Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『スノーデン』を観る

今日のキネ旬シアターは『スノーデン』でした。

監督:オリバー・ストーン

主演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット

2017年1月公開 アメリカ

オリバー・ストーンは『JFK』『ニクソン』『ブッシュ』の大統領3部作や『ドアーズ』など話題作を作り続けている監督です。

スノーデンとはもちろん、あのアメリカの秘密を暴露した男です。

この映画はCIA(アメリカ中央情報局)とNSA(アメリカ国家安全保障局)で勤務していたエドワード・スノーデンがアメリカ政府が違法に世界中の首脳、企業人、財界人のみならず一般人までの膨大なる情報を傍受していることに疑問を感じ、やがて恋人、家庭、地位すべてを捨てて、イギリスの新聞社・ガーディアン誌にCIAの膨大なる機密情報を暴露するという話です。日本でも大ニュースになりましたので記憶に新しいです。

もともとこのスノーデンという男は志願兵になるくらいの愛国者で、怪我のため除隊せざるを得ず、軍隊以外で自国にできることはないかと考えた末、CIAに入局することを選び、独学でコンピュータープログラムを学び、見事トップの成績で合格します。CIAでは現場の諜報活動を担いますが、一般人のプライバシーまで覗くという職務に疑問を感じ始めます。そして知人の家庭の秘密をつかみ、業績を上げるためにそれを利用させられたりもして、彼は一旦CIAを退職します。しかしどうしても、何らかの形で国の役に立つ仕事がしたいということで、かつての上司の勧めでNSAに入局します。しかし、アメリカの情報監視は敵国のみならず、同盟国やアメリカ自国民にも向けられ、スノーデンはやがて自分にも、そして恋人にも監視も目が注がれていることを知らされる。危機感を持ったスノーデンはアメリカ政府が持つ監視プログラムと情報を持ち出し、これを暴露して、アメリカの暴走を食い止めようと考え、イギリスの大手新聞社に暴露し報道されます。アメリカの新聞社も報道せざるを得なくなり、政府に対する追及が始まります。しかしオバマはもともとブッシュが認めていた不法な諜報活動を禁止させることを公約の一つに挙げに大統領になったわけですが、このスノーデンの告発に対しても大した問題ではないと一蹴し、逆に彼を指名手配しました。スノーデンは香港からロシアに亡命し、現在は恋人と一緒にロシア住んで平和に暮らしています。

映画の最後に本物のスノーデンが出てきて、今現在の心境を語るテレビインタビューのシーンがあります。自分のしたことについては今でも後悔はしていない、今はとても幸せだと断言します。

スノーデンは日本でも勤務したことがあり、その時アメリカは日本の全国民を監視させろと迫ったそうですが、日本政府は断ったそうです。本当かどうかはわかりませんが。

この諜報活動が怖いのは、単純にテロ対策ということで始めたものが、一般国民のプライバシーまで監視するというところまで行ってしまうということです。そしてそれを国が認めているということです。

映画でも出てきますが、誰が、何処で、誰と、何を、したか、話したか、すべて把握されているのです。メール、LINE、ツィッタ―、フェイス・ブックなどすべて。携帯電話の盗聴、監視カメラの設置。交友関係、財産、日常行動すべてが手を取るように見られています。

我が国もそうなるのでしょう。いや、既になっているのかもしれません。あの「なんとか罪」もテロ対策などという名前がついていたようですが。

監視社会、重くて怖い映画でした。