昨日のキネ旬シアターは『フェスティバル・エクスプレス』でした。
監督:ボブ・スミートン
出演者:下記
制作:2003年 イギリス、オランダ
この映画については既にDVDも所有しており、何度か観ていました。大画面・大音量で聴いてみたくなり足を運びました。
1970年、参加したロック・ミュージシャンンを乗せた列車がカナダを横断しました。5日間に渡って、ミュージシャンたちは列車の中で寝起きし、立ち寄ったところでコンサートを開きました。トロントからウィニベグ、そして最終目的地のカルガリーまでの長い旅でした。
列車の中でのリラックスしたセッション風景も見物です。各バンドのメンバーが入り乱れてセッションを繰り広げます。
そして和やかな会話やふざけ合う姿が面白い。
出演者は
フライング・
デラニー&ボニー&フレンズ
イアン&シルヴィア&グレイト・スペックルド・バード
マッシュ・マッカーン
シャ・ナナナ
となっていますが、ライブ映像が無いグループもあります。
ジャニス・ジョプリンは「Cry Baby」「Tell Mama」「Me&Bobby McGee」(歌のみ)
グレートフル・デッドは「Casey Jones」(歌のみ)「New Speedway Boogie」
ザ・バンドは「Slippin'&Slidin'」「The Weight」「I Shall Be Released」
バディ・ガイは「I Can't Do It Baby」(車内)「Money」
フライング・ブリトー・ブラザースは「Lazy Day」
シャナナは「Rock&Roll is here to stay」
映画のオープニングはグレイトフル・デッドの「Casey Jones」です。但しこの曲は映像はありません。この時期はすっかりカントリー・バンドでした。「New Speedway Boogie」でのガルシアの天にも昇るようなギターの音色はいつ聴いてもすぐわかります。車内でのバディ・ガイのヴォーカルにはブルースギターで合わせています。ジェリー・ガルシアはもういません。
ザ・バンドのロビー・ロバートソンの背広姿に丸メガネが印象的でした。リック・ダンコはジャニスとデッドのメンバーとのセッションで、ハイテンションでヨレヨレになっていました。
大学生時代の定期試験で、何の科目かは忘れましたが、授業などろくに出ていないので、さっぱり問題が解けません。全く白紙で出すのも癪に障るので、「I Shall Be Released」の歌詞を全部書いて提出しました。結果は何と「良」でした。昔は粋な先生がいたのです。そんなことをバンドの演奏を聴きながら思い出しました。ちゃんと英語の歌詞を3番まで覚えていたのです。これも大したもんだと褒めてあげましょう。
フライング・バリット・ブラザースはグラム・パーソンズが脱退した直後と思われ、彼の姿はありませんが、バーニー・レドンの動く姿が見られます。スヌーキー・ピートやクリス・ヒルマンも写っています。これも貴重です。
ジャニス・ジョプリンも明るく笑う姿が印象的でしたが、このツアーの数か月後に亡くなります。ライブ映像は『ジャニス』に使われていたものと同じものがあります。先週、ドキュメンタリー映画を観たばかりのジャニス。こんなに元気だったのに残念です。彼女の鬼気迫る歌はもう生では聴けません。
バディ・ガイはそのド迫力のブルースギターとヴォーカルが圧巻です。バディも若かった。
日本では「霧の中の二人」のヒットで有名なマッシュマッカーン。動く姿が見られるのは貴重です。
イアン&シルヴィアのバックバンドはグレイト・スペックルド・バードでエイモス・ギャレットの雄姿が見られるのは嬉しい。
シャ・ナ・ナはウッドストックにも登場していました。明るく陽気なロックンローラーです。
エンディングロールはデッドの子分、ニューライダース・パープル・セイジです。
1970年というとウッドストック・フェスティバルの翌年です。ロック・ミュージックが反体制的な若者の音楽というイメージから商業主義的な音楽ビジネスへと変貌していく転換点がちょうどこの頃だったような気がします。フィルモアのビル・グラハムもそんなロック・ビジネスに嫌気がさし、やがてフィルモアを閉鎖します。
この映画でも、若者たちが入場料を取るなどけしからんと、一部で暴動が起きています。ジェリー・ガルシアが特別にフリーコンサートを開催することを提案して何とか収めます。
この映画に映し出される光景は、そんな時代の貴重な映像です。
家のビデオと違って音響がいいので楽しめました。やっぱり映画は映画館ですね。
The Band - The Weight (Festival Express) HD
それでは今日はこの辺で。