今日の「この人の、この1枚」は『ジャミング・ウィズ・エドワード(Jamming With Edward)』です。
エドワードとはピアニストのニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins)のあだ名です。
ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のメンバーの3人、ミック・ジャガー(Mick Jagger)、ビル・ワイマン(Bill Wyman)、そしてチャーリー・ワッツ(Charlie Watts)とニッキー・ホプキンス、そしてライ・クーダー(Ry Cooder)の5人によるセッション・アルバムです。
このセッションが行われた経緯は、1969年にリリースされたストーンズの『レット・イット・ブリード(Let It Bleed)』のレコーディングのためにニッキー・ホプキンスもライ・クーダーもスタジオにやってきていました。
春ごろからレコーディングか開始されましたが、5月のある日、その日はキース・リチャーズ(Keith Richards)が帰ってしまい、ちょうど残った5人が後日の打ち合わせのためにジャム・セッションをしていたところを、プロデューサーのグリン・ジョンズ(Glyn Johns)がたまたまミキシング・ルームにいてテープを回しとっておいたのです。
それをそのままレコード化することはできず、ストーンズが自身のレーベル、ローリング・ストーンズ・レーベルを発足し、そこからレコード化することになったのです。結局リリースは1972年になってしまいました。
ジャケットの絵はニッキー・ホプキンスによるものです。ニッキー・ホプキンスはローリング・ストーンズのレコーディングの常連でした。その他にもザ・フーのレコーディングやジェフ・ベック・グループ、クイックシルヴァーのメンバーとしても世界的に有名なピアニストです。
ライ・クーダーはこの当時、既にファースト・アルバムをリリースしていましたが多くのミュージシャンのセッションにも参加して名前を売っていました。ミック・ジャガーの主演映画『パフォーマンス』のサントラに参加し、この『レット・イット・ブリード』のレコーディングにも参加しました。
Side A
1.The Boudoir Stomp
2.It Hurts Me Too
3.Edward's Thrump Up
Side tB
1.Blow with Ry
2.Interlude a la El Hopo
3.Highland Fling
パーソナルは
Nicky Hopkins – keyboards, piano
Ry Cooder – guitar
Mick Jagger – harmonica, vocals
Charlie Watts – drums
Bill Wyman – bass guitar
プロデュースはグリン・ジョンズです。
A1はニッキーとライとチャーリー作のブルースナンバー。
A2はエルモア・ジェイムスレコーディングしたブルース・ナンバー。元はタンパ・レッドです。ライのボトルネック・ギターが聴けます。ミックのハープとニッキーのピアノの絡みがいいです。
A3はニッキーとライとチャーリーの曲。タイトルどうり、ニッキーを前面にフューチャーしたナンバー。
B1はライのギターを前面に出したブルースっぽい曲。これも3人の共作。
B2はいかにもセッション向けナンバー。3人の共作。
B3はロックナンバー。
ブートレッグのような音はやむを得ないでしょう。演奏もいかにもジャム・セッションだというのも致し方ありません。ただ歴史的価値は十分だと思います。
一説によると、ライ・クーダーが『レット・イット・ブリード』のレコーディングに際し、ストーンズのメンバーが時間にルーズで嫌気がさし、帰国してしまったという話もあります。またそれに関して、ライとキースの関係がよくなかったなどという話もありますが、真偽のほどは分かりません。
それでは今日はこの辺で。