Flying Skynyrdのブログ

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映画『林檎とポラロイド』を観る

先日のキネ旬シアターは『林檎とポラロイド』でした。

 

監督:クリストス・ニク

出演:アリス・セルヴェタリス、ソフィア・ゲオルゴヴァシリ

製作:2020年  ギリシャポーランドスロベニア 2022年  日本公開

 

クリストス・ニクの監督デビュー作品です。記憶とな何なのか、何とも奇妙な世界に連れていかれました。

 

男はある日バスに乗って眠ってしまい、終点で運転手に起こされます。男は名前を聞かれても思い出せません。すべての記憶を失ってしまったのです。救急車で病院に運ばれると医師団からは記憶喪失の診断を受けます。さまざまな検査から回復の可能性が低いことを指摘され、担当の女医からは回復のためのプログラム(新しい自分回復プログラム)を受けることを勧めます。世間では記憶喪失が蔓延しているようなのです。

そのプログラムとは、記憶回復は諦めて新しい自分を発見していくというものです。その内容は指示されたことを実行し、それをポラロイド・カメラに収めて整理するというのです。その指示はその都度カセットテープで送られてきます。「自転車に乗る」「ホラー映画を観る」「仮装パーティーで友達をつくる」「バーで飲み女を誘う」などなど、一見何の脈絡もない指示をこなしていきます。

そんな中で、やはりこのプログラムを受けているという女性と知り合います。そして二人は親しくなっていきます。果たしてこの男の記憶は回復するのでしょうか?それとも・・・・。

 

この「新しい自分プログラム」とは一体何なのか? 何かいかがわしいことを想像させるプログラムです。これを仕掛けた医師たちも何か怪しげです。

それはともあれ、人間の記憶とは何なのかをしばし考えさせられました。思い出したくない記憶を封印してしまうことはできるのか。逆に思い出したくても思い出せない記憶もあります。この映画の主人公は果たして本当に記憶喪失だったのか、それともその記憶に向き合いたくなかったのか。ラストシーンが印象的です。

 

原題はギリシャ語で「林檎」です。この「林檎」が最後に謎を解いてくた様に理解しました。

 

話は変わりますが、この映画の時代背景はいつ頃なのでしょうか。ポラロイド・カメラ、カセット・テープ、ダンスはツイスト、流れてくる曲は「涙のくちづけ」だったかな、などなど。1970年頃なのでしょうか。何とも不思議な世界へ連れて行ってもらいました。

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それでは今日はこの辺で。

 


林檎とポラロイド