Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

聴き比べ 菊池章子の『星の流れに』

今日の「聴き比べ」は懐メロです。菊池章子『星の流れに』です。

 

この曲は1947年に発売された曲で、作詞は清水みのる、作曲は利根一郎でした。

作詞家の清水は戦後間もない頃、現在の毎日新聞に載ったある女性の手記を読みました。彼女は従軍看護婦で中国の奉天で勤務していましたが、戦後東京に帰国すると、一面焼け野が原、家族も行方不明。彼女は仕事もなく、娼婦へと身を落としていったのです。

清水は彼女の手記を読み、取材を重ね戦争への怒りを込めてこの歌を作りました。発売当初は全く売れなかったようですが、娼婦たちの間で人気が高まり、「こんな女に誰がした」が流行り言葉になり、大ヒットになりました。

その後、映画『肉体の門』やその名も『こんな女に誰がした』でもこの楽曲が使われました。

もちろん、私はリアルタイムでは知りませんが、懐メロ番組でよく観ていたのを憶えています。また「こんな女に誰がした」というフレーズはよく聞きました。

f:id:lynyrdburitto:20210531134132p:plain

f:id:lynyrdburitto:20210531134311p:plain f:id:lynyrdburitto:20210531134340p:plain

 

星の流れに

作詞:清水みのる

作曲:利根一郎

 

星の流れに 身をうらなって

どこをねぐらの 今日の宿

荒む心で いるのじゃないが

泣けて涙も かれ果てた

こんな女に誰がした

 

煙草ふかして 口笛ふいて

あてもない夜の さすらいに

人は見返る わが身は細る

町の灯影の 侘びしさよ

こんな女に誰がした

 

飢えて今頃 妹はどこに

一目逢いたい お母さん

ルージュ哀しや 唇かめば

闇の夜風も 泣いて吹く

こんな女に誰がした

 

菊池章子さんのオリジナル・バージョン。

www.youtube.com

 

ちあきなおみさんがカバーしています。

www.youtube.com

 

藤圭子さんです。

www.youtube.com

 

倍賞千恵子さんです。

www.youtube.com

 

青江三奈さんです。

www.youtube.com

 

実に切ないです。

 

それでは今日はこの辺で。

 

『ニール・ヤング(Neil Young) /Carnegie Hall 1970』入手

ニール・ヤング(Neil Young)Carnegie Hall 1970』を入手しました。

1970年のアコースティック・ライヴです。CD2枚組です。

 

ニール・ヤングのライヴ盤は続々発売され、大変です。このアルバムも昨年の暮れの発売だったと思いますが、やっと買えました。実は安くなるのを待っていたのです。金銭的にも余裕がないので、CDはだいたい安くなってから買うようにしています。

 

このライヴは1970年12月のライブということで、私の一番好きな大名作『After The Gold Rush』リリース後のライヴでその当時の曲が目白押しです。これは買わないわけにはいきません。

 

Carnegie Hall 1970

Live at Carnegie Hall, New York City; December 4 1970.

 

Disc 1

01.Down By The River

02.Cinnamon Girl

03.I Am A Child

04.Expecting To Fly

05.The Loner

06.Wonderin'

07.Helpless

08.Southern Man

09.Nowadays Clancy Can't Even Sing

10.Sugar Mountain

 

Disc 2

01.On The Way Home

02.Tell Me Why

03.Only Love Can Break Your Heart

04.Old Man

05.After The Gold Rush

06.Flying On The Ground Is Wrong

07.Cowgirl In The Sand

08.Don't Let It Bring You Down

09.Birds

10.Bad Fog Of Loneliness

11.Ohio

12.See The Sky About To Rain

13.Dance Dance Dance

 

Guitar, Harmonica, Piano, Vocals – Neil Young

Producer  by  Neil Young, Niko Bolas

 

音質も問題ありません。若かりしニールの声に思わず涙が浮かんできます。

 

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

 

それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ ジリオラ・チンクエッティの『雨(La pioggia)』

今日の「聴き比べ」はジリオラ・チンクエッティ(Gigliola Cinquetti)『雨(La pioggia)』です。

 

