Flying Skynyrdのブログ

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極上のメロハー 『テン(Ten)』 と 『ゲイリー・ヒューズ(Gary Hughes)』

今日は日本から売れ始めたバンド、テンを書きたいと思います。メロディアス・ハードは日本でよく売れるというのが定説ですが、このバンドはその典型じゃないかと思います。まず、日本で火がついて、その後本国のイギリスをはじめヨーロッパで売れ始めたという変わり種です。彼らの歩みをあまり長くならないよう2000年までに限って書いていきます。

テンはそれまでソロシンガーでアルバムも2枚出していたゲイリー・ヒューズの3枚目のソロアルバムを制作する予定で話が進んでいるところに、デア(Dare)のギタリストのヴィニー・バーンズ(Vinny Burns)と同じくデアのドラマー、グレッグ・モーガン(Greg Morgan)が参加して結成されました。もともとゲイリーのソロアルバムということで進められていたプロジェクトなので曲の大半はゲイリーのオリジナルです。そして1996年に『テン(Ⅹ)』がファーストアルバムとしてリリースされます。他のメンバーはセッションミュージシャンを起用しています。

 

いきなりクラシカルなiインストから始まる「The Crusades」以降、メロハーのオンパレードです。これは日本人の好みにピッタリです。ヴィニー・バーンズの泣きのギターが光ります。

 

そして5か月後という短いスパンでセカンドアルバム『The Name Of The Rose』がリリースされます。

この短い期間でのリリースはゲイリーがソロアルバムの制作のためにため込んでいたが楽曲がかなりあり、前作のリリース時点でセカンドの制作もかなり進んでいたという事らしいです。メンバーも正式に6人になりました。ベースのシェリー(Shelley)はやはりもとデアのメンバーです。セカンドギターは元Cageのジョン・ハリーウェル(John Halliwell)、キーボードは元Tygers Of Pantangのシェド・ライランズ(Ced Rylands)です。

このアルバムも前作の延長線上にあり、メロディアスでハードで・ロックとバラードがうまい具合にバランスがとれて素晴らしい出来に仕上がっています。ここでもオープニングのタイトル曲をはじめ、ヴィニーのギターが冴えます。

 

続いて1年後の1997年にサードアルバム『The Robe』がリリースされます。

ここで、シェリーがメンバーから外れベースはセッションミュージシャンが起用されます。そして10曲中3曲がヴィニー・バーンズとの共作になっています。プロデュースもこれまでゲイリーとマイク・ストーンの共同でしたが今作からゲイリーの単独になっています。メロハーにますます磨きがかかっています。ミディアムテンポの曲が多くなっているような気はします。

 

この後、1998年に2枚組のライブアルバムを発表します。『Never Say Goodbye』です。

 さらにこの年、驚くことにゲイリーは3枚目のソロアルバムを発表します。『Precious Ones』です。バックにはテンのメンバーが参加しています。

 内容はハードロックというよりはどちらかというとAOR的なアルバムです。テンよりはかなりソフトな感じです。それにしてもこのバイタリティには驚かされます。

 

さらにこの年5枚目のアルバム『Sprellbound』をリリースします。まさに驚異的です。

 

このアルバムには変化が見られます。まずはアルバムのアートワークです。これまでとは全く違ったジャケットになっています。レコード会社もマーキュリーに変わったということもあるのか、イラストはスペインのルイス・ロヨという人です。さらにベースにスティーヴ・マッケンナ(Steve Mckenna)が加わります。そしてレコーディング・ミックスはレフ・マッケンナといってフェア・ウォーニングのファーストアルバムをミックスした人です。内容はメロディアスなことは変わりませんが、よりハードロック的な部分も少し増えたような気がします。

 

そして2000年に『Babylon』をリリースします。

 このアルバムはヴァーチャル・リアリティを扱ったコンセプト・アルバムになっています。キーボードのシェド・ライランズが脱退し、ゲストでレインボーやゲイリー・ムーアでおなじみのドン・エイリーが参加しています。ここでは全曲ゲイリーの曲になっています。コンセプトアルバムとなっていますが、楽曲の方はメロディアス健在です。

このアルバム発表の少し前にヴィニーのソロアルバムも発表されています。『The Journey』です。

ここではヴィニーのギターがたっぷりと堪能できます。

しかし、残念ながらヴィニーは2002年にテンを脱退します。その後も大幅にメンバーチェンジがあり、ゲイリーがグループを率いて頑張っているという現状です。

ヴィニーが去った後のテンの評価は大きく分かれてしまっています。

ということで2000年までに焦点を当ててテンとゲイリー・ヒューズを見てきました。

やっぱりメロハーはいい!

 


Ten - After The Love Has Gone

 

それでは今日はこの辺で。