新春一発目のキネ旬シアターは正月にふさわしく『男はつらいよ』でした。
『男はつらいよ』シリーズの記念すべき第1作です。昨年暮れに50作目として公開された『男はつらいよ お帰り寅さん』の上映を記念してこの1作目が上映されたものと思います。私も劇場やビデオで何度も観ていますが、再び劇場で観たくなり足を運びました。4Kリマスター版です。画質は思ったよりきれいでした。
監督:山田洋次
製作:1969年 松竹
この第1作の上映の前年にフジテレビで『男はつらいよ』が毎週放映されていました。これが実に面白かったのです。
このテレビ版では妹のさくら役が長山藍子でした。マドンナは『若者たち』の佐藤オリエでした。それからおばちゃん役は杉山とく子でした。
そして佐藤蛾次郎は映画では寺男でしたがテレビでは実弟役でした。そしてとら屋の従業員で寅の舎弟に津坂匡章(秋野大作)も出演していました(映画でも出演しています)。また、さくらの夫・博士(ひろし)は井川比佐志でした。テレビ版では医者でした。
このテレビ版が面白くて、映画化されたということで当然観に行きました。キャストが若干入れ替わって当初はちょっと戸惑いましたが、それも回を重ねるうちに見慣れてきてました。それから1997年の特別編まで入れて49作を数えた超ロングセラーになりました。
そして昨年、50作目として『お帰り寅さん』が上映されました。まだ観ていませんが、山田洋次監督がどうしてもということで制作されたようです。
この第1作目は既に50年以上の年月が経っていますが、何度見ても笑えます。古さは全く感じません。そして今まではこの映画を観て泣くということは無かったのですが、今回久しぶりに観て思わず泣いてしまいました。笑っては泣き、笑っては泣きの大忙しの1時間半でした。ハンカチを忘れて涙を拭けずに困りました。
寅さんがマドンナに恋をして振られるというワンパターンのストーリーですが、そんなストーリーには関係なく何度見ても笑えるというのがこの映画の持つ魅力だと思います。八方破れの寅さんへの憧れのようなものがあるのでしょうか。そして結局はそれを許してしまう周りの人達の温かさと下町の人情が胸に沁みるのでしょう。
それと俳優陣の若かったことに改めて時の流れを感じました。特にマドンナの光本幸子さんとさくら役の倍賞千恵子さんの美しかったこと。おいちゃん、おばちゃん、御前様、タコ社長、源公、みんな若かった。
そして寅さんこと渥美清さんの演技に改めて感服しました。やはり彼は天才です。
名台詞が懐かしい!
「ケッコウケダラケ、ネコハイダラケ、シリノマワリハクソダラケ(結構毛だらけ、猫灰だらけ、尻の周りは糞だらけ)」
「たいしたもんだよ蛙の小便、見上げたもんだよ屋根屋のふんどし」
「ヤケのヤンパチ日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯がたたないよときやがった」
一瞬にして50年前にタイムスリップしたようでした。正月早々至福の時間を過ごしました。
映画『男はつらいよ』(第1作)予告編映像/4Kデジタル修復版ブルーレイ2019年12月5日リリース
キネ旬シアターでは第2作も上映するようです。また観に行きましょう。
それでは今日はこの辺で。