今日の「聴き比べ」は『カスバの女』です。
この歌を初めて聴いたのは、小学校だったか中学校だったか憶えていませんが、緑川アコという歌手が歌っているのものでした。緑川アコさんは「夢は夜ひらく」も園まりさんとの競作でした。
しかし、調べてみるとこの歌が最初に世に出たのは1955年、エト邦枝という歌手が歌ったのが初めらしいです。当然知る由もありません。
何故この歌が気になったかというと、当時の流行歌とは歌詞の内容が違って、何かエキゾチックなものを感じさせたのでした。それは「カスバ」とか「アルジェリア」とかいった言葉が出てきたせいでしょうが、メロディも何となく異国風でした。
「カスバ」とは何ぞや、と思ったら、アルジェリアにある城塞のことだと知りました。なんで日本の流行歌でアルジェリアの城塞のことを歌うのだろうと不思議でなりませんでした。
これも調べたところ、作詞した大高ひさをという方がジャン・ギャバン主演の戦前の映画ぺペ・ル・モコの『望郷』をイメージして作った詩だということらしいです。この映画は日本でも大変流行ったらしいのでなんとなく納得しました。学生時代にこの映画は見ました。私の両親なども見たそうですからかなりの人が観たのでしょう。
作詞:大高ひさを
作曲:久我山明
涙じゃないのよ 浮気な雨に
ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ
ここは地の果て アルジェリヤ
どうせカスバの 夜に咲く
酒場の女の うす情け
唄ってあげましょ わたしでよけりゃ
セーヌのたそがれ 瞼の都
赤い風車の 踊り子の
今更かえらぬ 身の上を
貴方もわたしも 買われた命
恋してみたとて 一夜(ひとよ)の火花
泣いて手をふる うしろ影
外人部隊の 白い服
Youtubeで見たら多くの人がカバーしているのでびっくりしました。
「ここは地の果てアルジェリア」なんて聞いて、アルジェリアは地の果てなんだ、などと妙に感心したことを憶えています。
オリジナルのエト邦枝さんから、一番流行った緑川アコさん、そしてちあきなおみさん、藤圭子さん、梶芽衣子さん、さらに石原裕ちゃんたちの歌唱を聴いてみます。
どの歌唱も好きですが、とくにちあきなおみさんが気に入っています。
カラオケに行けばこの曲が必ず飛び出す我らが年代。振り返ればいい曲がたくさんありました。
それでは今日はこの辺で。