1969年に日本でも大ヒットした曲です。歌ったのはイタリアのカンツォーネ歌手、ジリオラ・チンクエッティです。

彼女は16歳の時にサンレモ音楽祭で優勝した、イタリアでも人気の歌手でした。1966年には「愛は限りなく」が世界中でヒットし、日本の歌手もたくさんカバーして、彼女の名前も知られました。

そんな彼女が1969年に発表した「雨」も大ヒットしました。日本人も多くの歌手がカバーしました。

 

f:id:lynyrdburitto:20210520143733j:plain

 

雨 La Pioggia

作詞:ダニエレ・パーチェ、ジャンニ・アルゲニオ

作曲:ダニエレ・パーチェ、コラード・コンティ

 

Sul giomale ho letto che

Il tempo cambiera,

Le nuvole son nere in cielo

E che i passeri lassu

Non veleranno piu,

Chissa perche.

 

Io non cambio mai

No, non cambio mai.

Puo cadere il mondo ma,

Ma che importa a me.

 

La pioggia

Non begna il nostro amore

Quando il cielo e blu.

La pioggia,

La pioggia non esiste se mi guardi tu.

Butta via l'ombrello, amor,che non serve piu,

Non serve piu, se ci sei tu.

 

Il termometro va giu,

Il sole se ne va,

I'inverno fa paura a tutti

Ma c'e fuoco dentro me

Che non si spegnera

Lo sai preche.

 

www.youtube.com

 

フランス・ギャルが競作です。

www.youtube.com

 

弘田三枝子さんが歌いました。

www.youtube.com

 

園まりさんです。日本語です。

www.youtube.com

 

それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ ミーナの『砂に消えた涙(Un buco nella sabbia)』

今日の「聴き比べ」はミーナ(ミーナ・マッツィーニMina Mazzini))『砂に消えた涙(Un buco nella sabbia)』です。

 

1964年、日本でも大ヒットしました。たくさんの日本人がカバーしました。どちらかと言えばカバー曲の方が有名になったくらいです。

 

f:id:lynyrdburitto:20210511130334j:plain

 

砂に消えた涙 Un buco nella sabbia

作詞:アルベルト・テスタ

訳詞:漣健児

作曲:ピエロ・ソフィッチ

 

Ho fatto un buco nella sabbia per nascondere

Tutto quello che ho nel cuore per te

Ci ho messo dentro tutte quante le mie lacrime

E le bugie che inventavi per me

 

E quando spunta, quando spunterà la luna

Avrò per sempre dimenticato

E quando spunta, quando spunterà la luna

Sarò di un altro innamorata

 

Farai un buco nella sabbia per nascondere

La delusione che ora provi per me

Credevi forse che sarei venuta a piangere

E invece non tornerò più da te

 

E quando spunta, quando spunterà la luna

Avrò per sempre dimenticato

E quando spunta, quando spunterà la luna

Sarò di un altro innamorata

 

Farai un buco nella sabbia per nascondere

La delusione che ora provi per me

Credevi forse che sarei venuta a piangere

E invece non tornerò più da te

 

青い月の光を浴びながら

私は砂の中に

愛の形見をみんなうずめて

泣いたの ひとりっきりで

 

あ一あ-あ-

あなたが私にくれた

愛の手紙、恋の日

それのひとつひとつのものが

いつわりのプレゼント

白い波の打ちよせる海辺で

私は砂の中に

恋の想い出みんなうずめて

泣いたの ひとりっきりで

 

あ-あ-あ-

あなたが私にくれた

甘い言葉 あついキッス

それのひとつひとつのものが

いつわりのプレゼント

青い月の光を浴びながら

私は砂の中に

愛の形見をみんなうずめて

泣いたの ひとりっきりで

 

まずは原語盤で。

www.youtube.com

 

続いて日本語で。

www.youtube.com

 

日本ではなんといっても弘田三枝子さんです。ミーコのカバーがきっかけとなりました。

www.youtube.com

 

続いては伊東ゆかりさんです。

www.youtube.com

 

ザ・ピーナッツも歌っています。

www.youtube.com

 

今は亡き安西マリアさんです。

www.youtube.com

比較的最近では竹内まりやさんです。

www.youtube.com

 

懐かしくて涙が出そうです。

それでは今日はこの辺で。

 

