Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

聴き比べ 江利チエミの『酒場にて』

今日の「聴き比べ」は江利チエミさんが歌った『酒場にて』です。

1974年の発表で、おそらく江利チエミさんの最後のヒット曲ではないかと思います。

江利チエミさんは1937年(昭和12年)の生まれです。父親は音楽家、母親は吉本興業の女優でした。しかし、父親は失職し、母親は病気で寝たきりとなり、チエミは生活のため進駐軍で歌うようになりました。進駐軍ですから当然歌うのはジャズです。そして15歳の時に吹き込んだ『テネシーワルツ』が大ヒットしました。

それからはアメリカでもレコーディングをするなど、日本でのジャズ・ヴォーカリストのナンバーワンと言われるまでになりました。

さらに美空ひばり雪村いずみと共に『三人娘』として映画でもブームになりました。歌手・俳優として大忙しでした。1959年には高倉健と結婚し、まさに人生の絶頂期でした。しかし妊娠中毒症で中絶するなど、この頃から歯車が狂い始めました。

異父姉の横領事件で高倉健には迷惑をかけられないと離婚を決断。多額の借財を数年かけて返済します。また3人の兄は2人亡くなり、ポリープによる声帯手術、自宅の火事など不幸に見舞われました。

そして1982年、自宅のベッドで倒れているのをマネージャーに発見され死亡が確認されました。僅か45歳でした。死因は脳卒中誤嚥ということでした。

 

この曲はそんな江利チエミの数奇な運命を感じさせる、寂しい寂しい曲でした。あのひょうきんなイメージの裏に苦悩の人生が隠れていたことを思わせる歌でした。

 

私の江利チエミさんの想いではやっぱりテレビドラマの『サザエさん』です。江利チエミと言えばサザエさんが浮かんできます。

紅白歌合戦は1968年以降、再三の出場依頼も固辞したようです。

 

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酒場にて

作詞:山上路夫

作曲:鈴木邦彦

 

好きでお酒を 飲んじゃいないわ

家にひとり帰る時が こわい私よ

あのドアを開けてみたって

あなたはいない

暗い闇が私を 待ってるだけよ

また長い夜をどうして すごしましょう

愛の香りも 消えたあの部屋

 

どうぞお店が 終わるときまで

ここにおいてひとりだけ 飲んでいるから

 

死ぬこともできず今でも

あなた想い

今日もひとり酒場で 泣いている私

また長い夜をどうして すごしましょう

愛の香りも 消えたあの部屋

 


江利チエミ「酒場にて」

 

この曲を『サチコ』でお馴染みのニック・ニューサがカバーしました。


ニック・ニューサ「酒場にて」

 

テレサ・テンちゃんもカバーしました。


酒場にて 1978 テレサ・テン

 

最近では丘みどりです。


酒場にて 丘みどり

 

村上幸子です。


酒場にて 村上幸子

 

この曲を聴くとどうしても彼女の人生が重なってしまいます。

 

それでは今日はこの辺で。