イギリスはグラスゴー出身の、オルタナバンド『デラミトリ』です。1980年代の中ごろにデビューし、アメリカのカントリー、フォークミュージックを積極的に取り入れた、当時のイギリスではちょっと変わった存在でした。以前にちょっとだけ触れています。
メンバーは
ジャスティン・カリー(Justin Currie,vo,b,g)
イアン・ハーヴィー(Ian Harvie,g)
デヴィッド・カミングス(David Cummings,g)
ブライアン・マクダモット(Brian McDermott,ds)
アンディ・アルストン(Andy Alston,key)
です。
バンドの結成は古く、1981年です。この年に地元のインディーレーベルからシングルをリリースし、ザ・スミスのオープニングアクトなどを務めるうちに、次第に注目されるようになり、クリサリスレコードの目に留まり、契約を交わします。
1985年にファーストアルバム『Del Amitri』をリリースします。
このファーストアルバムは完全にフォークアルバムとなっています。なお、再発盤にはボーナストラックとしてヴァン・モリソンの「Brown Eyed Girl」が収められています。
この後、クリサリスレコードの内部紛争からクリサリスを離れてしまいます。
彼らは自費でアメリカツアーを敢行します。これがのと後の彼らの音楽に大きな影響を及ぼします。この時に触れたアメリカのルーツミュージック、カントリー、ブルース、フォークが大きな刺激となりました。
1987年にA&Mと契約を交わし、1989年にセカンドアルバム『Waking Hours』をリリースします。
このアルバムはイギリスで30万枚を売り上げる大ヒットとなりました。アメリカの匂いがプンプンする、フォークロック、カントリーロックアルバムとなっています。私自身はこういうサウンドを聴くと落ち着きます。
1992年にはサードアルバム『Cange Everything』をリリースします。
彼らの最高傑作アルバムです。アメリカ的ではありますが、もっと彼らなりにアメリカンミュージックを料理するとこうなります、的な感じでしょうか。イギリスの伝統的なロックも併せ持って素晴らしい出来に仕上がりました。特に2曲目の「Just Like A Man」は秀逸です。イーグルスあり、ニール・ヤングあり、ボブ・ディランあり、ローリング・ストーンズありといった具合ですが、それらを模倣しているのではなく、うまく融合していると言ったほうがあっているでしょうか。ジャスティン・カリーのヴォーカルはソウルフルになったり、フォーク調になったりと実に味わい深いです。
約3年ずつの間隔で、1995年に4枚目のアルバム『Twisted』をリリースします。
このアルバムでは前作に比べ、ロック色が強くなりました。ハードでブルージーでジャジーなオープニングナンバーや、ロックロール的な2曲目、カントリータッチのロックナンバーなど、70年代のブリティッシュロックに通ずるものが有ります。これもこれでいいです。ジャスティン・カリーのヴォーカルがここでも光っています。
続く1997年には5枚目のアルバム『Some Other Sucker's Parade』をリリースします。
このアルバムになるとポップ色が強まっています。アメリカ的なところは残しながらもブリットポップの影響もあるというポップなアルバムになっています。今までにないメロディー作りも見られます。
約5年のブランクの後、発表されたのが『Can You Do Me Good? 』です。
このアルバムは電子化された音楽で、プログラミングによって音作りがされとり、ちょっと私にとっては興ざめです。これまで私好みの音楽を作ってきてくれたデラミトリとは思えぬ大変身です。おそらくこの先はないのだろうなと思っていたら案の定、これ以降アルバムは出していません。
これまでもジャスティン・カリーとイアン・ハーヴィーを残してメンバーチェンジを繰り返してきましたが、その辺のバンド運営にも限界があったのかもしれません。
良質なアルバムを出し続けていただけに残念です。また、以前のデラミトリに戻ってアルバムを出してもらいたいです。
Del Amitri - I Won't Take The Blame (with Lyrics)
それでは今日はこの辺で。