訃報 ジャック・ペラン逝く & ニッキ・パロット(Nicki Parrott)の『枯葉(Autumn Leaves)』入手

今朝の新聞でフランスの俳優であり監督のジャック・ペラン氏が亡くなったのを知りました。80歳でした。コスタ・ガブラス監督の映画『Z』『戒厳令では出演と共に制作にも加わりました。またニュー・シネマ・パラダイスなどでもよく知られた俳優でした。私が特に印象深いのは1968年のマルセル・カミュ監督作品『ふたりだけの夜明け』です。私にしては珍しく恋愛映画です。といっても印象に残っているのは音楽です。このメインテーマがなぜか心に残ったのです。今でも大好きな曲です。

ジャック・ペラン氏のご冥福を心よりお祈りいたします。合掌。

今日は母の命日でもあります。合掌。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

さて、またしてもニッキ・パロット(Nicki Parrott)のアルバムを入手してしまいました。『枯葉(Autumn Leaves)』です。

 

大好きな「枯葉」を取り上げているので思わず買いました。2012年のリリースです。これもヴィーナス・レコードからの発売です。

このアルバムは四季シリーズと銘打ったアルバムの第3弾になります。第1弾が『さくらさくら」、第2弾が『サマータイム』、そして第3弾が本アルバム、第4弾は『ウインター・ワンダーランド』です。

 

 

Autumn Leaves

 

01.Autumn Leaves

02.Early Autumn

03.Autumn In New York

04.Autumn Nocturne

05.Autumn Serenade

06.Autumn In Rome

07.Tis Autumn

08.September Song

09.Lullaby Of The Leaves

10.Willow Weep For Me

11.Maybe September

12.September In The Rain

13.When October Goes

14.Stormy Weather

 

Baritone Saxophone – Lisa Parrott

Bass – Nicki Parrott

Drums – Tim Horner

Guitar – Paul Meyers

Piano – John Di Martino

Tenor Saxophone – Harry Allen

Trombone – James Greening

Vocals – Nicki Parrott

 

Producer – Tetsuo Hara, Todd Barkan

 

先日紹介したFly To The Monn』とドラムスとギターを除いて同じメンバーです。「秋」がテーマということで「Autumun」のつくタイトルが並びます。

ニッキ・パロットのアルバムはこれまでに聴いた限りではハズレはありません。どれも標準以上です。安心して聴けます。彼女のアルバムの魅力はヴォーカルだけでなく演奏陣が素晴らしいということです。うっとりしてしまいます。

 

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

 

それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ ミーナの『太陽はひとりぼっち(Eclisse twist)』

今日の「聴き比べ」はミーナ(ミーナ・マッツィーニMina Mazzini))『太陽はひとりぼっち(Eclisse twist)です。

 

この曲は1962年の映画『太陽はひとりぼっち』の主題歌です。この映画は美男・美女のアラン・ドロンモニカ・ヴィッティ主演で名匠ミケランジェロ・アントニオーニ監督作品です。

私の尊敬する監督さんで、この映画も何度見たかわからないほどです。

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

そしてミーナの歌声が実にいいのです。作詞のアンモニオは監督のペンネームです。

当時、日本でもカバーした人がいました。なんと園まりさんです。

f:id:lynyrdburitto:20210511124941j:plain

f:id:lynyrdburitto:20210511125450j:plain

 

太陽はひとりぼっち Eclisse twist

作詞:アンモニオ 

訳詞:水木かおる

作曲:ジョバンニ・フスコ

 

Le nuvole e la luna
Ispirano gli amanti
Sì, ma per tanti
Compreso me

È ti - p - i - o - logico
Il vero amore
È zo - o - ologico
Fin dentro il cuor

La radioattività
Un brivido mi dà
Ma tu, ma tu
Di più, di più

È ti - p - i - o - logico
Il vero amore
È zo - o - ologico
Fin dentro il cuor

La radioattività
Un brivido mi dà
Ma tu, ma tu
Di più, di più

 

レクレプス……

たそがれのローマ

夏の陽 ローマ

トレヴィの泉

沈む陽よ

 

明日も あさっても

ソレイユ レクリプス

愛の太陽

ただひとつ

 

