Flying Skynyrdのブログ

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『オリジナル・キャスト(The Original Caste)』をご存じですか?

1970年に「ミスター・マンディ」で日本でも大ヒットを飛ばしたポップス・グループを覚えている人は、多分少なくなったでしょう。

グループ名はオリジナル・キャスト(The Original Caste)です。

元々は1962年に結成されたカナダのビッグ・スカイ・シンガーズというフォーク・グループでした。リーダーはブルース・イネス(Bruce Innes,g,key,vo)でこのグループを解散した後、後に結婚するディクシー・リー・イネス(Dixie Lee Innes,vo,vo)ブルース・マッキー(Bliss Mackie,g,vo)グラハム・ブルース(Graham Bruce,b)ピーター・ブラウン(Peter Brown,ds)というメンバーでノース・カントリー・シンガーズというグループを1966年に結成します。その後、バンド名をオリジナル・キャストに変更します。

このグループは1968年にDOTレコードからシングルを2枚リリースしました。ゴードン・ライトフットやボブ・ディランの曲をカバーしていました。

 

1969年にT・Aレコード契約が成立しました。このレーベルはベル・レコード傘下のレーベルでデニス・ランバートブライアン・ポッターという優れたソングライターを抱えていました。

そして1969年、シングル「天使の兵隊(One Tin Soldier)」をリリースすると、これがッ全米のトップ40入りする大ヒットなりました。

日本では1970年の発売でした。

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これで火が付いたのか、同じ1970年に発売されたシングル「ミスター・マンディ(Mr.Monday)」が日本で45万枚も売り上げる大ヒットとなりました。しかし本国カナダでは売れたものの、アメリカではチャート入りも逃した有様でした。「オー、ミスター、マンディ、ミー、オー、マイ」というディクシーの声が何とも言えません。

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そして第3弾「愛する未来に歌おう(Leaving it all behind)」を続けざまにリリースします。但し、これは日本でのみの発売となりました。

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アメリカでの人気はさっぱりでしたが、日本では絶大な人気となって、1970年にはカーペンターズと共に第1回東京国際歌謡音楽祭(後の「世界歌謡祭」)にゲスト出演も果たしました。翌年には来日公演も行いました。

 

しかし、この後はシングルをリリースするも勢いは衰えました。一つの原因としてはソングライティングを担当していたランバート&ポッターがダンヒルレコードに移籍してしまったことが挙げられます。それまでのヒット曲は全て彼らが書いていたものです。

代わりにカーペンターズの曲などを書いていたポール・ウィリアムスとロジャー・ニコルズが担当しましたが思うように売れませんでした。そして、1971年あえなく解散となりました。活躍した期間は本当に短い期間でした。

 

この後、ディクシーはソロアルバムを発表後、1974年にはブルース&ディクシー夫妻は新たなメンバーを集めてオリジナル・キャストを再結成しアルバムを発表しますが、日本では未発売でした。その後1980年に夫妻は離婚、ブルース・イネスは新たなヴォーカリストを迎えてオリジナル・キャストとして活動中のようです。

 

当時はシングル盤しか聴いていなかったのですが、後年アルバムを買う機会があって聴いてみると、これがフォークロックのいい曲揃いで驚いたことを憶えています。当時としては日本でのライヴを除けば唯一のアルバムでした。

 

1970年にこんなグループが存在していたことを、ふと思い出しました。そしてこの年に社会でも大きな出来事が次々と起こり、まさしく混沌とした時代でした。日本赤軍による淀号ハイジャック、日米安保自動延長、三島由紀夫割腹事件などなど。そんな時代を思い出させる歌たちでした。これらの歌を毎日口ずさみながら学校に通ったことを、つい昨日のように思い出しました。

 

洋楽の全盛時代だったかもしれません。この他にも多くのポップ・シンガー、グループが登場しました。  また思い出したら書いてみたいと思います。

 


天使の兵隊/オリジナル・キャスト One Tin Soldier/The Original Caste


ミスター・マンディ/オリジナル・キャスト Mr.Monday/The Original Caste


The Original Caste - Leaving it all behind (1970)

 

 

それでは今日はこの辺で。