キング・クリムゾン(King Crimson)の創設メンバーだったマイケル・ジャイルズ(Michael Giles,ds)とイアン・マクドナルド(Ian McDonald,key)は世紀の傑作『クリムゾン・キングの宮殿(In the Court of the Crimson King)』を発表後、脱退を表明します。理由は音楽性の違いということでした。
元々キング・クリムゾンはロバート・フィリップ(Robert Fripp,g)とマイケルとピーター・ジャイルズ(Peter Giles,b)にイアン・マクドナルドと作詞のピート・シンフィールド(Pete Sinfield)と女性ヴォーカルのジュディ・ダイブル(Judy Dyble,vo)が加わって結成されましたが、すぐにジュディがフェアポート・コンヴェンションに参加、代わりにグレッグ・レイク(Greg Lake,vo,b)が加わってスタートするもピーター・ジャイルズが脱退、結局5人でファーストアルバムを完成させました。
バンドを去ったイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズでしたが、契約の関係でセカンドアルバム『ポセイドンのめざめ(In the Wake of Poseidon)』のレコーディングにもピーター・ジャイルズと共に参加しなければなりませんでした。
その後イアンとマイケルは新しいグループの結成に動きます。そしてマクドナルド&ジャイルズ(McDonald & Geils)を結成しました。
そしてアルバムを制作します。ピーター・ジャイルズももちろん参加します。さらにトラフィックのスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood,organ,p)も参加しました。
出来上がったのがアルバム『マクドナルド&ジャイルズ(McDonald & Geils)』でした。1971年でした。
Side A
1.Suite in C(Including Turnham Green, Here I Am And Others)
2.Flight Of The Ibis
3.Is She Waiting?
4.Tomorrow’s People-The Children Of Today
Side B
1.Birdman
プロデュースは2人によるものです。
A-4はマイケル・ジャイルズの作詞・作曲です。
その他は全てイアン・マクドナルドの手によるものです。
B-1の作詞はピート・シンフィールドでクリムゾン時代の詩です。
A-2はセカンドアルバムに収められた「Cadance And Cascade」の原曲になります。
スティーヴ・ウィンウッドはオルガンで参加していますが、A-1のTurnham Greenでのピアノソロはスティーヴです。
どうしてもキング・クリムゾンと比較してしまいますが、A-1の11分に及ぶ長尺曲もジャジーでクリムゾンにはないゆったりとした感覚が楽しめます。
全体的にジャジーな雰囲気とブリティッシュ・フォークを感じさせる、凄く落ち着いたアルバムになっています。
個人的にはプログレはあまり進んでは聴きませんが、このアルバムを買った理由はスティーヴ・ウィンウッドのクレジットを見たからです。同じアイランドレコードなので参加しても不思議ではありませんが、意外なところで彼の名前を見つけて、思わず買ってしまったというレコードです。
実際聴いてみると、ジャジーな雰囲気とブリティッシュ・フォークはもともと好きでしたので気に入りました。トラフィックも1970年にアルバム『John Barleycorn Must Die』でブリティッシュ・フォークを取り上げていました。
しかし、この後イアン・マクドナルドは恋人との別れで精神に異常をきたし、活動停止を余儀なくされました。その後精神療法で立ち直り、セッションマンを経てフォーリナーを結成しました。しかし、これも3枚でバンドを辞め、その後はソロアルバムや21ST CENTURY SCHIZOID BANDを結成して活動しています。
ジャイルズ兄弟もセッションマンとして活動しています。
キング・クリムゾンのその後のメンバー変遷の激しさからも、このごく初期の2人のメンバーの脱退は影響が大きかったと想像できます。そして2人が作ったこのアルバムはキング・クリムゾンの落とし物だったのではないでしょうか。
McDonald and Giles "Flight Of The Ibis"
McDonald and Giles "Is She Waiting?"
McDonald and Giles "Tomorrow's People - The Children Of Today"
それでは今日はこの辺で。