先日のキネ旬シアターは『百花』でした。
原作・監督・脚本:川村元気
製作:2022年 日本
川村元気の小説『百花』の映画化です。脚本も担当し、さらに監督としてのデビュー作です。
レコード会社に勤務する葛西泉は社内結婚で香織と結婚していて、もうすぐ子供が生まれます。母親の百合子はピアノ教室を開き女手一つで泉を育てあげました。
泉は年2回ほど実家を訪問し母親と過ごします。元旦が百合子の誕生日なので毎年大晦日は二人で過ごします。今年も例によって実家を訪ねると、母親がいません、近所を探すと近くの公園でブランコの乗っていました。泉は百合子の言動にある変化を感じていました。
そんなある日、泉に警察から連絡がありました。スーパーで万引きしたというのです。その行動の異変さが気になり病院に連れて行くとアルツハイマー型認知症との診断を受けました。医者からは母親を大切にしてくださいと言われました。
そして百合子の症状は日に日に悪くなっていきました。そしてとうとう施設に入れることにしました。泉が百合子のいなくなった実家の片づけをしていると、押し入れの中から百合子の日記が出てきました。それがは1994年から1995年の1年間の日記でした。この1年間は泉にとっての知られざる1年間だったのです。その1年間に何があったのかが明らかになっていきます・・・。
そういえば主演の原田美枝子さんは自身の母親が認知症を患い、その症状が進行していることから、自らが監督になり母親の生涯を描いたドキュメンタリー映画『女優 原田ヒサ子』という短編映画をを作成しました。当劇場でも上映していましたが、残念ながら観ていません。そういった経験もあってこの役は身近に感じられたのではないのでしょうか。
映画は主人公の泉が封印していた空白の1年間と向き合い、受け止めるという流れで進行します。現在と百合子の過去が入り混じりながらの進行です。母親として生きるのか、女として生きるのか、百合子の葛藤も描かれます。ですが、百合子の空白の1年間の心の動きと結末がどうなったのかが今一つ得心がいきませんでした。おそらく小説ではその辺りが詳しく書いてあるのだろうと思いますが、映画ではちょっと不完全燃焼でした。
私の身内には認知症を患った者が今のところいないので、詳しいことはわかりませんが、こんなにも症状の進行が早いものなのかと恐ろしくなりました。映画では若いから進行が早いのだとは言っていましたが、それでもビックリでした。最近めっきり物忘れがひどくなりました。特に固有名詞が出てきません。このブログも認知症予防になるといいのですが・・・。気をつけなくちゃ。
それでは今日はこの辺で。