ザ・バーズのオリジナルメンバーのジーン・クラークの幻の名盤と謳われた『ジーン・クラーク』です。通称『ホワイト・ライト』と呼ばれています。
ジーン・クラークは1964年ごろロジャー・マッギン(その頃はジム)と知り合い、さらにデヴィッド・クロスビーが加わり、クリス・ヒルマンとマイケル・クラークも入れて「ジェットセット」というバンド名で立ち上げました。その後「ザ・バーズ」と変名し、1965年ボブ・ディランの「ミスター・タンブリンマン」が大ヒットし、アルバム『ミスター・タンブリンマンも」大ヒットし、アメリカにおいてフォークロックの歴史が幕を開けました。
この頃のバーズの曲はディランの曲以外はジーンの曲が多くを占めており、重要なソングライターでした。2作目の『ターン、ターン、ターン』も高評価でしたが、飛行機嫌いという理由(本当かどうか疑わしい)でバンドを去ります。
ザ・バーズについては以前、若干触れていますので参考までに。
1967年にソロに転向し、第1作目としてカントリー・グループの「ゴスディン・ブラザーズ」と組んでアルバム制作にかかります。バックはバーズのクリス・ヒルマン、マイケル・クラーク、それにレオン・ラッセル、グレン・キャンベル、ダグ・ディーラード、のちにバーズに合流する名手クラレンス・ホワイト等々です。
しかし、このアルバムは売れませんでした。後に、タイトルを変えて再発されます。
その後、ジーンはデヴィッド・クロスビーがバーズを抜けたために、一旦バーズに戻りますが、すぐにバンドを離れ、今度は親交のあったダグ・ディラードと共に「ディラード&クラーク」を結成します。ここで2枚のアルバムをリリースします。
このグループはよりカントリー色の強い音楽を目指しました。後にフライング・バリット、イーグルスに加入するバーニー・レドンもメンバーでした。
そして再び独立し、ソロ活動に入り、1972年にA&Mと契約し、ソロ第2作の『ジーン・クラーク(ホワイト・ライト)』を発表します。
しかし、日本ではしばらく発売されませんでした。その為、幻の名盤などと呼ばれたのでしょう。私も外国盤で買いました。アメリカ盤特有の包装のためこんな汚い画像になっています。
Side A
1. The Virgin
2. With Tomorrow
3. White Light
4. Because of You
5. One in a Hundred
Side B
1. For a Spanish Guitar
2. Where My Love Lies Asleep
3. Tears of Rage" (Bob Dylan/Richard Manuel)
4. 1975
参加メンバーは
ジョン・セルク アコースティック・ギター ボトルネック・ギター
ベン・シドラン ピアノ
マイク・アトレー オルガン
クリス・エスリッジ ベース
ゲイリー・マラバー ドラムス
特筆すべきはプロデュースにジェシ・エド・デイヴィスを起用したことでしょう。セッションマンとしても有名で、ソロアルバムも3枚出しています。数々の著名なミュージシャンのレコーディングに参加しています。
A-1 針を落とすと、ジーンの朴訥とした歌声と独特の節回しが聞こえてきます。
A-2 静かに歌い上げるジーン。ジェシとの共作です。
A-3 タイトル通称となっている曲。カントリーロックの名曲に入る出しょう。
A-4 しみじみとしています。
A-5 ジェシのスライドギターがいいです。
B-1 私の一番のお気に入り曲。哀愁漂う、ギターとヴォーカル。もう何も言うこと ありません。
B-2 この曲も静かに聴かせます。
B-3 この曲はボブ・ディランの曲でザ・バンドがアルバム『ミュージック・フロ ム・ビッグピンク』の1曲目で取り上げています。ザ・バンドのように重々しくなく、軽く飄々と歌っています。
B-4 ジェシのギターが冴えます。
参考までにジェシ・エド・デイヴィスのアルバムを紹介します。『ジェシ・デイヴィス』と『ウルル』
この2枚は特筆もの。ものすごいメンバーが顔をそろえています。面白いところでは、クラプトン、グラム・パーソンズ。挙げたらきりがありません。
その後、ジーン・クラークはソロ活動、バーズの再結成、ロジャー・マッギン、クリス・ヒルマンとのマッギン・クラーク&ヒルマンの結成、カーラ・オルソンとのデュオと忙しく活躍していましたが、1991年に心臓麻痺で亡くなりました。46歳でした。早すぎました。
死後、リマスター盤、数々の未発表音源、コンピレーションが発売されました。私もその都度買い集め、ジーン・クラーク関連だけでもかなりな数になってしまいました。そこにバーズ関連を足すと、とんでもない枚数になってしまっています。
ほんの一部だけ紹介します。
ソロ関連
バーズ再結成とマッギン・クラーク&ヒルマン
その他
調べましたら廃盤になっているものも、たくさんありました。もったいないことです。
ウェストコーストの人脈は奥深いです。が、実に興味深いです。
Gene Clark - For A Spanish Guitar
それでは今日はこの辺で。