Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画 『みじかくも美しく燃え』を観る

今日の映画は『みじかくも美しく燃え』です。

 

監督:ボー・ヴィーデルベリ

主演:ピア・デゲルマルク、トミー・ベルグレン

制作:スウェーデン、1968年(日本)公開

 

またまた古い映画で恐縮です。最近CS放送で観ました。この映画も高校生時代に観たものです。この当時は恋愛映画などあまり観ませんでしたが、何かとの同時上映だったと思います。ロードショーでないことは確かです。ロードショーなどめったに観れませんでしたから。

 

ストーリーは、スウェーデンの伯爵で軍の中尉であるシクステン・スパーレとサーカスの綱渡りの名人エルヴィラ・マディガンが恋に落ち、デンマークに駆け落ちしたところから始まります。二人は野原でピクニックをしており、仲睦まじく、幸せの絶頂です。

二人は田舎のホテルに宿泊しますが、こんな田舎でも二人の逃避行は話題になっており、親切なホテルの従業員が、二人の正体がバレていると教えてくれます。そして二人の逃亡劇が始まります。

シクステンは伯爵で軍人、捕まれば脱走兵として処分されます。ボートに乗りたどり着いた先に親友が待ち構えていました。親友はシクステンが残してきた妻子の状況を知らせます。シクステンには妻と2人の子供がいたのです。しかし、シクステンは一番大事な人はエルヴィラだと言って聞きません。翌朝、親友はエルヴィラが聞いているのを知りつつ、妻が自殺未遂したとシクステンに告げます。ショックを受けたエルヴィラは姿を消します。親友の策略に気付いたシクステンは親友に絶交宣言をし、探しに行きます。農家の屋根裏部屋に隠れていたエルヴィラを発見すると、すべて作り話だといい、誤解が解かれ、2人の愛はさらに深まります。

しかし、愛だけでは暮らしていけません。持ってきたお金は底をつき始めました。働いた経験のないシクステンは金を稼ぐ手段がありません。見かねたエルヴィラは踊り子をして金を稼ぎます。しかし、シクステンはエルヴィラが観客に膝を見せたとして、怒りなじります。それでも何とか仲直りをして、さらに田舎へと逃亡します。木の実や葉っぱやキノコを食べて飢えをしのぎます。ついにエルヴィラがささやきます。「私たちはそろそろ覚悟を決めないといけない」と。

覚悟を決めた2人は、最後に手に入れたパンと卵とワインを持って、野原にピクニックに出かけます。乾杯をして、シクステンにもたれかかるエルヴィラ。シクステンはバスケットに手を伸ばし拳銃を手にします。エルヴィラのこめかみに銃口を向けますが、撃てません。エルヴィラは「撃つのよ」と促します。「撃てない」とシクステンはうなだれます。エルヴィラは体を起こし、飛んできた蝶を追いかけ始めます。それに向かってシクステンが銃口を向けます。そして無邪気に蝶を追いかけるエルヴィラの姿のストップモーション。そして銃声。さらにもう一発の銃声。

 

この心中事件は実話に基づいています。ヨーロッパの三大心中事件の一つです。もう一つがカトリーヌ・ドヌーブ主演の『うたかたの恋』です。マイヤーリンク事件と呼ばれるオーストリア皇太子と男爵令嬢マリーとの謎の死。

 

はは~ん、こんな映画だったかなと、ほとんど憶えていなかったことの衝撃と、新作を観たような新鮮さとで複雑な気持ちにさせられました。

 

確かに美しいのです。映像と音楽と女優が。特に冒頭のピクニックシーンの美しさと言ったら表現のしようがありません。それとラストのピクニックシーンのエルヴィラの美しさ。この二つのピクニックシーンに2人の幸せの絶頂から、最悪の結末までを凝縮させているのではないでしょうか。

この女優、ピア・デゲルマルクはその後もあまり見かけませんでしたが、割と早く引退したらしいです。もったいないです。

 

スウェーデン映画というと、真っ先にイングマール・ベルイマン監督を思い出します。う~ん、同時上映はベルイマンだったかもしれません。

 


Ronnie Aldrich  映画「みじかくも美しく燃え」 Elvira Madigan

 


Elvira Madigan And Sixten Sparre: Serenade - Franz Schubert

 

問題のラストシーン。


Elvira Madigan (1967)

それでは今日はこの辺で。