今日のキネ旬シアターは『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でした。
監督:ジョー・ライト
主演:ゲイリー・オールドマン、クリスティン・トーマス、リリー・ジェームズ
制作:イギリス 2018年公開
この映画は1940年5月、ウィンストン・チャーチルが首相に就任してからダンケルクの撤退までの約4週間を扱った映画です。原題は『Darkest Hour』です。
第2次世界大戦が勃発し、ナチス・ドイツの侵攻が西ヨーロッパにまで及ぶようになると、それまでの弱腰政策を痛烈に批判されたチェンバレン首相は辞任を決意する代わりに労働党との挙国一致内閣を組閣することを条件としました。チェンバレンも国王のジョージ6世も外相のハリファックスを推しますが本人が固辞。となると労働党に受け入れられる人物はただ一人、海軍大臣のウィンストン・チャーチルだけでした。
しかしチャーチルはそれまでの軍人時代、政治家時代の戦略、政策の失敗を重ねており、周囲からは疑問視されていました。それでも国王から組閣を命じられ首相に任命されました。
チャーチルはチェンバレンとハリファックスと労働党の2人を含む5人で組閣しました。
就任早々、ドイツはベルギー、オランダに侵攻し、やがてベルギー陥落、フランス侵攻の危機が迫りました。
イギリス海軍はフランス防衛のために30万人を派遣していましたが、ドイツのフランス侵攻によりダンケルクに封鎖される形になっていました。チャーチルはカレーに残る部隊4000人に対し、ドイツの囮になりよう支持を出します。そしてドイツ軍をカレーに引き付けている間にダンケルクの部隊を救出する作戦を立てました。カレーにいる4000人は犠牲にする作戦です。いわゆるダイナモ作戦と呼ばれた作戦です。
チェンバレンとハリファックスはドイツとの和平交渉をイタリアの仲介で行う提案をチャーチルに持ち掛けますが、チャーチルは断固戦うと、意見を聞き入れません。
しかしフランスが降伏。目の前にイギリスの危機が迫りました。チャーチルはチェンバレンたちの意見に耳を傾けました。そして悩みます。
そんな時、国王がチャーチルを訪ねてきます。そして自分はチャーチルの味方だと囁きます。国王は国民の声に耳を傾けよと示唆します。
勇気を得たチャーチルは街に出て庶民と会話を交わします。庶民はナチスとの和平交渉は絶対反対、最後まで戦う決意はあると訴えます。
チャーチルは国会に戻り演説します。最後まで戦うと。国会は大喝采に揺れます。チェンバレンたちも納得します。
そしてダンケルクの救出は成功します。
映画はここまでです。ドキュメンターリー風に描いていますが、途中の描写は事実かどうかは分かりません。
この映画は歴史映画とは違ってウィンストン・チャーチルとはどんな人物だったのかということを描いた作品です。頑固で怒りっぽくて、今でいうパワハラなんてものじゃない。しかし言葉は巧、演説は人を酔わせます。
歴史上の評価はおそらく賛否両論でしょう。それでもイギリスがドイツに降伏していたら歴史は変わったかもしれません。タラレバですが。
反共産主義者で帝国主義者。大戦後イギリス労働党政権が植民地を放棄することを痛烈に批判しました。戦後に書いた『第2次世界大戦』はノーベル文学賞を獲りました。私も昔読みましたが、頭に残っていません。長かったことは憶えていますが。
ドラマの終わりから、ナチスドイツが降伏するまで約5年間、チャーチルは首相を務めますが、ドイツ降伏後は挙国一致内閣は解消、総選挙で保守党は惨敗。チャーチルは野党党首になり、1951年には首相に復帰します。
この作品は第90回のアカデミー賞の6部門にノミネートされ主演男優賞とメイクアップ賞を獲得しました。メイクアップ賞の一人は日本人の辻一弘で主演のゲイリー・オールドマンが直々に頼み込んだらしいです。辻氏はすでにメイクアップは引退していたらしいですが、ゲイリー・オールドマンが辻が引き受けてくれないなら、映画には出ないとまで言ったらしく、そこまで言われるならと引き受けたらしいです。メイクアップというのは凄いですね、誰だかわかりません。
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』90秒予告
それでは今日はこの辺で。