Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

聴き比べ『風のささやき(The Windmils Of Your Mind)』

今日の「聴き比べ」は『風のささやき(The Windmils Of Your Mind)』です。

 

この曲は1968年公開の映画華麗なる賭けの主題歌です。

 

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監督:ノーマン・ジェイソン

主演:スティーヴ・マックイーンフェイ・ダナウェイ

制作:1968年 アメリ

 

作曲はミシェル・ルグラン、作詞はアラン・バーグマン、マリリン・バーグマン夫妻です。この曲はアカデミー賞主題歌賞を獲得しました。

 

アメリカ映画にしては洒落たサスペンス・恋愛映画です。

 

この主題歌を歌っていたのはノエル・ハリソンです。映画の中ではマックイーンがグライダーに乗って空を飛んでいるシーンで使われました。

 

世界的にはダスティ・スプリングフィールドの歌唱でヒットしました。その他大勢の歌手がカバーしています。

作曲がミシェル・ルグランということもあって、ジャズやジャズヴォーカルの世界ではスタンダードになっています。ここではジャズ以外で珍しい人達の楽曲を紹介したいと思います。

 

まずはオリジナル・サウンドトラックのノエル・ハリソンです。


「風のささやき The Windmills Of Your Mind」 サウンドトラック ミシェルルグラン Michel Legrand

 

次は大ヒットしたダスティ・スプリングフィールドです。「風のささやき」といえばこの人、というくらいになった歌唱です。


Dusty Springfield / Windmills Of Your Mind

 

次はハードロック界からヴァニラ・ファッジ(Vanilla Fudge)です。1969年のアルバム『Rock & Roll』に収録されました。これは驚きです。

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VANILLA FUDGE - the windmills of your mind

 

次はプエルトリコ出身の盲目のスパニッシュ・ギタリスト、ホセ・フェリシアーノです。日本でも「雨のささやき」のヒットで人気になりました。今でも毎年のように来日公演を行っているようです。


Jose Feliciano - The Windmills Of Your Mind

 

世界の大歌手、大女優のバーブラ・ストライサンドもカバーしています。


"The Windmills of Your Mind" by Barbra Streisand (New!)

 

この映画『華麗なる賭け』は1999年に『トーマス・クラウン・アフェアー』としてリメイク上映されました。その時の主題歌をスティング(Sting)が歌っています。

 


STING - Windmills of Your Mind

 

日本でも多くの人がカバーしていますが、特にこの人を。竹内まりやです。アルバム『Longtime Favorites』に収録されています。


Mariya Takeuchi (竹内まりや) - 風のささやき

 

この曲はまだまだジャズ部門まで広げると数え切れないくらいの楽曲があります。今日挙げたポップス系もいいですが、やはりジャズが似合うような気がします。夜中にブランデーでも傾けながら聴きたいものです。


Art Farmer & European Jazz Trio - The Windmills of Your Mind

 

 

それでは今日はこの辺で。

聴き比べ『カスバの女』

今日の「聴き比べ」はカスバの女です。

この歌を初めて聴いたのは、小学校だったか中学校だったか憶えていませんが、緑川アコという歌手が歌っているのものでした。緑川アコさんは「夢は夜ひらく」も園まりさんとの競作でした。

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しかし、調べてみるとこの歌が最初に世に出たのは1955年、エト邦枝という歌手が歌ったのが初めらしいです。当然知る由もありません。

何故この歌が気になったかというと、当時の流行歌とは歌詞の内容が違って、何かエキゾチックなものを感じさせたのでした。それは「カスバ」とか「アルジェリア」とかいった言葉が出てきたせいでしょうが、メロディも何となく異国風でした。

「カスバ」とは何ぞや、と思ったら、アルジェリアにある城塞のことだと知りました。なんで日本の流行歌でアルジェリアの城塞のことを歌うのだろうと不思議でなりませんでした。

これも調べたところ、作詞した大高ひさをという方がジャン・ギャバン主演の戦前の映画ぺペ・ル・モコ『望郷』をイメージして作った詩だということらしいです。この映画は日本でも大変流行ったらしいのでなんとなく納得しました。学生時代にこの映画は見ました。私の両親なども見たそうですからかなりの人が観たのでしょう。

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カスバの女

 

作詞:大高ひさを

作曲:久我山

 

涙じゃないのよ 浮気な雨に

ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ

ここは地の果て アルジェリヤ

どうせカスバの 夜に咲く

酒場の女の うす情け

 

