今日の「この人の、この1枚」はイアン & シルヴィア(Ian & Sylvia)の『朝の雨(Early Mornig Way)』です。
フィル・オクス、ピーター・ポール & マリーと続いたら、この人たちを書かねばなりません。
カナダ人のイアン・タイソン(Ian Tyson)とシルヴィア・フリッカー(Sylvia Fricker)は出身がカナダの東部と西部と離れていましたが、1959年に知り合い、音楽活動を共にし、1960年頃にはニューヨークに住むようになりました。
イアンは西部(ブリティッシュ・コロンビア州)出身で元は画家志望でしたが、小さいころから好きだったフォークソングへのあこがれが捨てきれず、歌手になりました。そこでやはりフォークソングを歌っていたシルヴィアと知り合ったのです。
シルヴィアは東部(オンタリオ州)出身で、学校の音楽教師だった母親の教えで音楽に興味を持ち、特にフォークソングに惹かれました。
ニューヨークでPPMのマネージャーやプロデュースをしていたアルバート・グロスマンに見いだされ、ヴァンガード・レコードと契約します。アルバート・グロスマンはボブ・ディランのマネージャーとしても知られています。
1962年に彼らのファースト・アルバム『Ian & Sylvia』がリリースされました。
カナダにはフランス系の民謡とイギリス系の民謡がありますが、この二人はどちらかというとアメリカのカントリー&ウェスタンに強く影響を受けていました。
1964年にセカンド・アルバム『Four Strong Winds』とサード・アルバム『Northern Journey』がリリースされました。そして2人は結婚しました。
セカンド・アルバムではボブ・ディランのカバー曲を取り上げています。「Tommorow is a Long Time」です。このアルバムがカナダでヒットし、彼らは人気者になりました。この頃から少しづつオリジナルも増え、ヒット曲も出始めました。それまではトラディショナルがほとんどでした。
そして1965年に4枚目のアルバム『朝の雨(Early Mornig Way)』がリリースされます。
Side A
1.Early Morning Rain
2.Nancy Whiskey
3.Come In Stranger
4.Awake Ye Drowsy Sleepers
5.Marlborough Street
6.Darcy Farrow
Side B
1.Song For Canada
2.Red Velvet
3.Maude's Blues
4.I'll Bid My Heart Be Still
5.Travelling Drummer
6.For Lovin' Me
シルヴィア・フリッカー(Vocals, Autoharp)
イアン・タイソン(Vocals, Guitar, Twelve-String Guitar)
モンティー・ダン(Monte Dunn,Guitar)
ラス・サヴァカス(Russ Savakus,Bass)
このアルバムは日本での3枚目になります。『第3集』というタイトルがついています。セカンド・アルバムが発売されなかったようです。
A1はPPMも取り上げていたゴードン・ライトフットの曲です。
A3はジョニー・キャッシュの曲です。この辺にもカントリーへの憧憬が伺えます。
A5はイアンのオリジナル。
B2もイアンのオリジナル。
B3はシルヴィア作のブルース。
B6はこれもカナダ人のゴードン・ライトフットの曲です。
その他はトラディショナル曲が多くを占めています。
このアルバムはビルボードでも77位と健闘しました。シングルの「朝の雨」はカナダで1位になりました。
その後、何枚かのアルバムをリリースしカントリーロックへと向かいます。そして1975年に二人は離婚し、デュオは解散しました。
1967年にリリースした『Nashville』はザ・バーズの『ロデオの恋人』よりも数か月前に発売されました。これがカントリー・ロックの草分けかもしれません。
CD時代になって彼らの未発表曲を含め、多くのコンピレーションが発売されました。根強い人気を誇っています。
Ian & Sylvia - Early Morning Rain
Ian & Sylvia - Come In Stranger
それでは今日はこの辺で。