ひとりぼっちの

あゝ太陽

むなしい恋の

泪のエンジェル

 

明日も あさっても

ソレイユ レクリプス

愛の太陽

ただひとつ

 

ひとりぼっちの

あゝ太陽

むなしい恋の

泪のエンジェル

 

www.youtube.com

 

園まりさんです。

www.youtube.com

 

それでは今日はこの辺で。

 

この人の、この1枚『ジョニー・オーティス(Johnny Otis)/Cold Shot』

今日の「この人の、この1枚」はジョニー・オーティス・ショウ(Johnny Otis Show)『Cold Shot』です。

 

ジョニー・オーティスは1950年代に一世を風靡したミュージシャンであり、作曲家、バンドリーダー、プロデューサー、ディスクジョッキー、テレビ司会者といわゆるマルチタレントです。特にR&B分野ではその後のミュージシャンに大きな影響を与えました。そしてこのアルバムに登場するギタリスト、シュギー・オーティス(Shuggie Otis)は彼の息子で、このアルバムがデビュー・レコードとなります。シュギーについては以前の記事で書いています。

lynyrdburitto.hatenablog.com

ジョニー・オーティスは1921年、カリフォルニア州ヴァレーホの生まれです。ギリシャ移民の子ですが、黒人居住区で育ったせいか自分を白人だと思ったことなどないとまで言い放っています。どうしても黒人になりたくて黒人女性と結婚までしています。

 

1931年頃、カウント・ベイシー楽団のドラマー、ジョー・ジョーンズの演奏に魅せられて、さっそくドラムを独学で覚え、間もなくプロとして活動するようになりました。それ以後はジャズのビッグバンドで演奏し、やがて自分の楽団も持つようになりました。しかし、楽団経営は資金的にも大変で、フル・バンドからコンボに切り替えました。この頃から彼の音楽はジャズからR&Bへと変化していきました。そのバンドにエスター・フィリップスやビッグ・ママ・ソートンなども呼ばれ歌っていました。そして「ハウンド・ドッグ」など数々のヒット曲も生まれました。

ジョニー自身のヒット曲には後にエリック・クラプトンもカバーした「ウィリー&ザ・ハンド・ジャイブ」などがありました。テレビでは「ジョニー・オーティス・ショウ」を主催し、司会も務めたり数々の番組にも出演しました。

 

しかし、1960年代はほとんど活躍しませんでした。それはイギリスのロックが台頭してきて、もはや自分の音楽の出番はないと思ったらしく、表立った活躍はありませんでした。ところが1960年代も末期になると再びR&Bブームが訪れてきました。そしてKENTレコードと契約し、この『Cold Shot』が生まれたという訳です。

 

シュギーは黒人の奥さんとの間にできた子供で、1953年生まれです。幼いころから父親に音楽を叩きこまれ、12歳の頃には父親とステージに立っていたようです。その彼の正式なレコード・デビューになります。これがアル・クーパーに認められ、アル・クーパーとの『クーパー・セッション』が生まれました。

 

このアルバムはジョニーの復帰作であり、シュギーのデビュー作でもあります。

 

f:id:lynyrdburitto:20201001125440j:plain f:id:lynyrdburitto:20201001125512j:plain

 

Side A

1.The Signifyin' Monkey

2.Country Girl

3.I Believe I'll Go Back Home

4.High Heel Sneakers

5.Sittin' Here All Alone

 

Side B

1.C. C. Rider

2.You Better Look Out

3.Goin' Back To L.A.

4.Bye Bye Baby (Until We Meet Again)

5.Cold Shot

 

メンバーは

Vocals,Piano, Drums - Johnny Otis

Guitar, Harmonica - Shuggie Otis

Vocals,Violin - Delmar "Mighty Mouth" Evans

Bass - Al Rivera

Bass - Broadway Thomas

Drums - Hootie Galvan

Drums - Buddy Redd

 

シュギーのギターが唸ります。時代を反映してかブルース色強いアルバムになっています。

 


"Signifying Monkey" by The Johnny Otis Show


Johnny Otis Country Girl


I Believe I'll Go Back Home


Johnny Otis Show - Cold Shot - 1969 - Goin' Back To L.A. - Dimitris Lesini Blues

 

それでは今日はこの辺で。