唄ってあげましょ わたしでよけりゃ

セーヌのたそがれ 瞼の都

花はマロニエ シャンゼリゼ

赤い風車の 踊り子の

今更かえらぬ 身の上を

 

貴方もわたしも 買われた命

恋してみたとて 一夜(ひとよ)の火花

明日はチュニスか モロッコ

泣いて手をふる うしろ影

外人部隊の 白い服

 

Youtubeで見たら多くの人がカバーしているのでびっくりしました。

 

「ここは地の果てアルジェリア」なんて聞いて、アルジェリアは地の果てなんだ、などと妙に感心したことを憶えています。

 

オリジナルのエト邦枝さんから、一番流行った緑川アコさん、そしてちあきなおみさん、藤圭子さん、梶芽衣子さん、さらに石原裕ちゃんたちの歌唱を聴いてみます。


エト邦枝 カスバの女 昭和30年 大阪風景


カスバの女(緑川アコ)


カスバの女 ちあきなおみ


藤圭子♥カスバの女


梶芽衣子 カスバの女


石原裕次郎    カスバの女

 

どの歌唱も好きですが、とくにちあきなおみさんが気に入っています。

カラオケに行けばこの曲が必ず飛び出す我らが年代。振り返ればいい曲がたくさんありました。

 

それでは今日はこの辺で。

『スティーヴン・スティルス&マナサス』往年のライブ 入手

もう随分前に注文していたティーヴン・スティルス&マナサス(Stephen Stills & Manassas)の1973年のライブ盤が到着しました。注文したのも忘れていました。

マナサスについては以前にも書きました。1970年、スティルスCSN&Y解散の後、ソロを経てフライング・バリット・ブラザースを辞めたクリス・ヒルマン達とマナサスを結成しました。

lynyrdburitto.hatenablog.com

このライブは1973年10月7日、サンフランシスコのWINTERLAND BALLROOMでの公演の模様をFMラジオ用に収録したものです。

 『Stephen Stills & Manassas  Winterland』

 

01.Song Of Love 

02.Rock 'N' Roll Crazies/Cuban Bluegrass

03.Jet Set (Sigh)

04.Anyway

05.So You Want To Be A Rock 'N' Roll Star

06.Johnny's Garden

07.Go Back Home

08.Six Days On The Road

09.Safe At Home

10.Fallen Eagle

11.Hide It So Deep

12.You're Still On My Mind

13.Pensamiento

14.49 Bye-Byes

15.For What It's Worth

16.Lies

17.The Treasure/Carry On

18.Daylight Again/Find The Cost Of Freedom

 

メンバーは

ティーヴン・スティルス(Stephen Stills,vo,g,p,b)

クリス・ヒルマン(Chris Hillman,g,b,vo,mandlin)

カルヴィン・サミュエルズ(Calvin "Fuzzy" Samuels,b,vo)

アル・パーキンス(Al Perkins,steel g,banjo)

ポール・ハリス(Paul Harris,p,organ)

ダラス・テイラー(Dallas Taylor,ds)

ジョー・ララ(Joe Lala,perc,vo)

です。

 

01~04はマナサスの2枚組ファーストアルバム『Manassas』のSide Aをそのまま取り上げています。

05はバーズのヒット曲、「ロックンロール・スター」です。

06も『Manassas』から。

07はスティルスのファースト・ソロアルバム『Stephen Stills』から。

08はフライング・バリット・ブラザースでおなじみの曲。

09はサウザーヒルマン・フューレイ・バンドのファーストから。

10、11はやはり『Manassas』から。

12はバーズの名作『ロデオの恋人』から。

13はマナサスのセカンドアルバム『Down The Road』からラテンナンバー。

14はクロスビー・スティルス&ナッシュの同名のファーストアルバムから。

15はバッファロー・スプリングフィールドの同名のファーストアルバムからの名曲。

16は『Down The Road』から。

17は『Manassas』とCSN&Yの『デジャ・ヴ』から。ここでデヴィッド・クロスビーがステージに上がりギターを弾きます。

18は1982年のCS&Nとしては3枚目のアルバム『Daylight Again』とCSN&Yのアルバム『So Far』から。最後はクロスビーとグラハム・ナッシュも参加して幕を閉じます。

 

音質が極めて悪いせいか、演奏も散漫に聞こえます。選曲が良かっただけにその点が残念です。マナサスはこの年に解散します。それもあってか、今ひとつ盛り上がりに欠けます。

