遅ればせながらウィッシュボーン・アッシュ(Wishbone Ash)の登場です。
ブリティッシュ・ロックの歴史を語る上では欠かせない存在です。
元々の結成は1966年でした。イギリス南部の都市でマーティン・ターナー(Martin Turner,b,vo)とグレン・ターナー(Glen Turner,g)の兄弟とスティーヴ・アプトン(Steve Upton,ds,perc)が結成したTanglewoodというバンドがスタートでした。しかし、なかなか芽が出ず、思い切ってロンドンで勝負しようということになり、ロンドンに出て来ました。この時にグレンが退団し、代わりにテッド・ターナー(Ted Turner,g,vo)が加入し、さらにアンディ・パウエル(Andy Powell,g,vo)が参加してウィッシュボーン・アッシュとして成立しました。ちなみにマーティンとテッドは兄弟ではありません。
ウィッシュボーン・アッシュはツイン・ギターでトリプル・ヴォーカルです。デビューは1970年、『Wishbone Ash(光なき世界)』でした。
ウィッシュボーン・アッシュ の音楽はプログレッシブ・ロックとハードロックとトラッド・フォークを融合させたような、いわゆるブルースロックとは一線を画していました。
翌年にはセカンドアルバム『Pilgrimage(巡礼の旅)』が発表されました。
ジャズの要素も加わったセカンドアルバム。ファーストもそうでしたが、このバンドの特徴はインスツルメンツ・ナンバーが多いことです。イギリスのベンチャーズなどと軽口をささやかれることもありました。
そして、1972年、サードアルバム『Argus(百眼のアーガス)』がリリースされます。
Side A
1.Time Was
2.Sometime World
3.Blowin' Free
Side B
1.The King Will Come
2.Leaf and Stream
3.Warrior
4.Throw Down the Sword
プロデュースはデレク・ローレンス(DereK Lawrence)です。
このアルバムは全英で3位を記録しました。アメリカでは13週にわたりビルボート・トップ200入りを果たしました。
A-1はブリティッシュ・フォーク調のイントロで始まり、やがてアンディのリード・ギターが聞こえてきます。ヴォーカルはテッドとマーティンです。
A-2はアンディとテッドのツイン・リードです。ヴォーカルはマーティンとアンディです。ブルージーでありながら美しい曲です。
A-3はテッドのスライド・ギターが聴けます。ヴォーカルはマーティン、アンディ、テッドです。3人のハーモニーが聴けます。
B-1はテッドのリード・ギターです。マーティンとアンディがヴォーカル。トラッドフォーク調のロックナンバー。
B-2はアンディのリード・ギター。ヴォーカルはマーティン。アコースティカルなナンバー。
B-3はアンディのリード・ギター。幻想的なナンバー。
B-4もアンディのリード・ギター。ミディアム・テンポのロックナンバー。プログレ風です。ジョン・タウト(John Tout)のオルガンがフューチャーされています。
ウィッシュボーン・アッシュのアルバムの中でも、このアルバムがやはり最高傑作だと思います。
1973年には『Wishbone Four』、2枚組ライブ『Live Dates』をそれぞれリリースします。
後者はライブバンドとしての本領発揮です。
ここでテッドが退団します。代わりにローリー・ワイズフィールド(Laurie Wisefield,g,vo)が加わります。
そして6枚目のアルバム『There's the Rub(永遠の不安)』がリリースされます。
1976年には『Locked In(限りなき束縛)』と『New England』がリリースされます。
アメリカ進出を狙ってビル・シムジクやトム・ダウトをプロデューサーに迎え、アルバム制作を図りましたが、結局成功せずアメリカから撤退します。
本拠地をイギリスに戻して活動しますが、かつての勢いは戻りませんでした。現在はオリジナルメンバーがアンディ・パウエルのみとなって活動を続けています。
Wishbone Ash - Leaf and Stream
Wishbone Ash - Throw Down The Sword
それでは今日はこの辺で。