私の大好きな女性シンガー、『マリア・マルダー(Maria Muldaur )』は1943年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ生まれです。1960年代の前半にはジョン・セバスチャンやデヴィッド・グリスマン、ステファン・グロスマンが在籍するイーヴン・ダズン・ジャグ・バンドに参加します。その後にジム・クエスキン・ジャグ・バンドに参加しジェフ・マルダーと出会い結婚します。
2人はジェフ&マリアとしてアルバムを2枚発表します。『Pottery Pie 』と『Sweet Potatoes』です。しかし、1972年に離婚し、デュオは解散します。
ジェフはポール・バターフィールドの「ベター・デイズ」に参加します。マリアはソロ活動に転向します。
そして1973年にソロ第1作として『Maria Muldaur』を発表します。この中の「Midnight at the Oasis(真夜中のオアシス)」がビルボードの6位を記録する大ヒットとなりました。このアルバムにはドクター・ジョン、ジム・ケルトナー、クラレンス・ホワイト、クリス・エスリッジ、ライ・クーダー、デヴィッド・グリスマン、エイモス・ギャレット、リチャード・グリーン、アンドリュー・ゴールド、ニック・デ・カロ、デヴィッド・ニクターンその他物凄いメンバーが参加しています。
翌、1974年にセカンドアルバム『ドーナッツ・ショップのウェイトレス(Waitress In A Donut SHop)』がリリースされます。
Side A
1.Squeeze Me
2.Gringo En Mexico
3.Cool River
4.I'm A Woman
5.Sweetheart
Side B
1.Honey Babe Blues
2.If You Haven't Any Hay
3.Oh Papa
4.It Ain't The Meat It's The Motion
5.Brickyard Blues
6.Travelin' Shoes
バックのメンバーにはびっくりします。
前作で参加したメンバー以外にもポール・バターフィールド、ドク・ワトソン、リンダ・ロンシュタット、ロウエル・ジョージ、ポール・ハリス、ジョン・カーン、ジム・ゴードン、マーク・ジョーダン、スプナー・オルダム、エルヴィン・ビショップ、などなど、さらにジャズ界からはミルト・ホランド、シェリー・マン、レイ・ブラウン、プラス・ジョンソン、それに大好きなバド・シャンクまで参加しています。もうこれだけで悪かろうはずがありません。
中身の方はオールドタイムミュージックです。
A-1はファッツ・ウォーラーの名曲。ジャジィーな雰囲気がたまりません。バド・シャンクが参加しています。
A-2はウェンディ・ウォルドマンの曲。マリアの色っぽい声が冴えます。
A-4はペギー・リーのヒット曲。ポール・バターフィールドのハープがいい。ジャズブルースです。
A-5はダン・ヒックスの曲。アルバムタイトル名の「ドーナッツ・ショップのウェイトレス」はこの曲の一節から取られました。スウィング風のムードたっぷり。
B-1はクラレンス・アシュレイの曲。
B-2はスキップ・ジェイムスの曲。これもポール・バターフィールドのハープが効いています。
B-3は珍しく前作で「真夜中のオアシス」を書いたデヴィッド・ニクターがマリアのために書いた曲。妖艶なムードたっぷり。
B-4はヘンリー・グローヴァ―とシド・ネイサンの曲。
B-5はアラン・トゥーサンの曲で私はこの中で一番気にっています。フランキー・ミラーもカバーしています。
B-6はトラディショナルナンバー。ほぼアカペラ。
夜、ウィスキーでも飲みながら聴いたら最高です。
またこのアルバム、ジャケットが凄いです。ここまでの”どアップ”はなかなかありません。それでも耐えられるのですから凄いです。
1975~6年頃だったと思いますが、マリアが初来日しました。友人のS.S君と観に行ったのですが(S.S君は忘れているようですが)、はじめに地味な女性ヴォーカルが出てきて数曲歌いました。あれ、これがマリア・マルダー?、随分地味だなと思っていました。ところがそれは前座だったのです。その彼女のステージが終わると、マリアが登場しました。場内の雰囲気が一変しました。派手というか、妖艶というか、もの凄い存在感で圧倒されました。このアルバムのジャケットのように色っぽく、歌も色っぽいうえにうまいときています。もう参りました。
この他に私が好きなアルバムを何枚か挙げると、ジェフ&マリア時代の『Sweet Potatoes』、ファーストの『Maria Muldaur』、3枚目の『Sweet Harmony』、1992年の『On The Sunny Side』あたりでしょうか。
マリア・マルダーも74歳になりました。体もすっかり大きくなりましたが元気らしいです。
Maria Muldauer - Brickyard Blues
Maria Muldaur - Midnight at the Oasis (Live)
それでは今日はこの辺で。