2000年はテイエムオペラオーの快進撃で幕を開けました。
その前年の4歳(当時の馬齢)クラシック戦線は皐月賞がテイエムオペラオー、日本ダービーがアドマイヤベガ、そして菊花賞がナリタトップロードでした。
テイエムオペラオーは皐月賞を勝っていますので決して晩成型ではありませんが、古馬になってからの活躍を見てしまうと、4歳時はまだまだ開花前だったという印象は拭えません。
テイエムオペラオーのデビューは3歳8月の京都の新馬戦でした。2着になるものの6馬身差の完敗でした。そして骨折・休養で3歳を終えました。
翌年、1月京都のダートの未勝利戦に出走も4着に惨敗。続いて2月の同じくダートの未勝利戦でようやく勝ち上がりました。続く阪神で芝の500万下を勝って、毎日杯に出走します。3番人気でタガノブライアン以下を下し優勝。3連勝で皐月賞を目指し東上します。
皐月賞は超良血馬武豊のアドマイヤベガが1番人気、きさらぎ賞、弥生賞と重賞2連勝のナリタトップロードが2番人気、若葉ステークスを勝ったマイネルプラチナムが3番人気で、テイエムオペラオーは5番人気でした。
レースは上位人気馬が後方からの競馬となり、直線を向いて団子状態の中からおーすみブライトとナリタトップロードが抜けだしにかかるところを大外を回ったテイエムオペラオーが一気にとらえてクビの差で優勝、2着にオースミブライト、3着にナリタトップロードが入り、アドマイヤベガは6着でした。鞍上の和田竜二はGⅠ初制覇となりました。
その後日本ダービーはアドマイヤベガの3着、秋になって京都大賞典も3着、迎えた菊花賞はナリタトップロードにクビ差の2着、その後ステイヤーズステークスも僅かに及ばずの2着、暮れの有馬記念は健闘するもグラスワンダーの3着となかなか勝ちきれませんでした。
そして明け5歳、古馬になってテイエムオペラオーはそれまでの勝ちみの遅さが嘘のような大変身を遂げます。
まず、2月の京都記念ではライバル、ナリタトップロードをクビ差破って優勝、続き阪神大賞典ではこれまたラスカルスズカ、ナリタトップロードを退け優勝。そして春の天皇賞に駒を進めます。
春の天皇賞ではもちろん圧倒的1番人気に支持されます。2番人気はナリタトップロード、3番人気がラスカルスズカでした。
レースはタマモイナズマとレオリューホーが逃げナリタトップロードが先行、それをマークするようにテイエムオペラオーと続きます。直線に入ってナリタトップロードが抜けだしそれをテイエムオペラオーが捉えにかかり、直線半ばでかわしそのままゴールイン優勝しました。2着はゴール前追い込んだラスカルスズカ、ナリタトップロードは3着でした。
さらに快進撃は続き、次走宝塚記念ではグラスワンダーにも勝ち優勝。
秋初戦は京都大賞典を圧倒的1番人気でまたしてもナリタトップロードを抑え込み優勝。秋の天皇賞に出走します。
秋の天皇賞では1.8倍で1番人気。宝塚記念でテイエムオペラオーにクビ差まで迫ったメイショウドトウ、3番人気はナリタトップロードでした。
レースはロードブレーブとミヤギロドリゴが他馬を大きく引き離し逃げますが、直線に入って一段となり、メイショウドトウとテイエムオペラオーが抜けてきて、最後は2馬身半差をつけて優勝しました。3着にトゥナンテ、ナリタトップロードは5着でした。
そしてジャパンカップです。ここでも1.5倍の1番人気でした。2番人気は外国馬のファンタスティックライト、3番人気は武豊のエアシャカールでした。
レースはスローペースでステイゴールドが引っ張る形で一団となって進みます。直線も大混戦で、そこからメイショウドトウが抜け出しにかかり、テイエムオペラオーが並びかけ、外からファンタスティックライトも追い込んで接戦となりました。しかしテイエムオペラオーがクビだけ抜け出しメイショウドトウを抑えました。さらにハナ差でファンタスティックライトが3着になりました。テイエムオペラオーはこれで5歳になって無傷の7連勝を飾りました。
そしてグランプリ有馬記念を迎えます。テイエムオペラオーは1.7倍の1番人気に支持されました。2番人気はメイショウドトウ、3番人気はナリタトップロードでした。
レースは固まったまま3コーナーあたりからナリタトップロードが先頭に並びかけます。テイエムオペラオーは後方からの競馬で4コーナーあたりからようやく進出してきます。直線に入ってダイワテキサスが抜けてきますが、メイショウドトウも連れて上がり、中をついていつの間にかテイエムオペラオーが2頭の間を割って抜けてきます。結局ハナ差だけ抜け出しメイショウドトウを差しました。3着にダイワテキサス。ナリタトップロードは9着に敗れました。
