スティーヴ・ミラーやボズ・スキャッグスとの交流で知られたベン・シドラン(Ben Sidran)です。
ベン・シドランは1943年、ウィスコンシン州のラシーンで育ちました。ウィスコンシン大学に進学し、スティーヴ・ミラーやボズ・スキャッグスと知り合い、The Ardellsというバンドのメンバーになりました。
彼は7才の頃からピアノを始め、ジャズレコードの収集家だった父親の影響でジャズに興味を持っていました。
スティーヴ・ミラーがボズ・スキャッグスと共に西海岸へ向かった後、ベンはイギリス文学の博士号を執るためにイギリスに渡りました。その間、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンとセッションをしました。
スティーヴ・ミラーがスティーヴ・ミラー・バンドを結成します。そしてキーボード奏者のジム・ピーターマンがバンドを去ると、ベン・シドランを呼び寄せました。こうして彼は正式にメンバーの一員になり、1972年のアルバム『Recall the Beginning... A Journey from Eden』まで在籍しました。その他ボズ・スキャッグスのソロアルバムやジーン・クラーク、ジェス・エド・デイヴィスのソロアルバムなどにも参加しました。
そして1971年にキャピトル・レコードからファーストソロアルバム『Feel Your Groove』を発表します。
このアルバムにはジェシ・エド・デイヴィス、カーリー・クック、ジム・ケルトナー、ボズ・スキャッグス、ゲイリー・マラバー、グレッグ・リドレー、チャーリー・ワッツ、ピーター・フランプトンなどの名前も見られます。グレッグ・リドレーとチャーリー・ワッツ、ピーター・フランプトンはイギリス時代のセッションです。ジャズ界からはブルー・ミッチェルも参加しました。ギターのジェイムス・カーリー・クックはスティーヴ・ミラー・バンドの初期メンバーです。
残念ながら当時は入手不可能なアルバムでした。
そして翌年、ブルーサムレコードに移籍しセカンドアルバム『I Lead A Life』をリリースします。
Side A
1.Chances Are
2.Lust
3.It Don't Pay To Worry Like That
4.Eliyahu
5.When A Woman Say She Ready
Side B
1.I Lead A Life
2.The Devil Comes To Las Vegas
3.Talking About Money
4.Slippery Hip
5.Back Down On State Street
レコーディングメンバーは
ベン・シドラン(Ben Sidran,key,vo)
カーリー・クック(Curley Cooke,g)
フィル・アップチャーチ(Phil Upcharch,b,perc)
クライド・スタブルフィールド(Clyde Stubblefield,ds)
そのほかにジャズ界からブルー・ミッチェル(Blue Mitchell,tp)、スティーヴ・ミラー・バンドからティム・デイヴィス(Tim Davis,ds,conga)などの名前も見られます。
プロデュースはベン・シドランとブルース・ボトニック(Bruce Botnic)です。
B-4を除いて全てベン・シドランのオリジナルです。B-4はフィル・アップチャーチの曲になります。
10曲中4曲がインストナンバーです。バラエティに富んだアルバムになっています。ポップ感覚にあふれた曲もあれば、ジャジーなソウルナンバー、それにフュージョン。大人の感覚が存分に楽しめます。
1973年にはサードアルバム『 Puttin' In Time On Planet Earth』を発表します。
いつものメンバーに加えてスティーヴ・ミラーも参加しています。
さらに1974年に『Don't Let Go』をリリースします。
ここではいつものメンバーに加えて、スティーヴ・ミラー・バンドの初期メンバー、ジム・ピーターマンが参加しています。
ジャズやボサノヴァの雰囲気もありファンク、フュージョンとジャズの香り満載です。
そして1976年にブルーサムを離れ、アリスタと契約し5枚目のアルバム『Free In America』を発表します。
このアルバムは、これまでのジャズフィーリングからポップ感覚にあふれた作品になりました。カバー曲も4曲あり、J.J.ケールの「After Midnight」やビリー・ジョエルの「New York State Of Mind」までカバーしています。リチャード・ティーも参加しています。
ベン・シドランはその後もコンスタントにアルバムをリリースしています。これまでに作品は30を超えています。
彼が最も影響を受けたアーティストにモーズ・アリソンとボブ・ディランを挙げています。モーズ・アリソンはジャズ・ピアニストですがその楽曲は多くのロックミュージシャンにも取り上げられて、その影響力は大です。ベン・シドランがジャズの影響が大きいのはこれからも明白です。
ボブ・ディランを挙げていたのは意外でしたが、その歌詞を読むと納得させられる部分も多々あります。
現在75才、まだまだやる気なのでしょうね。
BEN SIDRAN "It Don't Pay To Worry Like That"
それでは今日はこの辺で。