キューバ出身のアメリカ人シンガー・ソングライター、グロリア・エステファン(Gloria Estefan)です。
グロリアは1957年、キューバのハバナで生まれました。父親はかつての大統領バティスタのボディーガード務めるなど優秀な軍人でしたが、キューバ革命でアメリカのマイアミに亡命しました。彼女が1歳の時でした。父親はその後アメリカ軍に入隊しました。母親は教師になりました。グロリアは奨学金でマイアミ大学を卒業しました。
1975年に後に夫となるエミリオ・エステファンが率いる「マイアミ・ラテン・ボーイズ」に参加します。
1978年にはエミリオと結婚、バンド名を「マイアミ・サウンド・マシーン」に変えました。
「マイアミ・サウンド・マシーン」はポップ、ディスコ、サルサを融合し、スペイン語のレコーディングでマイアミや中米で支持されました。
1984年には『Eyes of Innocence』で英語圏への進出を始めました。
これが全米で18位、全英で6位、ディスコチャートでは1位を記録する大ヒットとなりました。
そして1985年のアルバム『Primitive Love』は全米の10位を記録するヒットとなりました。ラテン・ポップ部門では1位になり、150万枚を売り上げました。
この中の「コンガ」は彼女の代表曲になり、東京音楽祭でもグランプリを獲得しました。
続く1987年には『Let It Loose』を発表します。
これは空前のヒットをもたらします。400万枚を売り上げる4✖プラチナになりました。ビルボードでも6位にまでなりました。
そしてこの後からはグロリア・エステファンの名義でアルバムが出されることになります。
1989年の『Cuts Both Ways』、1991年の『Into The Light』と続きます。
そして1993年にグロリアがキューバへの思いを歌った、私が一番気に入っている『ミ・ティエラ~遥かなる灼熱(Mi Tierra』がリリースされます。
01.Con los años que me quedan
02.Mi Tierra
03.Aye
04.Mi Buen Amor
05.Tus Ojos
06.No Hay Mal Que por Bien No Venga
07.¡Si Señor!...
08.Volverás
09.Montuno
10.Hablemos El Mismo Idioma
11.Hablas de Mí
12.Tradición
これはまさにキューバ音楽そのものです。静かなキューバのボレロで始まります。
タイトルの「ミ・ティエラ」は「私の故郷」という意味らしいです。つまりグロリアにとってのキューバです。革命によって故郷を去らざるを得なかった人たちにとっての故郷はどうなったのか、ということをキューバ音楽に乗せて切々と歌います。このキューバ音楽のリズムとメロディーはなぜか哀愁を感じさせ、心に迫ってきます。ヴィム・ヴェンダースの映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を思い出します。
このアルバムは多分に政治的な要素を含んでいますが、それを抜きにしても素晴らしいアルバムです。
参加メンバーには「マイアミ・サウンド・マシーン」のメンバーや亡命したミュージシャンが多数参加しています。
このアルバムは世界中で800万枚を売り上げるという驚異的な記録を達成しました。ビルボードではラテンアルバムの1位、チャートでも27位を記録しました。スペインでは当然1位、アメリカでは16✖プラチナでした。シングルの「Mi Tierra」他7曲ものシングルがヒットしました。「ベスト・トロピカル・アルバム」でグラミー賞も受賞しました。
グロリア・エステファンはこの後も2度のグラミー賞に輝くなど、数々の音楽賞を受賞する世界的な歌手になりました。
1996年のアトランタ・オリンピックの閉会式でも歌いました。また、1993年にはマイアミ大学の名誉博士号も取得しました。
人間の運命とは本当に不思議なものです。
Gloria Estefan - Con los Años Que Me Quedan
Gloria Estevan Tus ojos(your eyes)
それでは今日はこの辺で。