イギリスのボブ・ディランと呼ばれた男、ドノヴァン(Donovan)は1946年、スコットランドのグラスゴー出身です。
イギリスのフォークソングを愛する両親の影響で14歳からギターを始め、その後旅行をしながら友人のジプシー・デイヴと歌い始めました。
1964年にパイ・レコードと契約し、1965年にファーストアルバム『What's Bin Did and What's Bin Hid』をリリースします。この後タイトルが『Catch the Wind』に変更されます。
このアルバムはイギリスで3位、全米でも30位と好評でした。中身はまだウッディ・ガスリーやジャック・エリオットの影響が大でした。またボブ・ディランとの比較が騒がれ出しました。シングルの「Catch the Wind」はイギリスでもトップ5に入る大ヒットとなりました。
この年にボブ・ディランがイギリスにやってきます。後のディランの映画『Don't Look Back』にはドノヴァンの名前が頻繁に出て来ます。また二人の会話シーンもあります。
その年、セカンドアルバム『Fairytale』がリリースされます。
このアルバムはイギリスで20位、全米では85位でした。
そして1966年に大ヒットアルバム『Sunshine Superman』がリリースされます。
この頃になると、ドノヴァンはアメリカの西海岸の音楽に興味を持ち、それまでのフォークソングからロック、ジャズ、サイケデリックといった音楽を取り入れるようになりました。そして出来上がったのがこのアルバムでした。全米で11位を記録しました。タイトル曲は全米1位を獲得しました。但し、契約の関係でイギリス本国の発売は1967年にずれ込み、順位も25位でした。
そして1967年に4枚目のアルバム『メロー・イエロー(Mellow Yellow)』がリリースされました。
Side A
2.Writer in the Sun
3.and and Foam
4.The Observation
5.Bleak City Woman
Side B
1.House of Jansch
2.Young Girl Blues
3.Museum
4.Hampstead Incident
5.Sunny South Kensington
レコーディングメンバーにはペンタングルのダニー・トンプソン(Danny Thompson,b)、マハヴィシュヌ・オーケストラのジョン・マクラグリン(JJohn McLaughlin)、レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Johnes,b)、ショーン・フィリップス(Shawn Phillips,sitar)などが参加しています。
そしてジャズ・ピアニストのジョン・キャメロン(John Cameron,p)が前作に引き続き参加しています。
プロデュースはこれも前作に引き続きミッキー・モスト(Mickie Most)です。彼はアニマルズやヤードバーズを手掛けていました。タイトル曲はビルボード2位を記録しました。アルバムも全米で14位になりました。なぜかイギリスでは発売されませんでした。
この曲はドノヴァンがビートルズの「イエロー・サブマリン」の作詞を手伝ったお礼にポール・マッカートニーがバッキング・ヴォーヵルで参加したということになっていましたが、実はベースで参加していたようです。この曲はドラッグ礼賛の曲で、サイケデリックな感じプンプンです。
この後、ドノヴァンは薬物使用で逮捕されます。主に大麻でした。それはこれまでの彼の曲、「サンシャイン・スーパーマン」や「メロー・イエロー」以外のその他の曲にも反映されていました。
そしてドノヴァンはビートルズのメンバーやビーチボーイズのメンバーとインドを訪れ、薬物の放棄を決意しました。
その後のドノヴァンはシングル「There Is A Mountain」をリリースします。これはアールマン・ブラザースの「マウンテン・ジャム」のヒントになった曲です。
1968年にはシングルヒット『Hurdy Gurdy Man』を含む同名のアルバムをリリースします。
ここには後のレッド・ツェッペリンのメンバーが参加しており、ツェッペリンの結成の契機になったと言われています。
1970年代に入ると、ドノヴァンはファンタジックな世界へと入っていきます。1971年に2枚組アルバム『HMS Donovan』をリリースします。これは1967年の『A Gift from a Flower to a Garden』に続く子供向け作品です。
初めて聴いた時は、なんじゃこりゃ、と思いましたが聴いているうちにまったりして嵌ってしまいました。
1973年の11枚目のアルバム『Cosmic Wheels』を最後にヒット・チャートからは遠ざかるようになりました。
この後は散発的にアルバムを出しているようです。
1960年代後半、ブリティッシュ・フォークおよびロックに多くの影響を与えた存在であったことは間違いありません。
Donovan - Mellow Yellow (Audio)
それでは今日はこの辺で。