監督:ダニー・ボイル
主演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェイムズ
製作:2019年 イギリス
イギリスのシンガー・ソングライターのジャックは幼馴染で親友のエリーにマネージャー兼運転手として支えられライブ活動をしていますが全く売れません。生計はスーパーのアルバイトで立てています。
そんなある日、全く客の入らないライブの帰りにエリーが止めるのも聞かずにもう夢は諦めたと告げ自転車で帰宅します。その途中、世界中で12秒間の停電が起こります。それが原因でジャックはバスに追突されてしまいます。病院で目が覚めると、幸いにも前歯が折れた程度で済みました。
退院すると友人たちに壊れたギターに代わって新しいギターをプレゼントされました。そして、何か歌ってとの要望にビートルズの「イエスタデイ」をギターを弾きながら歌って聴かせました。すると友人たちは「なんてすばらしい曲なんだ、いつ作ったの?」と聞いてきます。ジャックは「ビートルズだよ」と言いますが、皆は不思議な顔をします。
帰宅したジャックはネットで『ビートルズ』を検索しますがバンドのビートルズは出て来ません。世の中に『ビートルズ』というバンドは存在していないのです。そして楽曲も存在していないのです。彼らの曲を知っているのはジャックただ一人なのです。
その後も自分だけが知っているという不思議な現象が起こり、ジャックはこれはチャンスだと思いビートルズの楽曲を演奏します。それを聴いたギャビンというレコード会社の男が無料でCD化することを申し出てきました。そしてジャックが働くスーパーでそれを無料で配布したところ、これが話題となりテレビに出演します。
その番組をたまたま観ていた有名なシンガー・ソングライターのエド・シーランから電話がかかり、自分のモスクワ公演に出演して欲しいとの依頼があったのです。ジャックは承諾し、モスクワで『Back in the U.S.S.R.』を歌って公演は大成功に終わりました。そして打ち上げにエドからソングライティング対決を申し込まれ、ジャックは『The Long and Winding Road』を歌いエドを唸らせました。
エド・シーランのマネージャー・デブラはジャックの才能を見込んでロサンゼルスに呼び契約するのです。ジャックは後ろめたさを感じながらもビートルズの楽曲をレコーディングします。『Penny Lane』、『Eleanor Rigby』、『Strawberry Fields Forever』など思い出せない歌詞があり、リバプールを訪れます。そこにエリーが訪ねてきて成功を祝福します。再開した二人はいい雰囲気になりますが、エリーは一夜限りの関係は嫌だと言って去って行きます。翌朝、ジャックはエリーを追いかけ気持ちを伝えようとしますがデブラから電話がありすぐにロサンゼルスに戻るように言われ、エリーに気持ちを伝えることが出来ませんでした。
ジャックにはコンサートに追われる日々が戻ります。そしてエリーからの電話で彼女がギャビンと付き合うことになったことを知りました。ジャックはCDの発表コンサートにエリーやギャビンを呼び、『Help』を歌います。コンサートは成功します。ジャックの人気はうなぎ上りです。
コンサートが終わった後、レオとリズという男女が訪ねてきます。この二人はジャックのコンサートで疑惑の眼差しを向けていた二人でした。この二人はジャックと同じく「ビートルズ」の存在を覚えていたのです。
ジャックは当然脅迫されると思いましたが、二人はビートルズの楽曲を残してくれたことに感謝するのでした。そしてある人物の住所を書いたメモを渡しました。
ジャックはその住所を訪ねると、そこにはジョン・レノンがいたのです。ジョンはミュージシャンにはなっておらず、船乗りとして生きていたのです。78歳になっていました。ジャックはジョンに尋ねます。「今は幸せですか?」と。ジョンは「色々大変だったけど、これで十分だ」と答えます。そして「愛する人といることが幸せなことなんだ」とジャックにエリーを取り戻せと言います。
これを聞いたジャックは意を決し、エド・シーランのコンサートにゲスト出演させて欲しいと頼みます。そしてそこにエリーを連れてきて欲しいと頼みます。
演奏が終わるとジャックは自分が歌った楽曲はビートルズというバンドの楽曲だったこと、もう金も名誉もいらない、すべてのビートルズの楽曲は無料配信すると宣言します。そしてエリーに愛の告白をします。
そして二人は結婚し、やがて子供が生まれ、ジャックは小学校で子供たちに『Ob-La-Di, Ob-La-Da』を教えています。
この映画、ビートルズでなければ成り立たない映画でしょう。50年以上も前の楽曲が未だに全世界の若者を虜にするというストーリーです。ビートルズの楽曲はそれだけ永遠不滅の名曲のオンパレードだということを証明したような映画です。もちろん映画での話です。しかし、現実でもビートルズの楽曲は色褪せてはいないと確信します。
エリー役のリリー・ジェイムズは何ともチャーミングな女優でしたが、どこかで見たような気がしていました。調べてみたら、昨年観た『ガーンジー島の読書会の秘密』で主役を演じた女優でした。さらにその前に観た『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』にも出演していました。すぐに忘れてしまいます。困ったものです。
映画ではビートルズのヒット曲が続々と歌われます。もちろんオリジナルではなく主演のヒメーシュ・パテルが歌っています。この人がどんな人物かはわかりません。
また、ビートルズゆかりの地も数々出て来ます。エリナ・リグビーの墓、ペニー・レイン、リバプール・ライム・ストリート駅、ジョン・レノン空港など。
エド・シーランは実在のシンガー・ソングライターでグラミー賞をなんと4回も受賞している大スターです。ちなみに私はアルバムを持っていません。
『ビートルズ』ということを除けばありきたりなラブストーリーです。『ビートルズ』あっての映画でした。
エンドロールでビートルズによる『ヘイ・ジュード』が流れます。フルバージョンで大音響で聴けました。席を立てませんでした。
それでは今日はこの辺で。