実は同じ日にもう1枚マナサスの2枚組ライブを注文したのですが未だに届きません。こちらは1972年のライブです。これもプライベート盤なので音質は期待はしていなかったのですが、このアルバムを聴いてますます期待感が減りました。到着したら紹介します。と、思ったら入手不可のメールが来ました。残念な気持ちとホッとした気持ち半々です。

 


Stephen Stills' Manassas - Winterland 1973 - "Rock n' Roll Star"


Manassas - Six Days On The Road - 10/7/1973 - Winterland (Official)


Stephen Stills' Manassas - Winterland 1973 "The Treasure"


Manassas - Find The Cost Of Freedom - 10/7/1973 - Winterland (Official)

 

それでは今日はこの辺で。

映画『さらば愛しきアウトロー』を観る

昨日のキネ旬シアターは『さらば愛しきアウトローでした。

「さらば愛しきアウトロー」の画像検索結果

 

監督:デヴィッド・ロウリー

主演:ロバート・レッドフォードケイシー・アフレックシシー・スペイセク

制作:2018年 アメリカ、2019年 日本公開

 

永遠のイケメン俳優、ロバート・レッドフォードの引退作のようです。ロバート・レッドフォードといえば1959年のデビューといいますから、俳優歴60年です。しかし、下積みが長く、1969年の明日に向かって撃て出世作になりました。この映画は実在の銀行強盗を描いたアメリカン・ニューシネマの傑作でした。その後『スティング』華麗なるギャツビー』『大統領の陰謀など多くの作品で主演しました。また、1980年には監督として『普通の人々』を制作し、アカデミー賞の最優秀監督賞を受賞しました。

私も『明日に向かって撃て』で彼を初めて見ましたが、本当にいい男でした。男が見ても惚れ惚れしました。

明日に向かって撃て』から50年。今回の映画も実在の銀行強盗をモデルにした映画です。引退作に同じ銀行強盗役を選んだのも何かの縁でしょうか。

 

『さらば愛しきアウトロー』はロバート・レッドフォードが扮するのはフォレスト・タッカーという老年の銀行強盗です。仲間二人と共に銀行強盗を繰り返します。しかし、なかなか捕まりません。手口が巧妙で、銀行員は異口同音に「紳士的な人だった」と言います。

そしてこの強盗を追いかけるのがジョン・ハントという若手の刑事です。タッカーは若い頃から強盗を繰り返し、16度逮捕され、そのたびに脱獄していました。

途中でタッカーはジュエルという老婦人と知り合い、意気投合します。タッカーは結局逮捕されてしまいます。しかし、ジュエルの助言通り今回は脱獄をせず、刑期を終え出所しました。そしてジュエルと穏やかな生活を始めました。

しかし、タッカーの強盗癖は治っていませんでした。ハントに電話をし、銀行に向かいます。4つの銀行強盗をはたらき逮捕されます。それでもタッカーは笑っていたようです。『明日に向かって撃て』のような悲惨な最期ではありませんでした。

 

ロバート・レッドフォード、83歳です。さすがに年はとりました。しかし、その魅力は保ったままのようです。『明日に向かって撃て』のサンダンス・キッドのようなわけにはいきませんが、年を取った分、渋さというものが、それをカバーしているようです。これで引退とはちょっともったいないような気もします。長いことお疲れさまでした。あの皺は本物でしょうか、それともメイキャップでしょうか。

「さらば愛しきアウトロー 画像」の画像検索結果

映画にはタッカーの仲間役でトム・ウェイツも出演しています。それと挿入歌でキンクス「ローラ」が使われていました。思わずにやけてしまいました。

老人同志の恋愛というのも「あり」ですか。もちろん「あり」でしょうね。


映画『さらば愛しきアウトロー』予告編

 

それでは今日はこの辺で。

この人の、この1枚 『ウォレント(Warrant)/Cherry Pie』

今日の「懐かしのヘヴィメタ・シリーズ(懐メタ)」はウォレント(Warrant)です。成功したLAメタルバンドの一つです。

結成は1984年、ロサンゼルスと古く、メンバーチェンジが続き、1987年にようやくメンバーが固まりました。

エリック・ターナー(Erik Turner,g)

ジョーイ・アレン(Joey Allen,g)

ジェリー・ディクソン(Jerry Dixon,b)

