ザ・バーズのリーダーとして、数々のメンバーチェンジを繰り返しながら7年間ザ・バーズを守り抜いてきた男。それがロジャー・マッギンです。
ザ・バーズは1965年のファーストアルバム『ミスター・タンブリンマン』から1971年の最後のアルバム『ファーザー・アロング』まで11枚のアルバムを発表し、フォークロック、スペースロック、ラガロック、カントリーロックと様々な音楽分野の先駆けとなって、アメリカンロックを牽引してきた功績は計り知れないものが有ります。そのグループのリーダーとして活躍してきた男は、遂に1971年に解散を決断します。
そしてソロになり1973年にファーストアルバム『Roger Mcguinn』でソロデビューします。
このアルバムにはボブ・ディランの他、バーズのオリジナルメンバーが全員顔を見せています。実はこの年にザ・バーズがオリジナルメンバーにより再結成され、アルバム『Byrds』が発表されます。このアルバムはその伏線だったのでしょう。
翌年、アルバム『Peace On You』が発売されます。
アル・パーキンス スティール・ギター B-1
アル・クーパー クラリネット、ギター、ピアノ、アレンジ A-4
驚くのはアル・クーパーの参加です。そういえばボブ・ディランを介せば二人の結びつきは当然だったかもしれません。
A-1はカントリーの大御所、チャーリー・リッチの曲。壮大なロックにアレンジして います。すがすがしいくらいです。
A-3はレコードクレジットではドニー・ダッカスの曲となっていますが、これはス ティーヴ・ミラー・バンドの『Number 5』に入っていた曲で、そちらのクレジットを見るとスティーヴ・ミラーとベン・シドランの共作になっています。どうなっているのでしょう。
A-4はアル・クーパーの曲。いかにもアル・クーパーの曲らしい。
B-3は当時まだ駆け出しのシンガーソングライターだったダン・フォーゲルバーグの 曲です。
このアルバムではロジャー・マッギンのオリジナルが前作に比べかなり減っています。バーズ時代からの相棒、ジャッケス・レヴィとの共作が4曲と単独で1曲、合計5曲と全体の半分です。珍しいです。
この後、ロジャーはイギリスツアーに赴き、そこで知り合ったメンバーとバンドを作ります。「ロジャー・マッギン&バンド」です。そして発表されたのが『Roger Mcguinn & Band』です。1975年です。
ここでは、曲作りもメンバーにバランスよく振り分け、自身の曲はバーズ時代の曲を含め4曲のみです。このあたりはバーズ時代の反省からくるメンバーに対する心遣いか、「Lover Of The Bayou」と「Born To Rock'n Roll」をリヴァイヴァルしているのは、嬉しいやら微妙な感じです。ディランの「天国の扉」もカバーしています。
翌年、再びソロに戻り、最高傑作の誉れ高い『Cardiff Rose』をリリースします。
この年、ボブ・ディランが「ローリング・サンダー・レヴュー」という大々的なコンサートツアーを開催します。ロジャーもそのメンバーに加わりますが、このアルバムにはそのツアーのメンバーが参加しました。ミック・ロンソン、デヴィッド・マンスフィールド、ロブ・ストナー、ハウイ・ワイエスなど、それに「ポコ」のティモシー・シュミットも参加しました。ディランやジョニ・ミッチェルの未発表曲も取り上げています。
この後、1977年にソロアルバム『Thenderbyrd』を出します。
ここで再びバンド編成します。「サンダーバード」というのがバンド名ですが、結局この1枚でした。
その後は、ジーン・クラークの記事でも書きましたように、「マッギン・クラーク&ヒルマン」の結成、そしてジーン・クラークが抜けて「マッギンーヒルマン」として1枚アルバムを出して、80年代は目立った活躍はありませんでした。
90年代に入り再びソロ活動を開始します。
ロジャー・マッギンと言えば12弦ギターの使い手です。ソロに転向してから、他の元メンバーのソロアルバムと比較してバーズの匂いを一番感じさせてくれます。それはギターの音色や声が声だからかもしれませんが、やはり一人でバーズを背負ってきた重さが、浸み込んでいたのでしょうか。
それでは今日はこの辺で。