今日も昨日に引き続きブリティッシュ・トラッドフォークです。
1969年、ヴァン・モリソン(Van Morrison)率いる『ゼム(Them)』のキーボード奏者だったジャッキー・マコーリー(Jackie McAuley,g,key,vo,mandolin)と『フェアポート・コンベンション』の初代ヴォーカリスト、ジュディ・ダイブル(Judy Dyble,vo,p,harp)がデュオを結成して出来たのがのが『トレイダー・ホーン(Trader Horn)』でした。
ジュディ・ダイブルは『フェアポート・コンベンション』でファーストアルバムリリース直前に脱退します。そしてキング・クリムゾンの前身『ジャイルズ、ジャイルズ&フリップ(Giles, Giles and Fripp)』にヴォーカリストとして参加します。ここにはジャイルズ兄弟とロバート・フリップ、そしてイアン・マクドナルドがいました。そしてこのバンドが後に『キング・クリムゾン』になります。ちなみにジュディはイアン・マクドナルドの恋人でした。
一方ジャッキー・マコーリ―はゼムを脱退後、『ザ・ベルファスト・ジプシーズ(The Belfast Gypsies)』を結成します。そして1枚のアルバムを残します。タイトルが『ゼム(Them)』です。変ですね。
ジャイルズ、ジャイルズ&フリップを離れたジュディ・ダイブルはスティームハマーのギタリスト、マーティン・クイッテントンと知り合います。彼はロッド・スチュワートのソロアルバムにも参加しており、そこでピート・シアーズとも一緒にプレイしていました。ピート・シアーズはたまたまジャッキーやジュディと同じ所に住んでおり、楽曲の練習などをしていました。そこでピートとジャッキー、ジュディでバンドを作ろうという話が持ち上がりましたが、ピートはSilver Metreというバンドに誘われアメリカに渡ってしまいました。ピートはその後ジェファーソン・スターシップなどで活躍しました。
というわけで取り残された二人はデュオを続けることにしました。
1969年にシングルを出した後、1970年に発表されたアルバムが『朝の光の中で(Morning Way)』でした。
01.Jenny May
02.Children Of Oare
03.Three Rings for Elven Kings
04.Growing Man
05.Down And Out Blues
06.The Mixed Up Kind
07.Better Than Today
08.In My Loneliness
09.Sheena
10.The Mutant
11.Morning Way
12.Velvet To Atone
13.Luke That Never Was
レコーディング・パーソナルは
Judy Dyble-vocals, electric autoharp, recorder, glockenspiel
Jackie McAuley -vocals, guitar, piano, bass
John Godfrey - bass, arrangements
Andy White - drums
Ray Elliot - alto flute, bass clarinet
Paul Winter - sleeve design
プロデュースはBarry Murrayです。
このアルバムはほとんどがアコースティカルな曲で出来ています。イギリスのトラッドフォークをベースにした、きれいな音楽です。11がジュディ・ダイブルの曲、12がジュディとマーティン・クイッテントンの共作で、その他はジャッキーの曲です。
とのかくジュディのヴォーカルが素晴らしい。透き通った声でトラッドフォークにはピッタリです。また色々な楽器が使われており聴きものとなっています。
二人はこの後あっさりとデュオを解散してしまいます。
ジャッキーはしばらくソロ活動をしますが、ジュディはしばらく沈黙し、1981年にフェアポートの再結成のステージに立ったり、ぽつりぽつりと招かれてのステージに立っていましたが、2000年以降はフェアポートのメンバーやキング・クリムゾンのメンバーらと共にソロ・アルバムをたくさん出しています。
ジャッキーの方も自身のバンドで活動中です。
最近のジュディの声は聴いていませんが、ちょっと聴きたくなりました。でも残念ながらCD漁りでは見つからないでしょうね。
Trader Horne - Children Of Oare 1970
Trader Horne - Growing Man 1970
それでは今日はこの辺で。