ジェイニー・レイン(Jani Lane,vo)

ティーヴン・スウィート(Steven Sweet,ds)

でした。

 

デビューは1989年と遅く、既に時代はヘヴィメタからオルタナグランジへと移り変わりつつありました。

そんな中、デビューアルバム『Dirty Rotten Filthy Stiniking Rich』がリリースされました。

このアルバムの中のバラード「Heaven」が全米2位の大ヒットとなり、アルバムも10位にランクされる大ヒットとなりました。

 

そして1990年にセカンドアルバム『Cherry Pie』がリリースされました。

01.Cherry Pie

02.Uncle Tom's Cabin

03.I Saw Red

04.Bed of Roses

05.Sure Feels Good to Me

06.Love in Stereo

07.Blind Faith

08.Song and Dance Man

09.You're the Only Hell Your Mama Ever Raised

10.Mr. Rainmaker

11.Train, Train

12.Ode to Tipper Gore

13.Thin Disguise *

* 日本盤ボーナストラック

 

プロデュースはボー・ヒル(Beau Hill)です。アリス・クーパー、ウィンガー、ヨーロッパ、ラットなどのプロデュースもしています。

ゲストミュージシャンンも多彩です。フィオナやデンジャー・デンジャーのティーヴ・ウェスト、ブルーノ・ラベル、ポイズンのC.C. デビル、ディオのスコット・ウォーレン等々が参加しています。

 

アルバムは全米7位と大成功です。シングルもCherry PieI Saw Redが共に10位と大健闘でした。

ギラギラのメタルというよりは、明るいハードなポップ・ロックでポ、バラードも適度にちりばめられ、非常に聴きやすいアルバムになっています。

 

しかし、時代の波は彼らにも押し寄せてきます。

1992年、サードアルバム『Dog Eat Dog』をリリースします。

アルバムチャーは25位とそこそこの成功はしますが、決して評判は高くありませんでした。時代がオルタナグランジ全盛期です。このアルバムもその傾向を取り入れた様な作りになっていますが、人気は次第に下降線をたどるようになりました。

 

その後もアルバムをリリースしますがチャート入りはありませんでした。

1994年にはジョーイ・アレンとスティーヴン・スウィートが脱退します。

2004年にはヴォーカルのジェイニー・レインが脱退し、先の二人がカムバックするなど、メンバーチェンジを繰り返し現在に至っています。

 


Warrant - Cherry Pie


Warrant - I Saw Red


Warrant - Blind Faith


Warrant - Heaven

 

それでは今日はこの辺で。

聴き比べ ディランとバーズ『ミスター・タンブリンマン』~『マイ・バック・ページズ』~『寂しき4番街』

今日の「聴き比べ」はボブ・ディラン(Bob Dylan)ザ・バーズ(The Byrds)の聴き比べです。

 

1965年、フォークロックというものがアメリカで完全に認知されるようになったきっかけは、何といってもボブ・ディラン『ミスター・タンブリンマン(Mr Tambourine Man)』ですが、この曲が世界中に知れ渡り、フォークロックが流行り出したのはザ・バーズによるところが大です。

この曲はボブ・ディランの5枚目のアルバム『Bringing It All Back Home』に収められていました。詩の内容は幻想的であることからドラッグ・ソングであるということが一般的には言われていました。ディランはこの作品で生ギター1本からバンド演奏を取り入れロックへの転向を試行しました。

 

Mr Tambourine Man

by Bob Dylan

 

*Hey Mr. Tambourine Man, play a song for me

I'm not sleepy and there is no place I'm going to

Hey Mr. Tambourine Man, play a song for me

In the jingle jangle mornin' I'll come followin' you*

 

Though I know that evening's empire has returned into sand

Vanished from my hand

Left me blindly here to stand, but still not sleeping

My weariness amazes me, I am branded on my feet

I have no one to meet

And my ancient empty street's too dead for dreaming

 

*繰り返し

 

Take me on a trip upon your magic swirlin' ship

My senses have been stripped, my hands can't feel to grip

My toes too numb to step, wait only for my boot heels

To be wandering

I'm ready to go anywhere, I'm ready for to fade

Into my own parade, cast your dancin' spell my way

I promise to go under it

 

*繰り返し

 

Though you might hear laughing, spinning, swinging madly across the sun

It's not aimed at anyone, it's just escaping on the run

And but for the sky there are no fences facing

And if you hear vague traces of skipping reels of rhyme

To your tambourine in time, it's just a ragged clown behind

I wouldn't pay it any mind

It's just a shadow you're seeing that he's chasing

 

