Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『エルヴィス』を観る ーキネ旬シアター

先日のキネ旬シアターは『エルヴィス』でした。

 

監督:バズ・ラーマン

主演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、オリヴィア・デヨング

製作:2022年  アメリカ合衆国

 

「キング・オブ・ロックンロール」ことエルヴィス・プレスリーの生涯を描いた伝記映画です。

エルヴィスに関しては、中学生のころから名前だけは知っていましたが、実際に音楽を聴くことはありませんでした。私が彼の姿をリアルタイムで観たのは1971年の映画エルビス・オン・ステージ』でした。映画を観るなり、そのカッコよさに魅了されました。ところが、その姿はいわゆるエルヴィスがカムバックした後の姿なのでした。長い低迷期の後に1968年にテレビのライヴで復活し、その後はステージで完全復活したのです。

ですから、1950年代から60年代初期の全盛期の姿は観ていませんでした。諸先輩方に言わせると、「プレスリーの本当の魅力は50年代だよ、70年代のプレスリーは面白くない」なんて言われましたが、私にとってのプレスリーはあの煌びやかな姿のプレスリーです。

 

映画は死を目前にした悪徳マネージャーのトム・パーカー大佐が、1955年にエルヴィスとの出会いからを回想していく形で進められます。この悪徳マネージャーのナレーションとともに映画が進行するというのが映画の特徴です。

貧しい幼少期、ロックンローラーとしてのデビュー、トム・パーカーとの出会い、迎えた絶頂期、映画俳優としての活動、結婚、低迷期、カムバック、薬物、離婚そして子供との別れ、42歳での死。

なぜエルヴィスは若くして死ななければならなかったのか、エルヴィスを殺したのは誰か?・・・。

 

エルヴィスの転機はサン・レコードからRCAレコードへの移籍ですが、これはトム・パーカーの功績です。一方、彼のヒット曲の大半は50年代から60年代初頭に集中しています。その後68年までは低迷期を迎えます。これもトム・パーカーがエルヴィスを映画出演に集中させたためです。(勿論ビートルズの出現も大きかったのですが。)合計31本もの映画に出演させています。そのほとんどが駄作と言われています。このようにエルヴィスの光と影はトム・パーカーの存在が大きく影響しています。エルヴィスはトム・パーカーに対し不満を抱いていましたが、結局関係を切ることはできませんでした。良くも悪くもこの稀代の詐欺師トム・パーカーに翻弄された人生でした。エルヴィスの死後、トム・パーカーの搾取ぶりが明らかになりました。人生の全盛期と最晩年の落差に言葉を失います。

 

エルヴィスを演じたオースティン・バトラーという役者。顔はそれほどエルヴィスに似ていないのですが、時折見せる表情が実によく似ているのです。さらにステージ・アクションもよく研究しており、カムバック後のステージはまるでかつての映画『エルヴィス・オン・ステージ』を見ているようで興奮しました。

 

エルヴィスのヒット曲も次々と登場し、さらにハンク・スノー、ジミー・ロジャーズ・スノウ、アーサー・クラダップ、B.Bキング、ビッグ・ママ・ソートン、リトル・リチャード、マヘリア・ジャクソンなども登場しエルヴィスの知らなかった面も伺えて楽しめました。ラストはおそらくエルヴィスの最後の歌唱と思われる『アンチェインド・メロディ』が本人歌唱の映像で映し出され感動的でした。あっという間の160分でした。

 

映画の中で歌われていた曲を今思い出すと「ザッツ・オールライト」「ハウンド・ドッグ」「監獄ロック」「ハートブレイク・ホテル」「ブルー・スエード・シューズ」「今夜はひとりかい」「トラブル」「好きにならずにいられない」「明日への願い」「サスピシャス・マインド」「ポークサラダ・アニー」「バーニング・ラブ」などでした。他にもたくさんありました。さらに、リトル・リチャード役が歌った「トッティ・フルッティ」がそっくりで驚きました。

 

改めてエルヴィス・プレスリーは今もって世界一のシンガーであり、エンターテイナーであることを確認できた次第です。

 

この日の観客は圧倒的に高齢の女性が多かったです。エルヴィスには女性ファンが多かったことが頷けます。

 

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それでは今日はこの辺で。