小さな巨人こと、スティーヴ・マリオット(Steve Marriott)は1960年代後半、スモール・フェイセズ(Small Faces)をロニー・レイン(Ronnie Lane)と共に結成。このグループにはケニー・ジョーンズ(Kenney Jones)とイアン・マクレガン(Ian McLagan)が参加していました。そうです、フェイセズ(Faces)の前身です。
スモール・フェイセズはザ・フーと並んでモッズ族バンドの代表選手になりました。
スティーヴはピーター・フランプトン(Peter Frampton)をグループに加入させようとしましたがメンバーの反対に遭い断念。代わりにフランプトンにグレッグ・リドリー(Greg Ridley)とジェリー・シャーリー(Jerry Shirley)を紹介します。フランプトンもバンドを結成しようとしていたので渡りに船で受け入れ、スティーヴ・マリオットも他のメンバーとの軋轢が強まり、脱退しフランプトンのグループに参加します。
こうして1969年に正式に『ハンブル・パイ(Humble Pie)』としてスタートします。
メンバーは
ピーター・フランプトン(Peter Frampton,g, vo, key)
スティーヴ・マリオット(Steve Marriott,g,vo,key)
グレッグ・リドリー(Greg Ridley,b,g,vo)
ジェリー・シャーリー(Jerry Shirley,ds,key)
でスタートします。
1969年にファーストアルバム『As Safe as Yesterday Is 』をリリースします。シングルの「ナチュラル・ボーン・ブギー」は全英5位のヒット曲になりました。アルバムの評判も良好でした。
セカンドアルバム『Town And Country』も同年にリリースされました。前作から比べるとアコースティックサウンドが多くなりました。これはピーター・フランプトンの影響力だと思います。
1970年にそれまでのレコード会社イミディエイトが破綻、A&Mに移籍しました。そして3作目『Humble Pie』を、1971年には4作目『Rock On』リリースします。
同年、世紀の2枚組ライブアルアム『Performance Rockin' The Fillmore 』をリリースしますが、既にこの時点でスティーヴとピーターフランプトンの目指す音楽性の違いが明確になってしまいました。スティーヴはブルース、ソウル、R&B路線を、ピーター・フランプトンはもう少しポップでアコースティカルなサウンドを目指すという違いです。ピーター・フランプトンは脱退後、フランプトンズ・キャメルを結成し、実質ソロ活動をし、1976年には『Frampton Comes Alive!』で大ヒットを飛ばし、大成功を収めます。全世界で1000万枚を超える驚異的な大ヒットです。
ハンブル・パイの方はフランプトンの後任にコロシアムのクレム・クレムソン(David "Clem" Clempson,g,key.vo)を後任に迎えます。そして発表されたのが『Smokin'』です。1972年でした。
Side A
1.Hot 'N' Nasty
2.The Fixer
3.You're So Good To Me
4.C'mon Everybody
5.Old Time Feelin'
Side B
1.30 Days In The Hole
2A.Road Runner
2B.Road Runners 'G' Jam
3.I Wonder
4.Sweet Peace And Time
ゲストミュージシャンとして
アレクシス・コーナー(Alexis Korner,mandlin,g,vo)
スティーヴン・スティルス(organ,vo)
マドリーヌ・ベル(Madeleine Bell,vo)
ドリス・トロイ(Doris Troy,vo)
アレクシス・コーナーはご存じブリティッシュ・ロック界の大御所。スティーヴン・スティルスはバッファロー・スプリングフィールド、CSN&Y、マナサスでおなじみ。
A-1はクレム・クレムソンのオルガンをフィーチャーし女性バックヴォーカルを配しソウルフルなナンバーになっています。スティーヴィのヴォーカルは抜群です。
A-2はヘヴィーなブルース・ロック。スティーヴのギターが冴えます。
A-3はメロディックながらアメリカ南部を思わせるソウルフルなナンバー。
A-4はおなじみエディ・コクランの曲。カッコよくカバーされています。UFOもかばーしていましたね。
A-5はトラディショナルなアコースティック・カントリーブルースナンバー。こういう曲を挟んでくるところが心憎い。
B-1はミスター・ビッグもカバーしたヒット曲。ストーンズを思わせるような曲。
B-2はジュニア・ウォーカーのヒット曲。ブルース風なアレンジが冴えています。
B-3はハンブル・パイらしいヘヴィーでハードなブルースロックナンバー。セシル・グラントとレイモンド・リーヴンの作品。
B-4は前曲と同様ヘヴィーなハードロック。
この後ハンブル・パイは1973年に2枚組の『Eat It』を発表。2枚組レコードの内、3面がスタジオ、1面がライブという変則的なアルバムです。
1974年、1975年にはそれぞれ『Thunderbox』『Street Rats』を発表しますが、『Smokin'』には程遠い出来でした。『Eat It』のライブ面は聴きごたえ十分です。
ここで、スティーヴは一旦解散を決断します。スティーヴはスモール・フェイセスを再結成します。1977年のことです。しかしこれも2枚のアルバムを発表して解散します。
そして1980年にメンバーを一新しハンブル・パイを再結成します。新メンバーはジェフ・ベック・グループのボブ・テンチ(Bob Tench)にアンソニー・ジョーンズ(Anthony Jones)です。しかしながら、2枚のアルバムを出してまたもや解散します。
その後1990年に入ると、ピーター・フランプトンと再会し、また一緒にやろうと意気投合しましたが、1991年に自宅の火災で焼死してしまいました。44歳でした。
フランプトンを加えてのハンブル・パイの再結成は幻に終わりました。
ハンブル・パイの代表的アルバムです。順にファーストから5作目です。
ピーター・フランプトンの代表作、『Comes Alive!』です。
フランプトンは67歳、元気です。
Humble Pie - Smokin' - 07 - Road Runner
- Humble Pie - Honky Tonk Women - 1972 -
ついでにフランプトンも
Peter Frampton, Show Me the Way
それでは今日はこの辺で。