1998年の4歳牡馬のクラシックは横山典弘セイウンスカイと武豊スペシャルウィークの戦いになりました。
スペシャルウィークは3歳の11月、阪神の新馬戦で勝ち上がります。続く500万特別は2着でしたが、きさらぎ賞を1番人気で勝ち弥生賞を目指し東上します。当時日の出の勢いだったサンデーサイレンスの仔です。母の父はマルゼンスキー。
セイウンスカイは明け4歳になってからのデビュー。1月の中山の新馬戦を勝ち、続くオープン特別のジュニアカップも勝ち、弥生賞に挑戦します。
弥生賞にはもう1頭、キングヘイローという馬が出走してきました。これもダンシングブレーブの仔で良血馬でした。東京スポーツ3歳ステークスの勝馬でラジオ短波賞3歳ステークスも2着で乗り込んできました。騎手は福永祐一。
弥生賞はこの3頭が上位人気を占め、キングヘイローが1番人気、スペシャルウィークが2番人気。セイウンスカイが3番人気でした。この時はセイウンスカイの鞍上はまだ徳吉孝士でした。結果は逃げたセイウンスカイを後方から追い込んだスペシャルウィークが勝ち、セイウンスカイが粘って2着、キングヘイローが3着でした。
迎えた皐月賞はスペシャルウィークが単勝1.8倍の圧倒的1番人気に支持されました。2番人気は横山セイウンスカイ、3番人気にキングヘイローとなりました。
レースはコウエイテンカイチがセイウンスカイのハナを奪って先頭、セイウンスカイは2番手に抑えます。その後にキングヘイロー、スペシャルウィークは後方待機。直線に入ってセイウンスカイが先頭に立ち、逃切りを図ります。それを懸命にキングヘイローが追い、さらに外からスペシャルウィークが追い込みますが差が詰まりません。結局セイウンスカイが1着ゴールイン、2着キングヘイロー。スペシャルウィークは3着どまりでした。
そして日本ダービーです。今度こそとばかりにスペシャルウィークが1番人気に支持されます。キングヘイローが2番人気、セイウンスカイは3番人気でした。
レースは予想を覆してキングヘイローが逃げを打ちます。セイウンスカイは2番手追走。スペシャルウィークは中団の内。直線に入ってキングヘイローは脱落。代わってセイウンスカイが先頭に立ちます。そこに中からスペシャルウィークが伸びてきて、後続に5馬身差をつけて圧勝しました。2着には皐月賞6着の14番人気ボールドエンペラー、3着には15番人気のダイワスペリア―が入り、セイウンスカイは4着、キングヘイローは14着に終わりました。武豊はダービー初制覇でした。
秋の菊花賞を目指して、セイウンスカイは古馬混合の京都大賞典をステップレースに選択しました。セイウンスカイはその年の春の天皇賞馬メジロブライトを退け、逃げ切って優勝しました。
スペシャルウィークとキングヘイローはトライアルの京都新聞杯で相まみえます。スペシャルウィークは断トツの単勝1.2倍の1番人気でキングヘイローを下し優勝します。キングヘイローは2着でした。
そして迎えた菊花賞。スペシャルウィークが1.5倍の1番人気。2番人気はセイウンスカイ、キングヘイローが3番人気でした。
レースはセイウンスカイの逃げで始まりました。キングヘイローは先行集団、スペシャルウィークは中団やや後方。各馬バラバラの展開。セイウンスカイの脚色衰えず直線へ入ります。後続との差は開く一方でそのまま見事な逃げ切り勝ちでした。スペシャルウィークは追い込みましたが2着がやっとの状態でした。キングヘイローは距離が響いたのか伸びず5着でした。3着にはエモシオンが入りました。
スペシャルウィークはこの後、ジャパンカップに挑戦します。このレースでもスペシャルウィークは1番人気に支持されます。2番人気は女傑エアグルーヴ、3番人気に同じ4歳ですがマイル路線を歩いてきてNHKマイル(GⅠ)を勝ったエルコンドルパサーでした。結果はエルコンドルパサーが勝って、スペシャルウィークはエアグルーヴに次ぐ3着でした。
一方のセイウンスカイとキングヘイローは暮れの有馬記念に出走してきました。セイウンスカイは堂々の1番人気に支持されます。エアグルーヴが2番人気、メジロブライトが3番人気でした。結果は同じく4歳馬で前年の3歳チャンピョンの的場均グラスワンダーが4番人気で優勝、メジロブライトが2着、ステイゴールドが3着、セイウンスカイは逃げるも4着でした。エアグルーヴが5着、キングヘイローは6着でした。
明けて5歳、スペシャルウィークとセイウンスカイの戦いは続きます。