*繰り返し

 

And take me disappearing through the smoke rings of my mind

Down the foggy ruins of time, far past the frozen leaves

The haunted, frightened trees, out to the windy beach

Far from the twisted reach of crazy sorrow

Yes, to dance beneath the diamond sky with one hand waving free

Silhouetted by the sea, circled by the circus sands

With all memory and fate driven deep beneath the waves

Let me forget about today until tomorrow

 

*繰り返し


Bob Dylan - Mr. Tambourine Man (Audio)

 

ザ・バーズはディランのレコーディングから間もなく、この曲をレコーディングし、アルバムタイトルも『Mr Tambourine Man』としてリリースしました。そしてこれが爆発的なヒットを果たしました。全米・全英で1位となっています。12弦ギターのイントロで始まり、美しいハーモニーが絡み、ロジャー・マッギンのソロパートへと繋がっていきます。ディランとは違って、いわゆるフォークロックの完成でした。4番まであったディランの歌詞を2番までにして短めな曲にしました。


The Byrds - Mr. Tambourine Man (Audio)

 

その後もザ・バーズはディランの曲を多くカバーしています。そして彼らの4枚目のアルバム『昨日より若く(Younger Than Yesterday)』『マイ・バック・ペイジス(My Back Pages)』を取り上げました。

 

My Back Pages

by Bob Dylan

 

Crimson flames tied through my ears

Rolling high and mighty traps

Pounced with fire on flaming roads

Using ideas as my maps

“We’ll meet on edges, soon,” said I

Proud 'neath heated brow

 

*Ah, but I was so much older then

I’m younger than that now*

 

Half-wracked prejudice leaped forth

“Rip down all hate,” I screamed

Lies that life is black and white

Spoke from my skull, I dreamed

Romantic facts of musketeers

Foundationed deep, somehow

 *繰り返し

 

Girls’ faces formed the forward path

From phony jealousy

To memorizing politics

Of ancient history

Flung down by corpse evangelists

Un-thought of, though, somehow

 *繰り返し

 

A self-ordained professor’s tongue

Too serious to fool

Spouted out that liberty

Is just equality in school

“Equality,” I spoke the word

As if a wedding vow

 *繰り返し

 

In a soldier’s stance, I aimed my hand

At the mongrel dogs who teach

Fearing not that I’d become my enemy

In the instant that I preach

My existence led by confusion boats

Mutiny from stern to bow

 *繰り返し

 


The Byrds - My Back Pages (1967)

 

この曲の原曲はボブ・ディランの4枚目のアルバム『Another Side Of Bob Dylanの中の曲です。


Bob Dylan - My Back Pages (Audio)

 

聴き比べてみると一目瞭然、ザ・バーズのアレンジの素晴らしさに舌を巻きます。この曲のバーズ・バージョンはシングルカットされ全米30位になりました。

 

1992年のボブ・ディラン30周年記念コンサート』ではロジャー・マッギンとボブ・ディランが競演しこの曲を演奏しています。もちろんロジャー・マッギン・バージョンです。

 

そしてもう1曲、忘れられないのが『寂しき4番街(Positively 4th Street)』です。この曲はボブ・ディラン『追憶のハイウェイ61(Highway 61 Revisited)と同時期に録音されましたが、アルバムには収録されず、シングルで発売され、後に『グレイテスト・ヒッツ』に収録されました。

 

Positively 4th Street

by Bob Dylan

 

You got a lot of nerve

To say you are my friend

When I was down

You just stood there grinning

 

You got a lot of nerve

To say you got a helping hand to lend

You just want to be on

The side that’s winning

 

You say I let you down

You know it’s not like that

If you’re so hurt

Why then don’t you show it?

 

You say you lost your faith

But that’s not where it’s at

You had no faith to lose

And you know it

 

I know the reason

That you talk behind my back

I used to be among the crowd

You’re in with

 

Do you take me for such a fool

To think I’d make contact

With the one who tries to hide

What it don’t know to begin with

 

You see me on the street

You always act surprised

You say “How are you? Good luck!”

