Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

音楽雑誌のことなど

本棚を整理していたら、いろいろ懐かしい雑誌が出てきたのでちょっと取り上げてみたいと思います。

まずは、『ニューミュージックマガジン』(NMM)。これは1969年4月の創刊だそうです。私は当時高校生で洋楽に嵌りだした頃でした。この翌年から買い始め、その後毎月20年以上購読し続けました。途中から『ミュージックマガジン』と改名されました。90年頃以降、記事がロック以外多岐に亘るようになってきたため90年半ばごろ購読をやめました。家が狭くて保管場所がないというのも大きな理由でしたが。残念ながら80年以降のバックナンバーはすべて処分してしまいました。好きなものをとっておくというのも現実は金がかかるのです。

NMMは中村とうよう氏らによって創刊されました。当時の音楽雑誌には星加ルミ子編集の『ミュージックライフ』というのがあって、写真も多く女の子にも人気ででした。映画雑誌でいうと『スクリーン』ような芸能誌に近いものだったと思います。それとヤマハで出していた『ライトミュージック』というのもありましたね。でも私の場合はそちらの方にはあまり触手が動かず、NNMの方に興味をそそられました。なぜかというとNMMには音楽雑誌なのですが、どこか反体制的なそしてアヴァンギャルドな匂いがしたのです。取り上げられる記事もボブ・ディラン岡林信康など、あるいはロックという音楽の位置づけなども芸能雑誌とは一線を画していました。執筆者は小倉エージ、北中正和萩原健太、日暮泰文などがいたと思います。特に中村とうよう氏の批評は政治から音楽ジャーナリズムまで幅広く、毎回楽しみでした。とうよう氏は2011年に79歳の時に飛び降り自殺をしました。すべてやりつくしたというような遺書が残されていたようです。彼の記事や本には様々なことを教えられました。感謝の一言に尽きます。

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1970年の『ニューミュージックマガジン』。表紙のイラストがすごくいいですよね。確かこの頃の装丁は矢吹申彦だったと思います。本当にいいですね。これだけでも買いたくなってしまいます。値段を見たら160円でした。びっくりです。もっともこの値段だから買えたんでしょうけど。

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1971年頃。この頃は210円。

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1972年頃 フランク・ザッパチャック・ベリーマーク・ボランです。250円位になっていたでしょうか。

ミュージックマガジン社はこの他に『ニューミュージックマガジン年鑑』というのも途中から毎年発行するようになりました。さらに単行本も発行していました。

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1970年代の年鑑。

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1980年代の年鑑・増刊

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単行本。主に中村とうよう氏などの執筆。

 

1982年にNMMの別冊として『レコードコレクターズ』が創刊されました。

編集長はやはり中村とうよう氏です。当初は別冊で隔月発行でした。やがて毎月発行になり別冊の名前も消えました。

この雑誌は最初の数冊はジャズ中心でした。その後ロックも扱うようになり、おもにリイシュー盤が発売される比較的ビッグなアーティストの特集が多かったと思います。

ジャズ中心のころの『レコードコレクターズ』

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ロックも特集するようになりました。ジェファーソンやクリーム。デッドなど。

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この雑誌も30年弱購読しましたが、先の理由で購読を止めてしまいました。

 

 『レコードコレクターズ』にも増刊号がありました。

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この他の雑誌では『ジャズ批評』が出てきました。この雑誌も結構な期間購読しました。

 

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1970年代の『ジャズ批評』

この当時はまだページ数も少なく今の半分ほどの厚さだったのでは。

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こんなブルース特集もやってました。

 

続いて海潮社の『音楽全書』です。季刊でした。これはいい雑誌だと思ったのですが、あっという間に廃刊になってしまったのではなかったでしょうか。(1976年~1977年)

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次は1998年12月創刊の『ストレンジデイズ』です。これは当初CDジャーナルの別冊として発刊されました。今は休刊になっているみたいです。装丁も用紙も高級感漂う雑誌でした。どちらかというとプログレをはじめブリティッシュ系の特集が多かったような印象があります。値段はちょっと高めでした。これも何年か購読しました。

『ストレンジデイズ』の創刊号から3号まで。クーラ・シェイカーが表紙になっていたなんて忘れていました。ブルースロックの特集などもありました。

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あと、『現代思想』で有名な青土社から『音楽の手帖』なる雑誌も出ていました。

クラシックが主ですが、たまにジャズ特集などもやってたのですね。(1979年)

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その青土社の『ユリイカ』の特集でたまに音楽や映画が特集され、そういう時は購入していました。松本俊夫監督も執筆されています。(1980年)

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先ほどのNNMの執筆者、日暮泰文が発行したブルースの雑誌、その名も『ザ・ブルース』なんていうのもありました。その増刊号。レゲエ特集。(1979年)

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あと、たぶん今はもう廃刊になってしまっていると思いますが『カイエ』なんていう雑誌もありました。もちろん音楽雑誌ではありませんが、『ユリイカ』と同じでたまに映画や音楽を取り上げていました。これにも松本俊夫監督が執筆しておられます。(1979年)

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ブロンズ社の音楽雑誌『同時代音楽』。確か1970年代の終わりの頃に創刊されたと思いますがすぐ廃刊になったのではないでしょうか。季刊です。それの臨時増刊号です。(1978年)

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それと最後に『詩の世界』。これは詩の世界社発行です。ボブ・ディラン特集です。執筆メンバーを見たら、今となっては驚きですよね。こうしてみるとボブ・ディランについては詩人として当時から盛んに取り上げられていたのがわかります。ノーベル賞も当然でしょう。(1978年)

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雑誌ではありませんが、やはりクラシック専門の出版社『音楽の友社』からこんな本も出されていました。著名なジャズ評論家の相倉久人の翻訳本です。ブルースにも造詣が深かったです。

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おまけでシンコーミュージックからの単行本です。

日本のフォークアルバムのジャケットがほとんど載っています。URCはよかった。(1992年)

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以上、いろいろ見てきましたが、なぜか映画の雑誌が1冊も残っていません。随分買った記憶があるのですがどうしたのでしょう。憶えていませんが、たぶん処分してしまったのでしょう。もったいない。『キネマ旬報』『映画評論』『映画批評』など、どこへ行ってしまったのでしょう?