今日の「この人の、この1枚」はプロフェッサー・ロングヘアー(Professor Longhair)の『Rock'n' Roll Gumbo』です。
プロフェッサー・ロングヘアという変な名前を持つ爺さんは、本名ヘンリー・ローランド・バードといい、1918年ルイジアナ州ボガルーサで生まれています。
ニューオリンズ・ブルース、R&Bを代表するピアニストでありヴォーカリストです。
同じくニューオリンズR&Bを代表するミュージシャンのスマイリー・ルイスやファッツ・ドミノとは少し趣が違います。というのはプロフェッサーの音楽にはラテンのリズムが入っていることです。マンボやルンバ、カリプソまで幅広いR&Bやロックン・ロールが特徴です。アラン・トゥーサンやドクター・ジョンなどは彼の熱烈な信奉者です。
プロフェッサー・ロングヘアは15歳の頃からピアノ弾き始めます。やがて小さなクラブでピアノを弾くようになります。
1940年代の終わりごろ、カレドニアのクラブでデイヴ・バーソロミュー・バンドの演奏を聴きに行った折に、彼らの休憩時間に彼はステージに上がって勝手にピアノを弾き始めてしまいました。ところがこれが大うけで専属ピアニストになってしまいました。そして4人のバンドメンバーが全員長髪だったためバンド名を「プロフェッサー・ロングヘアとフォーヘアーズ」と名乗りました。おかげでデイヴ・バーソロミューはクビになってしまいました。デイヴ・バーソロミューのバンドには後にファッツ・ドミノが加わるのです。
1949年、スター・タレント・レコードに初めてのレコーディングをします。名義は「プロフェッサー・ロングヘア&ザ・シャッフリング・ハンガリアンズ」でした。「Mardi Gras in New Orleans」を含む4曲でした。しかし、このレーベルはすぐに倒産してしまったため、マーキュリー・レコードで再び録音、「Bald Head」がヒットしました。しかしここもトラブルがあり、アトランティックでまた録音とレコード会社を転々としました。
1949年から53年頃まで次々と録音しました。そして彼は名前がその都度代わります。ロイ・バード&ヒズ・ブルース・スカラーズ、ロイ“ボールド・ヘッド”バード、ローランド・バード、プロフェッサー・ロングヘア&ヒズ・ブルース・スカラーズ、プロフェッサー・ロングヘア&ザ・クリッパーズなどなど。これは契約上の問題をクリアーするためでした。
しかし、この期間が全盛期でした。この後はレコーディングするも全くヒットには恵まれませんでした。ところが1970年代になるとイギリスのブルース専門誌『ブルース・アンリミテッド』の編集長が彼を取り上げ、かつての録音をLPとして発売したところ、これが評判を呼び見事カムバックしたのです。
この『Rock'n' Roll Gumbo』はこのような経緯で発売されました。録音年月は不明です。おそらく1973~74年頃と思われます。日本発売は75年でした。
Side A
1.Junco Partner
2.Meet Me Tomorrow Night
3.Doin' It
4.How Long Has That Train Been Gone
5.Tipitina
6.Rockin' Pneumonia
Side B
1.Jambalaya
2.Mean Ol' World
3.Stag-O-Lee
4.Mess Around
5.Hey Now Baby
6.(They Call Me) Doctor Professor Longhair
メンバーは
Piano, Vocals - Professor Longhair
Bass - Julius Farmer
Congas - Alfred "Uganda" Roberts
Drums - Sheba
Guitar, Violin - Clarence "Gatemouth" Brown
Tenor Saxophone - Jerry Jumonville
Trumpet - Steve Madaio
プロデュースはPhilippe Raultです。
ギターとバイオリンでゲイトマウス・ブラウンが参加しています。
オリジナル7曲、カバーが5曲の構成です。「Tipitina」はドクター・ジョンもアルバム『Gumbo』でカバーしていますハンク・ウィリアムスの「Jambalaya」までカバーしています。幅広いです。
プロフェッサー・ロングヘアーは1980年に61歳で亡くなりました。
それでは今日はこの辺で。