1976年にRCAとの契約を終えたキンクスはアリスタと契約しました。
『Sleepwalker』1977年
移籍後第1弾としてリリースされたのがこの『スリープウォーカー』です。キンクスが純粋なロックに戻ってきました。RCA時代のコンセプトアルバムから脱却しロックンロールをベースにしたロックアルバムが出来上がりました。ジョン・ダルトンが途中で抜けたため、アンディ・パイルが1曲だけベースで参加しています。タイトル曲のご機嫌なロックンロールをはじめ、レイ・デイヴィス流のメロディアスな佳曲揃いです。ビルボードの21位を記録しました。
『Misfits』1978年
移籍後第2弾は前作ほどの成功を収められませんでした。しかしこのアルバムは私にとっては名作の部類に入ると思っています。タイトル曲や「Rock & Roll Fantasy」などのバラードやフォークロック調の曲など全体的には地味な感じはしますが、隠れた名盤であることは間違いありません。
なお、このアルバムのリリース前にジョン・ゴスリング、アンディ・パイルが脱退。一時的にジョン・ダットンが戻りベースを弾いています。
『Low Budget』1979年
このアルバムからアージェントにいたジム・ロッドフォード(Jim Rodford,b)とプリティ・シングスにいたゴードン・エドワーズ(Gordon Edwards,key)が加入します。
このアルバムは前作の不振から、短期間に低予算で制作させられた作品ですが予想以上にヒットしビルボードの11位を記録しました。ハードなロックンロールで、これまでのキンクスのイメージとはちょっと違いました。レイ・デイヴィスがやけくそで作ったのではないかと思われます(冗談です)。
『One For The Road』1980年
キンクス3枚目のライブアルバム、しかも2枚組でした。前作からの曲が多いものの、昔のヒット曲も再アレンジで取り上げており、聴きごたえ十分です。パイ時代の後半の曲が少ないのが残念ですが。このアルバムからイアン・ギボンズ(Ian Gibbons,key)が加わっています。ビルボードでも14位を記録し好調が続きます。
『Give the People What They Want』1981年
レイ・デイヴィスが自身がアリスタ時代のアルバムの中で一番気に入っているというアルバムです。オープニングの「Around The Dial」や続くタイトル曲はギンギンのハードロック。「Destroyer」はパイ時代のヒット曲「All Day and All of the Night」のパロディです。この曲、ドアーズの「Hello I Love You」が酷似しているということで問題になった曲です。もちろんドアーズが後出しです。「Better Things」はレイ自身も気にいているのか、その後2回もレコーディングしています。このアルバムもビルボード15位を記録しました。
『State of Confusion』1983年
実はこの前年にキンクスは初来日を果たしています。私はチケットを購入しておきながら、仕事の都合で行けませんでした。未だに後悔しております。
大ヒット曲「Come Dancing」を収録しています。「Don't Gorget To Dance」この名バラードもヒットしました。キンクスのアメリカでの快進撃は止まりません。オープニングのタイトル曲などはギンギンのハードロックです。いかにもアメリカ受けしそうな曲です。このアルバムもビルボード12位を記録しました。ところがこの年、デイヴの脱退騒動があって、ツアーのキャンセルなどもあり、キンクス人気が低迷します。
『Word of Mouth』1984年
このアルバム制作の途中で結成以来のメンバーだったミック・エイヴォリーをよりによって戻ってきたデイヴ・デイヴィスが馘にしてしまいました。後任にはアージェントのボブ・ヘンリット(Bob Henrit,ds)が加入します。
アルバム全体としては散漫な印象を持ちますが、イギリス回帰の曲が目立ち、その後のキンクスを暗示しているような作品です。「Do It Again」やデイヴの曲「Living On A Thin Line」などその後のレパートリーになる曲も含まれています。
商業的にもアリスタ時代の中では最低でした。ということもあってアリスタは再契約をしませんでした。ベスト盤の『Come Dancing』を発売してアリスタとの契約は終了しました。
そしていよいよ最終コーナー、ロンドン時代を迎えます。それはまたいずれかの機会に書きたいと思います。
それでは今日はこの辺で。