようにやってきて、それはそれは賑やかな日々が始まりました。

 

しかし、そんな時にオカンの癌が再発してしまいます。もはや手術は出来ず抗がん剤治療に踏み切ります。オカンは抗がん剤の副作用に悲鳴をあげます。ボクはそんなオカンを見るに忍びず、抗がん剤の治療を断念しました。これで死期は早まります。しかし穏やかな日々がやってきました。オトンも久しぶりにやってきて、楽しいひと時を過ごします。

 

やがてオカンはボクとオトンが見守る中、「ありがとう」と口を動かし、息を引き取りました。オカンが残した箱の中にはボクへのお別れの言葉が記されていました。そしてミズエ宛の手紙も入っていました。

 

ボクは一緒に東京タワーに登る約束を果たせなかったことを後悔し、位牌をもってミズエと共に東京タワーにのぼり、眼下の東京の街を眺めるのでした。ミズエもオカンの手紙を読みながら東京の風景を眺めるのでした。

 

 

最近の涙腺の弱さは、この映画でも涙を止められませんでした。子を思う母親の気持ちと親を思う子の気持ちが見事に表現されています。

これは一つには樹木希林の演技力によるものだと思います。癌に侵された樹木希林の最期とオカンの最期がダブってきてしまいます。

オカンの過去と現在を実の親子が演じています。よく似ているし、何か妙な気持ちになってしまいました。オトンは自由気ままで全く内田裕也そのもののようです。オカンとオトンの別居生活もなにやら実生活を思わせるようでした。

 

ただ一つ腑に落ちないところがあります。オカンが入院したときにはボクはミズエとは既に別れています。それでもお見舞いに来たり、葬儀を手伝っています。オカンが初めてオトンにもらった指輪もミズエにあげています。何故別れたのかが全く分からず、また最後にミズエがもらった手紙には何が書いてあったのか、興味が尽きないところです。別れてもなお、相手の親には会いに行くというのは、やはりこのオカンが余程魅力があったのでしょうね。このあたりのことはリリー・フランキーの原作を読めばわかるのでしょう。

 

話は変わりますが、ボクが東京へ出てきてからの自堕落な生活ぶりはまるで私自身の姿を見ているようでした。それでも何も知らずにせっせと仕送りしてくれた、今は亡き両親を思うと、今更ながらに頭が下がる思いです。そんな感情が一層涙を誘ったのでしょう。

 

この映画は親子の関係をもう一度振り返ってみる機会を当ててくれました。

 

出演した俳優陣が凄いです。チョイ役で有名俳優がいっぱい出て来ます。名前が出て来ません。

 

 


東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

 

それでは今日はこの辺で。