今日の聴き比べは『無法松の一生(度胸千両入り)』です。
もちろん、村田英雄の歌唱で有名です。
『無法松の一生』とは元は岩下俊作の小説を映画化して有名になった話です。荒くれ者の人力車夫・富岡松五郎とその恩人とその家族との交流を描いた話です。
何度も映画化されました。さらにテレビドラマでも何度か放映されました。最初の映画化は1943年と言いますから戦前です。監督は伊丹万作です。伊丹十三のお父さんです。主演は坂東妻三郎です。田村3兄弟のお父さんです。
2度目の映画化は1958年、東宝で監督は稲垣浩、主演は三船敏郎、高峰秀子です。この作品はベネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。私はこの映画をテレビで放映したのを観た記憶があります。
3度目の映画化は1963年、東映で村山新治監督、三国連太郎、淡島千景主演でした。これもテレビで観た記憶があります。
そして4度目は1965年、今度は大映で監督三隈研次、主演勝新太郎、有馬稲子でした。
その他テレビでも何度かドラマ化されています。それほどジンと胸にせまる内容でした。
さて、肝心な歌の方ですが、こちらは2度目の映画化の後、1958年に村田英雄がレコーディングしました。作詞は吉野夫二郎、作曲は古賀政男でした。レコードではA面が「無法松の一生」、B面が「度胸千両」となっていました。オリジナルの「無法松の一生」は3番までありました。
作詞:吉野夫二郎
作曲:古賀政男
1 小倉生まれで 玄海育ち
口も荒いが 気も荒い
無法一代 涙を捨てて
度胸千両で 生きる身の
男一代 無法松
2 今宵冷たい 片割れ月に
見せた涙は 嘘じゃない
女嫌いの 男の胸に
秘める面影 だれが知る
男松五郎 何を泣く
3 泣くな嘆くな 男じゃないか
どうせ実らぬ 恋じゃもの
愚痴や未練は 玄海灘に
捨てて太鼓の 乱れ打ち
夢も通えよ 女男(みょうと)波
一方、B面の「度胸千両」は
度胸千両
作詞:吉野夫二郎
作曲:古賀政男
空にひびいたあの音は
たたく太鼓の勇み駒
山車(だし)の竹笹 提灯は
赤い灯(あかし)にゆれて行く
今日は祗園(ぎおん)の夏祭り
揃いの浴衣の若い衆(しゅ)は
綱を引き出し 音頭(おんど)とる
玄海灘(なだ)の風うけて
ばちがはげしく右左
小倉名代(なだい)は無法松
度胸千両のあばれうち
その後、1981年にこの2曲を組み合わせた形で歌われるようになりました。
今多くの歌手がカバーしているのはこのバージョンです。
そして私のお気に入りは女王美空ひばり・バージョンです。「度胸千両」がいいですね。映画の場面を観ているだけでウルッときてしまいます。
それでは今日はこの辺で。