先日のキネ旬シアターは『遺灰は語る』でした。
監督・脚本:パオロ・タヴィアーニ
出演:ファブリツィオ・フェラカーネ、マッテオ・ピッティルーティ、ダニア・マリーノ
製作:2023年 イタリア
1936年に亡くなったノーベル賞作家ビランデッロの遺灰を巡るお話です。モノクロ・パートカラー。
1934年にノーベル文学賞を受賞した文豪ビランデッロはその2年後、死に際して「灰は故郷シチリアに」との遺言を残します。しかし、時の独裁者ムッソリーニはこれを利用するためにローマに留めおいたのです。戦後になって、ようやく彼の遺灰がシチリアへ帰ることになりました。シチリア島の特使がその役目を命じられるのですが、その行使には様々なトラブルが待ち受けているのでした・・・。
そして、映画の後半はビランデッロの遺作となった短編小説『釘』がカラーで映像化されます。
ビランデッロという作家の小説も読んだこともなく、監督のタヴィアーニ兄弟の映画も観たことなかった私にとっては少々難解というか意味不明の映画でした。久しぶりの感覚でした。50年前なら面白がって観たかもしれませんが、思考能力が衰えた昨今はこのような映画は厳しいものがありますね。あまりにも予備知識が不足していました。
監督のパオロ・タヴィアーニは91歳で、これまでは常に兄のヴィットリオと共に映画を撮ってきました。その兄が5年前に亡くなったそうです。初めて一人で撮った映画です。この映画の原題は「さらば、レオノーラ」、副題は「ヴィットリオに捧ぐ」となっています。ビランデッロの遺灰、遺作の短編、兄の死、自身の高齢、この辺りに映画の謎を解く鍵があるのかもしれません。
冒頭部分の白黒映像と小説部分のラストのカラー映像は美しかった。
それでは今日はこの辺で。