先日のキネ旬シアターは『グンダ―マン 優しき裏切り者の歌』でした。
監督:アンドレアス・ドレーゼン
出演:アレクサンダー・シェーア 、アンナ・ウンターベルガー
製作:2018年 ドイツ 2021年 日本公開
東ドイツのボブ・ディランと呼ばれる一方、東ドイツの秘密警察(シュタージ)のスパイでもあったゲアハルト・グンダーマンの生涯を描いた音楽映画です。
グンダーマンは昼は炭鉱の採掘場でパワーショベルを運転する労働者、夜はステージで自作の曲を歌うシンガー・ソングライターです。その歌は労働者に希望を与えるもので、人気の歌手でした。
しかし、一方で彼は秘密警察のスパイとしての顔も持っていたのです。ただそれは彼にとっては有能な友人達を国外に送りたくないとの判断でしたが、友人達に対しては明らかに裏切り行為でした。
1989年の東西ドイツ統一後に、彼は意外な事実を知らされるのでした。彼自身がスパイであったことに良心の呵責を覚えた彼は友人にスパイであったことを告白したのです。すると、友人から意外なことを聞かされました。友人も彼を監視していたというのです。つまり秘密警察はメンバー同士を監視させていたのです。恐ろしき監視社会です。
そして、彼は自分がシュタージのメンバーであったことを同僚やバンドメンバーに告白し、音楽活動を辞める決心をします。しかし、メンバーも同僚も彼を許し、バンド活動の継続を望むのでした。そして最後と思われたステージで観客に自分がシュタージであったことを告白します。すると意外にも観客は温かい拍手で応じるのでした。
時間軸がめまぐるしく変わり、一瞬訳が分からなくなる時があります。あえてこのような手法を採ったのでしょうが、瞬間あれっ、なんで、と思うことが度々あります。現在と過去を一瞬で見分けるのは髪型でした。
ゲアハルト・グンダーマンは1955年の生まれ、1998年に43歳の若さで亡くなっています。1988年にレコードデビューしています。以後、何枚かのアルバムを制作しています。
恥ずかしながら彼の存在は知りませんでした。ボブ・ディランの前座を務めたこともあるようです。ドイツでは有名人だったのですね。演じた俳優が本物そっくりで驚きました。
それでは今日はこの辺で。