But you don’t mean it

 

When you know as well as me

You’d rather see me paralyzed

Why don’t you just come out once

And scream it

 

No, I do not feel that good

When I see the heartbreaks you embrace

If I was a master thief

Perhaps I’d rob them

 

And now I know you’re dissatisfied

With your position and your place

Don’t you understand

It’s not my problem

 

I wish that for just one time

You could stand inside my shoes

And just for that one moment

I could be you

 

Yes, I wish that for just one time

You could stand inside my shoes

You’d know what a drag it is

To see you

 


Bob Dylan - Positively 4th Street (Single Version - Audio)

 

一方、ザ・バーズはこの曲を『名前のないアルバム(Untitled)』でライブ演奏しました。


The Byrds - Positively 4th Street (Audio/Live 1970)

 

この他にもザ・バーズによるボブ・ディランのカバーはたくさんあるのですが、きりが無いのでこの辺にしておきます。

考えてみると、ザ・バーズが売れたのはディランのお陰ですね。

 

それでは今日はこの辺で。

聴き比べ『見張塔からずっと(All Along the Watchtower)』

今日の「聴き比べ」は『見張塔からずっと(All Along the Watchtower)』です。

この曲はご存じのように、ボブ・ディラン(Bob Dylan)のオリジナルで、1967年の8枚目のアルバム『ジョン・ウェズリー・ハーディング(John Wesley Harding)に収められた曲です。

傑作アルバム『ブロンド・オン・ブロンド(Blonde On Blonde)』後にモーターサイクル事故を起こし、再起不能かとまで言われ、消息不明になっていましたが、実際はその間ウッドストックザ・バンドと共にデモテープの制作を行っていました。後にそれは『地下室(The Basement Tapes)』という形で発表されました。

そして、1967年に『ジョン・ウェズリー・ハーディング』が発表されました。前作までのエレクトリック・サウンドからシンプルなアコースティック・サウンドに立ち返りました。この頃のディランの詩は二重、三重の意味が隠されていると言われ難解を極めました。このアルバムの中の1曲が「見張塔からずっと」です。

 

Blonde on Blonde (Reis)

Blonde on Blonde (Reis)

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All Along the Watchtower 

There must be some kind of way outta here
Said the joker to the thief
There's too much confusion
I can't get no relief

 

Business men, they drink my wine
Plowman dig my earth
None were level on the mind
Nobody up at his word
Hey, hey

No reason to get excited
The thief he kindly spoke
There are many here among us
Who feel that life is but a joke
But, uh, but you and I, we've been through that
And this is not our fate
So let us stop talkin' falsely now
The hour's getting late, hey

 
All along the watchtower
Princes kept the view
While all the women came and went
Barefoot servants, too
Outside in the cold distance
A wildcat did growl
Two riders were approaching
And the wind began to howl

 
この曲は多くのミュージシャンがカバーしています。その中でも私のお気に入りを3曲ばかり紹介します。
 
まずは何といってもこの曲の存在を世に知らしめた、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)のバージョンです。
ジミヘンの2枚組アルバム『エレクトリック・レディランド(Electric Ladyland)』に収められました。もう何度か紹介していますね。

 

 
ここに収められた「見張り塔からずっと」はディランも絶賛しました。


The Jimi Hendrix Experience - All Along The Watchtower (Audio)

 

ジミヘンのギターが唸り、カッコいいの一言です。

 

次はデイブ・メイソン(Dave Mason)です。デイヴ・メイソンも何度か登場しています。彼の1974年の6枚目のアルバム『Dave Mason』に収められています。その後の2枚組ライブ『Certified Live』にも収めまれました。そして当然日本公演でも演奏しました。鳥肌が立ちました。ライブの定番になりました。これもカッコいいです。

Dave Mason

Dave Mason

  • Columbia/Legacy
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All Along The Watchtower-Dave Mason(Dave Mason)

 

最後は、大御所ニール・ヤング(Neil Young)です。

ニール・ヤングがこの曲を最初に披露したのは、レコード化されている中では以前紹介したボブ・ディラン30周年記念コンサート(he 30th Anniversary Concert Celebration)』でだったと思います。これはトリビュートの意味を込めてだと思いますが、その後2000年のライヴアルバム『Road Rock』で演奏しています。

   


Neil Young - All Along the Watchtower

ニール・ヤングもこの曲を気に入っているようです。

 

この他に、グレイトフル・デッド、デイヴ・マシューズ、ジェフ・ヒーリー、スピリット、ポール・ウェーラー、U2など多くのミュージシャンにカバーされています。それだけ名曲だという証でしょう。

 

それでは今日はこの辺で。