先日のキネ旬シアターは『ハッピー☆エンド』でした。

監督:オオタヴィン
出演:萬田緑平(在宅緩和ケア医)、樹木希林
製作:2025年 日本
在宅緩和ケアをテーマにしたドキュメンタリーです。
在宅緩和ケア医師の萬田緑平医師と在宅緩和医療を選んだ5つの家族の希望溢れる生活風景です。

癌によって余命宣告をされ、抗がん剤治療を受けるも、どうしても自宅へ帰りたいという本人と家族の想いを在宅緩和ケアという方法で手助けするのです。この映画に登場する5組の家族はいずれも晴れやかな顔をしていました。余命1ヶ月と言われた患者はなんと5年も生きたのです。萬田先生は医者の言う余命なんて全くあてにならないと笑い飛ばします。患者たちは退院して好きなことをします。好きだった酒も呑みます。しかし、死は確実に訪れます。

そして最期のお別れはいずれの家族も子供や孫まで揃ってお別れの会でしっかりとお別れをします。このような死に方ができる人は数少ないとは思いますが、本人は幸せなのではないでしょうか。「ありがとう」という言葉をしっかりと伝えられたのですから。家族も別れの準備が出来るという面ではよかったと、口々に話します。勿論、在宅緩和治療を受けるためには経済状態や家族の理解と協力が必要です。この映画に登場する家族はごく恵まれた家族なのでしょう。

私事ですが、もう20年以上前になりますが、父親が癌になった時に、当時は本人に癌を告知するという習慣が無く、担当医から告知はどうしますか?、と聞かれ迷いました。担当医は「私が病気で死ぬのなら絶対癌を選びます。なぜなら死の準備が出来るからです。心筋梗塞や脳卒中では何もできません。」と言われました。迷った挙句、父親の性格などを考慮して告知せずに済ませました。果たしてそれが父親の人生にとって良かったのか、悪かったのか、今でもわかりません。
私も老い先短い年齢になりました。近年は体調不良も続き、身体のあちこちが悲鳴をあげています。日常生活も思うようにならず、映画館に行くのもなかなか大変です。癌を告知された時にはどのような最期を迎えたいか、今から考えようかとこの映画を観て思いました。
それでは今日はこの辺で。