スペシャルウィークはAJCC杯と阪神大賞典を連勝して春の天皇賞に駒を進めます。セイウンスカイは日経賞を勝ち西下します。
春の天皇賞はスペシャルウィークが1番人気、セイウンスカイが2番人気、2連覇を目指すメジロブライトが3番人気でした。
レースは1週目の正面スタンド前でようやくセイウンスカイが先頭に立ちます。スペシャルウィークはがっちり3番手キープ。メジロブライトはやや後方から。直線に入るとスペシャルウィークがセイウンスカイに襲いかかり、先頭に立ちます。外からメジロブライトが追い込みますがなかなか差が詰まりません。結局半馬身差でスペシャルウィークが優勝、セイウンスカイは3着でした。
このあとスペシャルウィークは宝塚記念に向かいます。ここでも単勝1.5倍の圧倒的人気になりました。2番人気は同期のグラスワンダー。キングヘイローは5番人気でした。レースはグラスワンダーに3馬身の差をつけられる苦杯を喫しました。
セイウンスカイは夏場の札幌記念に出走、1番人気で優勝し。秋の天皇賞を目指します。
スペシャルウィークは秋初戦の京都大賞典をまさかの7着に終わり、不安を残しながら秋の天皇賞に向かいます。
天皇賞はセイウンスカイが1番人気、スペシャルウィークは不安説を払拭できず、初めての4番人気になりました。キングヘイローは9番人気まで落としました。
レースはセイウンスカイが逃げられず、後方からの競馬になってしまいました。スペシャルウィークも後方からです。直線に入ってもセイウンスカイは出て来ません。ゴール前は大混戦になりました。人気薄のステイゴールドが抜けだしたかと思った瞬間、外からスペシャルウィークが強烈な末脚を見せクビ差かわしてゴールイン。3着にエアジハード、セイウンスカイは5着に終わりました。スペシャルウィークはタマモクロスに次いで天皇賞春秋連覇を果たしました。
セイウンスカイはレース後屈腱炎を発症、長期休養に入ります。そして1年半後の春の天皇賞に出走しますが、大差のどん尻負けを喫し、引退を決意します。
スペシャルウィークはジャパンカップに出走します。スペシャルウィークは2番人気でした。1番人気は外国馬のモンジュー、3番人気も外国馬のタイガーヒルでした。
レースはアンブラスモアが大逃げを打ち、スペシャルウィークは後方待機。直線半ばでスペシャルウィークが抜けだし優勝。2着にインディジェナス、3着にハイライズ、4着にモンジューでした。外国馬を蹴散らし優勝は見事でした。武豊はジャパンカップ初制覇でした。
そして有馬記念へと向かいます。しかし人気のほうは宝塚記念を勝ったあと毎日王冠を勝った同期のグラスワンダーがわずかにスペシャルウィークを上回り、1番人気になりました。グラスワンダーは昨年の優勝馬でもあり、この2頭の対決には盛り上がりを見せました。3番人気はメジロブライト、4番人気はこの年の菊花賞馬ナリタトップロード、同じく2着のテイエムオペラオーが5番人気でした。
レースはグラスワンダーが中団、スペシャルウィークは最後方という態勢で進みます。直線に入ってグラスワンダーが抜けだしてきますが大混戦模様。外からスペシャルウィークが差したかと思ったところがゴールでした。中からはテイエムオペラオーも突っ込んでいました。武豊は勝利を確信したのかウィニングランでファンに応えていました。テレビ放送もスペシャルウィークと武豊をずっと映していました。長い写真判定の結果、ハナ差でグラスワンダーが優勝。その差4センチメートルでした。グラスワンダーは史上3頭目(スピードシンボリ、シンボリルドルフ)の有馬記念連覇になりました。3着にはテイエムオペラオー、4着にタヤスツヨシ、5着がメジロブライトでした。テイエムオペラオーは翌年以降の快進撃を予感させる好走でした。
スペシャルウィークはこのレースを最後に引退しました。
この世代は強い馬が多かった。スペシャルウィーク、セイウンスカイ、キングヘイロー、エルコンドルパサー、グラスワンダー等々。
スペシャルウィークとセイウンスカイの現役時代の勝敗はスペシャルウィークの4勝2敗でした。
種牡馬になってからは大きな差が出来ました。セイウンスカイが目立った産駒を輩出できなかったのに比べ、スペシャルウィークはシーザリオ、ブエナビスタ、トーホージャッカルなどのGⅠ馬や重賞ウィナーを多く出しました。
スペシャルウィークの戦歴 17戦10勝 日本ダービー、天皇賞(春)、天皇賞(秋)
それでは今日はこの辺で。