フリー(Free)からバッド・カンパニー(Bad Company)、そしてジミー・ペイジとのザ・ファーム(The Farm)と、その類まれなるソウルフルなヴォーカルで常に最前線を歩いてきたポール・ロジャース(Paul Rodgers)のソロアルバムの中でも最高傑作と思われるアルバムが、1993年にリリースされました。
1982年にバッド・カンパニーを脱退したポール・ロジャースは、翌年、初のソロアルバム『Cut Loose』をリリースします。
ここでロジャースはヴォーカルの他ギター、ベース、ドラム、キーボードをすべて一人でこなすマルチプレイヤーぶりを発揮しました。しかし商業的には成功しませんでした。
1985年にはレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジと組んでザ・ファーム(The Farm)を結成します。そして2枚のアルバムをリリースしますが、スーパーグループと言われた割には成功せず解散。
1991年、今度はフェイセズのケニー・ジョーンズと組んでザ・ロウ(The Low)を結成し、アルバム1枚をリリースしますが、これも不発に終わります。
そして1993年に再びソロアルバムをリリースします。それが『Muddy Water Blues: A Tribute to Muddy Waters』です。
Disk 1
01.Muddy Waters Blues (Acoustic Version)
02.Louisiana Blues
リードギター:トレヴァー・ラヴィン(Trevor Rabin)
03.I Can't Be Satisfied
リードギター:ブライアン・セッツァー(Brian Setzer)
04.Rollin' Stone
05.Good Morning Little School Girl, Pt. 1
06.I'm Your Hoochie Coochie Man
リードギター:スティーヴ・ミラー(Steve Miller)
07.She's Alright
リードギター:トレヴァー・ラヴィン(Trevor Rabin)
08.Standing Around Crying
リードギター:デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)
09.The Hunter
リードギター:スラッシュ(Slash)
10.She Moves Me
11.I'm Ready
12.I Just Want to Make Love to You
13.Born Under a Bad Sign
14.Good Morning Little School Girl, Pt. 2
リードギター:リッチー・サンボラ(Richie Sambora)
15.Muddy Waters Blues (Electric Version)
Disk 2 Paul Rodgers・The History
01.All Right Now
02.Wishing Well
03.Fire & Water
04.Bad Company
05.Feel Like Making Love
06.Cant't Get Enough
その他のメンバーは
ジェイソン・ボーナム(Jason Bonham,ds)
イアン・ハットン(Ian Hutton,g)
マーク・T.ウィリアムス(Mark T. Williams,bass drum)
ジミー・ウッド(Jimmie Wood,harmonica)
ポール・シャッファー(Paul Shaffer,organ)
デヴィッド・パイチ(David Paich,p,organ)
ロニー・フォスター(Rony Foster,organ)
その他バックヴォーカル
プロデュースはビリー・シャーウッド(Billy Sherwood)です。
ポール・ロジャースが尊敬して止まないマディー・ウォーターズに捧げられたアルバムです。ギターのみならずバックの名うてのメンバーを見ただけでわくわくしてきます。
フリーの初期の頃はブルースロック中心でしたが、次第にヘヴィーなハードロックへと移行し、バッド・カンパニーでもハードロックに徹していたので、久しぶりにロジャースのブルースを聴くことが出来ました。
01はポール・ロジャースのオリジナルです。アコースティックヴァージョンです。リードはバディ・ガイです。静かなブルースナンバー。
02はマディの曲。リードギターのトレヴァーはかつてのイエスのメンバー。
03もマディの曲。リードギターのブライアンは・セッツァーはストレイ・キャッツのメンバー。
04もマディの曲。リードギターはご存じジェフ・ベック。ジェフ・ベックとポール・ロジャースの組合せ。ジェフ・ベックのブルースを久しぶりに聴きました。絶妙のコンビです。
05はソニー・ボーイ・ウィリアムソンの代表曲。ここもギターはジェフ・ベックです。
06はウィリー・ディクソンの曲。マディーのレパートリー。ザ・バンドの『ラストワルツ』でも歌っていました。ギターはなんとスティーヴ・ミラーです。この組み合わせも胸が高鳴ります。
07はマディの曲。ギターはトレヴァー・ラヴィン。
08もマディの曲。ギターはピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア。ピンク・フロイドも元はサイケ、ブルースが出発点です。スローブルースで渋いギターを聴かせてくれます。アルバムのハイライトです。
09はブッカーT&MG'sの曲。フリーのファーストアルバムでもカバーしていた名曲。それがなんとガンズ&ローゼスのスラッシュのギターで蘇ります。
10はマディの曲。ギターはこれまた凄い。ゲイリー・ムーアです。どうしたらこれだけのギタリストを集められるのでしょう。これもポール・ロジャースの力でしょうか。
11はウィリー・ディクソンの曲。ギターはクイーンのブライアン・メイ。
12もウィリー・ディクソンの曲。ギターはジェフ・ベックです。
13はウィリアム・ベルとブッカー・T・ジョーンズの曲です。アルバート・キングなどブルースの定番です。ギターはジャーニーのニール・ショーンです。ニール・ショーンにはブルースがよく似合います。
14は05のパート2でソニー・ボーイ・ウィリアムソンの曲。ギターはボン・ジョビィのリッチー・サンボラの代わります。
15は01のエレクトリック・バージョン。ギターは再びニール・ショーン。
完璧なブルースロックです。どの曲もポール・ロジャースの気合のこもったヴォーカルとギター陣のエキサイティングなプレイ、そしてドラムのジェイソン・ボーナムその他のリズムセクションも言うこと無しのアルバムです。
おまけのCDが付いています。フリーとバッド・カンパニーの代表曲が入っています。これも嬉しい。
ポール・ロジャースはその後もソロアルバムのリリース、バッド・カンパニーの再結成、そして2005年にはクイーンと合流。クイーン+ポール・ロジャースの名前で世界ツアーを敢行、来日公演も果たします。そして2008年にはアルバムまで発表しました。
しかし、その後クイーンを離れ2010年に再びバッド・カンパニーを再結成。来日公演を果たします。
2014年にはアルバム『The Royal Sessions』を発表、全曲ソウル、ブルースナンバーをカヴァーし、久しぶりに元気な姿を見せてくれました。
1975年のバッド・カンパニーでの来日公演が今でも目に浮かびます。
まだまだ69才、元気いっぱいです。
Paul Rodgers (feat. David Gilmour) - Standing around crying
Paul Rodgers - I'm Your Hoochie Coochie Man
Born Under a Bad Sign- Paul Rodgers (High Quality)
それでは今日はこの辺で 。