Flying Skynyrdのブログ

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聴き比べ ディランの『ラブ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット(Love Minus Zero/No Limit)』

今日の「聴き比べ」は『ラヴ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット(Love Minus Zero/No Limit)』です。

ボブ・ディラン(Bob Dylan)が1965年に発表した5枚目のアルバム『Bringing It All Back Home』に収録された曲です。ディランがフォークからフォークロックへと向かった最初のアルバムです。

この曲は当時の恋人で後に結婚するサラ・ラウンズに捧げた曲だとされていますが、この頃のディランの詩の内容は単純には受け止められるものではなく、ディラン分析学者が存在したというぐらい難解な詩を書いていました。この曲も単純なラブソングではありません。そもそもタイトルが意味不明です。(Love-0)÷無限大です。さて答えは?

私などは途中からディランの詩については深く考えないことにしました。ただ感じるままに解釈しています。ディランのボーカルも楽器の一種として聴いています。

1978年の初来日公演でもこの曲を歌っていたたのを憶えています。この曲はあまたあるディランの曲の中でも、最も美しいメロディーを持った曲の一つではないかと思います。

 

Love Minus Zero/No Limit

by Bob Dylan

 

My love she speaks like silence

Without ideals or violence

She doesn't have to say she's faithful

Yet she's true, like ice, like fire

People carry roses

And make promises by the hours

My love she laughs like the flowers

Valentines can't buy her.

 

In the dime stores and bus stations

People talk of situations

Read books, repeat quotations

Draw conclusions on the wall

Some speak of the future

My love she speaks softly

She knows there's no

success like failure

And that failure's no succes at all.

 

The cloak and dagger dangles

Madams light the candles

In ceremonies of the horsemen

Even the pawn must hold a grudge

Statues made of match sticks

Crumble into one another

My love winks, she does not bother

She knows too much to argue or to judge.

 

The bridge at midnight trembles

The country doctor rambles

Bankers' nieces seek perfection

Expecting all the gifts

that wise men bring

The wind howls like a hammer

The night blows cold and rainy

My love she's like some raven

At my window with a broken wing.


Bob Dylan - Love Minus Zero (Audio)

 

この曲も多くの人がカバーしています。今日は懐かしいところを幾つか取り上げます。

 

まずはタートルズ(The Turtles)です。彼らの1965年のデビューアルバム『It Ain't Me Babe』でカバーしました。彼らもザ・バーズと並んでフォークロックの先駆けでした。この「悲しきベイブ(It Ain't Me Babe)」ボブ・ディランの4枚目のアルバム『Another Side Of Bob Dylanに収められた曲です。さらに「ライク・ア・ローリング・ストーン(Like A Rolling Stone)」までカバーして、このアルバムだけで3曲もディランの曲をカバーしました。まさにザ・バーズと並んでフォークロックのスタートでした。このタートルズの「悲しきベイブ」は全米で8位になりました。タートルズはこの後「ハッピー・トゥゲザー」で全米1位の世界的大ヒットを飛ばします。

 


The Turtles - Love Minus Zero

 

次はウォーカー・ブラザーズ(The Walker Brothers)です。同じく1965年のデビューアルバム『Take It Easy With The Walker Brothers』に収録されました。「太陽はもう輝かない」「ダンス天国」「孤独の太陽などのヒット曲で、日本でも大人気でした。スコット・ウォーカーが今年3月に76歳で亡くなっています。


The Walker Brothers - Love Minus Zero

 

次はリック・ネルソン(Ricky Nelson)です。1971年のアルバム『Rudy The Fifth』でカバーしました。このアルバムは聴き比べ「ホンキー・トンク・ウィメン」にも登場しました。このアルバムではその他ディランの「女の如く(Just Like a Woman)」もカバーしています。


Ricky Nelson Love Minus Zero/No Limit

 

この他、エリック・クラプトン(Eric Clapton)ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)などがボブ・ディランへのトリビュート・アルバムでカバーしています。

   


Eric Clapton - Love Minus Zero / No Limit (Live)


Jackson Browne - Love Minus Zero No Limits

 

各自、大袈裟なアレンジはなく、オリジナルに忠実に歌っています。

 

それでは今日はこの辺で。