競馬 2000年 有馬記念 テイエムオペラオー - 高画質 -
これで破竹の重賞8連勝を飾りました。しかもGⅠ5勝です。5歳時は負けなしの快挙を達成しました。
明けて5歳になって(この年から馬齢表記が国際基準となりました)、主戦の和田竜二が落馬骨折したため、春初戦は4月のサンケイ大阪杯まで待つことになりました。しかし調整は順調に運びませんでした。それでも単勝1.3倍という圧倒的人気で出走してきました。しかし直線伸びを欠き4着に敗れました。場内騒然としました。
続くは春の天皇賞です。ここでは人気が2.0倍とやや落とすも1番人気になりました。2番人気はライバル、ナリタトップロード、3番人気はメイショウドトウでした。ここには1年半ぶりのセイウンスカイも出走していました。
レースはセイウンスカイが逃げますが途中で息切れ後退、バラバラの展開になりました。テイエムオペラオーは3コーナーから手が動き始め、さらにムチが入って、あれあれこれはテイエムオペラオーは無いかな、と思わせるような動きでした。直線に入ってナリタトップロードが抜けだし、それにテイエムオペラオーが襲いかかり、これをかわしゴールイン。2着には追い込んだメイショウドトウ、ナリタトップロードは3着に沈みました。
テイエムオペラオーはGⅠ6連勝を飾り、都合GⅠ7勝でシンボリルドルフに並び、春の天皇賞2連覇はメジロマックイーンに次いで2頭目。さらに天皇賞3勝は史上初の快挙でした。
そしてGⅠ8勝の新記録を目指して宝塚記念に出走しました。もちろん圧倒的1番人気、単勝1.5倍でした。2番人気はメイショウドトウ、3番人気がエアシャカールでした。
レースはメイショウドトウが早めの競馬で仕掛けます。テイエムオペラオーは天皇賞と同じように反応が鈍く、追いどおしで4コーナーへ。メイショウドトウは早くも先頭。テイエムオペラオーは4コーナーで中に入れず、大外に持ち出す不利を受け、懸命に追い込みます。しかしその差は大きすぎ、1馬身4分の1届かずの2着に終わりました。
和田竜二も馬がズブくなっているとコメントしているように反応が鈍くなってきていました。
GⅠ8勝の夢はお預けになりました。
秋初戦は京都大賞典です。またしてもナリタトップロードとの戦いです。単勝は1.4倍の圧倒的1番人気。2強対決になりましたが、直線では2強にステイゴールドも加わり3頭のデッドヒート。ステイゴールドが先頭に立ってから、外に斜行し、あおりを喰ったナリタトップロードが落馬。ステイゴールドは1着入線も失格となり、テイエムオペラオーが繰上りの優勝となりました。やはりテイエムオペラオーの走りに陰りが見えてきました。
続いて秋の天皇賞です。ここも1番人気に支持されます。2番人気は宿敵メイショウドトウ、3番人気にステイゴールドでした。
レースは直線抜けだすも、4番人気のアグネスデジタルに差され2着。メイショウドトウは3着。またしても夢はお預けになってしまいました。
続くジャパンカップ。またしても1番人気に支持され、3歳馬で日本ダービーを勝ったジャングルポケットが2番人気、メイショウドトウが3番人気でした。
レースは直線で抜け出すもゴール前でジャングルポケットに差されクビの差で2着。ナリタトップロードが3着に入り、ステイゴールド4着、メイショウドトウ5着でした。
これまで競り負けることなどなかった馬がやはり力の衰えなのでしょうか。
引退レースとなったグランプリ有馬記念では1番人気になったもののマンハッタンカフェの5着となって、生涯最低の着順となってしまいました。
5歳時以降常にしのぎを削ったメイショウドトウもこのレースを最後に引退しました。
ナリタトップロードはこの後も活躍しますがGⅠには届きませんでした。
テイエムオペラオーは古馬の中長距離のGⅠをすべて勝ちました。その勝ち方は常に圧倒的勝利とは違い、あのシンザンのように僅差で勝つというものでしたが、着差以上の強さを感じさせる勝ち方でした。無駄な勝ち方はしないという事でしょうか。
一流騎手だったらもっと勝てていたのでしょうか、それは判りません。和田竜二もこの馬に乗ったおかげで成長したのでしょう。
テイエムオペラオーの戦績 26戦14勝 2着6回 皐月賞 天皇賞(春)2回、天皇賞(秋)ジャパンカップ、有馬記念、宝塚記念
それでは今日はこの辺で。