今日のキネ旬シアターは『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』でした。
監督:ヴィム・ヴェンダース
制作:ドイツ、アメリカ、フランス、キューバ 1999年公開(日本公開2000年)
ヴィム・ヴェンダース監督特集の3作目です。
およそ20年前の感動が鮮やかに蘇りました。
ライ・クーダーとキューバの老ミュージシャンが作り上げたバンド、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(BVSC)』のドキュメンタリー映画です。
もともとはライ・クーダーが1997年、キューバに旅行に行ったときにキューバの老ミュージシャン達とセッションを行って、彼がいたく気に入りそれらをレコード化しまた。それが世界的な大ヒットアルバムとなったのです。アカデミー賞まで受賞しました。
そして1999年にはヴィム・ヴェンダースがそれに目をつけ、ドキュメント映画を制作するということになりました。
ドキュメンタリーなのでストーリーはありません。バンドがニューヨークのカーネギーホールでのコンサートを開くまでのドキュメントです。メンバーの紹介を織り交ぜながら、革命の跡が残ったキューバの街の風景や人々の表情などを映しながら進んでいきます。そしてメンバーがニューヨークを訪れた時の驚きを撮影しています。
当然、途中で彼らの演奏がたっぷりと聴けます。バンドのメンバーは70代、80代、中には90歳のミュージシャンもいます。それが全員衰えるどころか、生き生きとした演奏を繰り広げます。バンド全体としては20人前後だと思います。ライ・クーダーの息子ヨアキム・クーダーもドラム・パーカッションで参加しています。メンバーの内既に何人かは亡くなっています。
中心メンバーのコンパイ・セグンドはヴォーカルとギターを担当しますが、なんと御年90歳です。ギターとヴォーカルを聴いたらその年なんか忘れてしまいます。90歳でスターになった彼は残念ながら95歳で亡くなりました。
また、ライ・クーダーがキューバのナット・キング・コールだと絶賛したイブライム・フェレールはこの時70歳。素晴らしい美声です。うっとりするくらいのヴォーカルの上手さです。そしてデュエットするオマーラ・ポルトゥオンドはこの時69歳でしょうか。これまた迫力のあるヴォーカルで驚きます。そしてピアノのルーベン・ゴンザレスは80歳です。この人のジャズピアノが素晴らしく、ライ・クーダーのスライドとの競演は震えるほどです。
そしていよいよクライマックスのカーネギーホールでのコンサート。もう背筋がぞくぞくして震えが止まりませんでした。そのくらい素晴らしい演奏と歌声です。
とにかくキューバ音楽というかラテンミュージックは、その哀愁漂うメロディーとノリのいいリズムで日本人の感性にピッタリ合います。
席を立つのを忘れるくらい感動した100分間でした。こんなつまらない文章を書いているのが嫌になります。
ただし、こんなに映像が悪かったかな、と記憶が薄れていたもので、ちょっと意外でした。
この時のライブがCD化されています。
なお、ライ・クーダーについては以前書いていますので参考までに。
Buena Vista Social Club - Chan Chan
Buena Vista Social Club - Candela
それでは今日はこの辺で。