ジャーマンメタルの雄、ハロウィン(Helloween)の3代目のヴォーカリスト、アンディ・デリスがハロウィン加入前に結成したバンドがピンク・クリーム69(PC69,ピンキーズ)です。
結成メンバーは
アンディ・デリス(Andi Deris,vo)
アルフレッド・コフラー(Alfred Koffler,g)
デニス・ワード(Dennis Ward,b)
コスタ・ツァフィリオ(Kosta Zafiriou,ds)
アンディとアルフレッドがドイツ人で、デニスがアメリカ人、コスタがギリシャ人という珍しい組み合わせで、これがそれまでのジャーマンメタルとはちょっと違う、アメリカンロックの味付けが施されています。
1989年にファーストアルバム『Pink Cream 69』がリリースされます。
このアルバムは、発売当初日本では発売されませんでした。次のセカンドアルバムの評判がよく急遽発売となりました。ですから日本ではセカンドアルバムと言うことになります。
ジャーマンメタルの特徴である、メロディック・スピードメタルとは明らかに一線を画しており、ヨーロッパの哀愁を帯びたメロディーとアメリカンハードロックがうまい具合に組み合わさったアルバムになっています。4曲目の「One Step Into Paradise」、5曲目の「Close Your Eyes」などはいかにもヨーロッパの哀愁を感じさせます。このあたりはアメリカのバンドでは味わえません。10曲目の『 I Only Wanna Be For You』などは日本人受けするのは間違いありません。ラストはライブ音源でレゲエをやっています。
楽曲はほとんどがアンディ・デリスの手によるものです。
1991年にセカンドアルバム『One Size Fits All 』がリリースされます。
このアルバムによってPC69は確固たる地位を獲得します。それだけ価値のある名盤と言えるでしょう。特に、5曲目のバラード「Ballerina」は名曲です。パワーメタルの「Signs Of Danger」などファースト以上の出来栄えです。10曲目の静かなバラード「 Where The Eagle Learns To Fly」も聴かせます。このアルバムも共作もありますが全曲アンディ・デリスの手によるものです。こうしてみると、PC69はアンディの曲作りとヴォーカルに完全に依存しているように思われます。
1993年、サードアルバム『Games People Play』をリリースします。
この頃から時代はオルタナ・グランジがロック界を席巻し始めます。HM/HR界にとっては厳しい時代に入りました。それを意識したのか、サウンドはより暗く、ヘヴィになりました。楽曲もメンバー全員の手によるものになりました。ハードロック的色彩は薄れました。この頃から、アンディ・デリスとメンバー間に溝が出来てきたのでしょう。
このアルバムを最後にアンディ・デリスはグループを去り、マイケル・キスクの後釜としてハロウィンに加入します。
残ったメンバーはイギリス人のデヴィッド・リードマン(David Readman,vo)を加入させ、1995年に4枚目のアルバム『Change』を発表します。
もはやハードロックでもヘヴィメタルでもない、オルタナもどきアルバムです。アルバムタイトル通り、チェンジを狙ったのでしょうが、以前からのPC69ファンからも、ロック界からも全く無視されました。
しかし、1999年の6枚目のアルバムで見事に復活します。『Electrified』です。
ハードロックに戻ってきました。ファーストやセカンドのサウンドに近いものが有ります。ヴォーカルのデヴィッド・リードマンもアンディ・デリスほどの個性はありませんが、地味ながら確かな歌唱力を発揮しています。久々の会心作です。
一方、グループを去ったアンディ・デリスはハロウィンでその存在感をしまします。アンディのメロディアス志向はハロウィンに新しい風を吹き込みました。
アンディは同時にソロアルバムも何枚か発表しています。
これはなかなか聴きごたえがあるアルバムになっています。ハロウィンとPC69が同時に聴けるという感じです。
PC69は現在も活動中ですがアルバムの方は2009年を最後に出ていません。
それでは今日はこの辺で。