以前、『S.ウィンウッド(Steve Winwood)とE.クラプトン(Eric Clapton)』という記事の中で名前だけ触れたザ・パワーハウス(The Powerhouse)の曲が3曲だけ録音されたコンピレーション・アルバムがあります。レコード棚を探っていたら出てきたので紹介します。
アルバムタイトルは『What's Shakin'』です。リリースは1966年です。
ジャケット違い盤です。
Side A
1.Good Time Music / Lovin’ Spoonful
2.Almost Grown / Lovin’ Spoonful
3.Spoonful / Paul Butterfield Blues Band
4.Off the Wall / Paul Butterfield Blues Band
5.Can't Keep from Crying Sometimes / Al Kooper
6.I Want to Know / Eric Clapton and the Powerhouse
7.Crossroads / Eric Clapton and the Powerhouse
Side B
1.Lovin' Cup / Paul Butterfield Blues Band
2.Good Morning Little Schoolgirl / Paul Butterfield Blues Band
3.Steppin' Out / Eric Clapton and the Powerhouse
4.I'm in Love Again / Tom Rush
5.Don't Bank on It Baby / Lovin’ Spoonful
6.Searchin' / Lovin’ Spoonful
7.One More Mile / Paul Butterfield Blues Band
このコンピレーション・アルバムはエレクトラ・レコードから発売されています。エレクトラ・レコードは当時フォーク部門の名門レーベルとしてジュディ・コリンズやトムパクストン、フィル・オクスなどを輩出していましたが、流行り出したロックへの進出を狙っていました。そして狙いをつけたのがポール・バーターフィールド・ブルース・バンド(Paul Butterfield Blues Band)でした。さらにラヴ(Love)やドアーズ(The Doors)などとも契約し足掛かりをつけていきました。さらに狙ったのがラヴィン・スプーンフル(Lovin’ Spoonful)でした。しかし、これはこのアルバムにある4曲を録音したのみで、のちにカマストラと契約されてしまいました。
そしてイギリス進出を図るため、ジョー・ボイド(Joe Boyed)を現地に派遣しました。ジョー・ボイドはマンフレッド・マン(Manfred mann)のポール・ジョーンズ(Paul Jones,vo,harp)と接触し、ポールにプロジェクトの結成を呼びかけました。
そして集められたのが、当時ジョン・メイオール&ブルース・ブレイカーズ(John Mayall & The Bluesbreakers)に在籍していたエリック・クラプトン(Eric Clapton,g)、スペンサー・デイヴィス・グループ(The Spencer Davis Group)のスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood,vo,key)とピート・ヨーク(Pete York.ds)、マンフレッド・マンのジャック・ブルース(Jack Bruce,b)、それにベン・パーマー(Ben Palmer,p)を加えて一時的なバンドを結成しました。バンド名はエリック・クラプトン & ザ・パワーハウス(Eric Clapton and the Powerhouse)と名付けられました。
ここでは3曲が収録されています。A-6の「I Want to Know」はクラプトンのベスト盤
『History Of Eric Clapton』にも収められています。A-7の「Crossroads」は後にクリーム(Cream)の代表曲になります。スティーヴ・ウィンウッドのベスト盤『Winwood』にも収録されています。またCDボックス『The Finer Things』にはA-6,A-7共に収録されています。B-3の「Steppin' Out」はブルースブレイカーズのアルバムでも取り上げました。さらにクリーム時代のライブにも収められました。
実はもう1曲ブルースを録音したらしいのですが、いまだに未発表のようです。
この後、クラプトンはジャック・ブルースと共にジンジャー・ベイカーを加えて『クリーム(Cream)』を、スティーヴ・ウィンウッドは『トラフィック(Traffic)』をそれぞれ結成し、そして再び『ブラインド・フェイス(Blind Face)』で顔を併せます。そのあたりは以前の記事をご覧ください。
このコンピレーションはポール・バターフィールドの初期の音源、ラヴィン・スプーンフルのエレクトラでの録音、さらにはアル・クーパーが後にブルース・プロジェクトで再現する「泣かずにいられない」などが収録されており、非常に興味深いです。
さすがに今聴くと古臭さは否めませんが、これからロックが世界中に浸透していく前触れを感じさせてくれるアルバムです。そういう意味では歴史的価値は十分です。
Eric Clapton and the Powerhouse Crossroads
Eric Clapton and the Powerhouse I want to know
ブルースブレイカーズです。
John Mayall and the Bluesbreakers-Steppin' Out
それでは今日はこの辺で。