先日のキネ旬シアターは『天外者(てんがらもん)』でした。
監督:田中光敏
製作:日本 2020年公開
幕末から明治にかけて活躍した薩摩藩士、五代才助(友厚)の人生を描いた歴史ドラマです。坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文などが登場します。
主演は昨年自殺した三浦春馬です。ナレーションを劇中のトーマス・グラバーが演じます。
長崎の海軍伝習所から明治18年、49歳で亡くなるまでの人生を描きます。「天外者(てんがらもん)」とは鹿児島の方言で「凄い才能の持ち主」という意味です。
五代才助に関しては幕末から明治初期のドラマにはちょくちょく顔を出しますが、主人公として登場するのはあまり見たことがありません。
同じ明治時代の実業家としては岩崎弥太郎や今年の大河ドラマの主人公・渋沢栄一が有名ですが、この五代才助も負けず劣らずの人物でした。特に大阪の経済の立て直しに尽力したことが有名です。
映画は長崎海軍伝習所での坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文との出会いから始まって、生麦事件、薩英戦争と捕縛、イギリス留学、龍馬暗殺、明治維新、大阪経済建て直し、大阪商法会議所設立、結核による死(実際は糖尿病)、という流れで進行します。
途中、女郎のはるとの恋愛を織り交ぜながら進み、まさに幕末・明治の青春群像劇です。この女郎はるとの話は架空の話のようです。
この映画で五代才助の偉業が伝わったかというと、それは無かったようです。2時間弱のドラマで尊王攘夷から開国、明治維新まで描くのは無理があるでしょう。特に明治以後の五代の活躍がほとんど描かれていませんでした。もっとも経済の話なのでドラマにするにしても劇的さが乏しく映画にならないのでしょう。歴史ドラマとして観るよりも青春ドラマとして観た方が正解かもしれません。
それにしても主演の三浦春馬の自殺には驚かされました。将来有望な俳優と期待していたのですが残念です。
それでは今日はこの辺で。