Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

フォークルと高石『イムジン河』

今日の「聴き比べ」はかの有名なイムジン河です。

いろいろな人が歌っていますが、私にとっては当然60年代後半にザ・フォーク・クルセダーズが歌ったバージョンの印象が強すぎます。

この曲は彼らの「帰ってきたヨッパライ」に続くシングルとなるはずでした。ところが、南北の朝鮮からそれぞれ横やりが入ったとかで発売が中止されてしまいました。実際にはかなりの数が売られてしまったようです。当時は国内でも70年安保闘争の真っ盛りで、部落差別や民族差別など政治的な刺激を与えることを恐れたのかもしれません。

 

この頃の日本のフォークには発売禁止歌や放送禁止歌と言われるものがたくさんありました。この曲はその代表的な曲でした。実際にはレコード会社や放送局側が自粛するという形が多かったようですが。岡林信康先生の「手紙」「チューリップのアップリケ」「ヘライデ」、高田渡先生の「自衛隊に入ろう」「三億円強奪事件の唄」、泉谷しげるの「黒いカバン」、赤い鳥の「竹田の子守唄」、山平和彦の「放送禁止歌」、三上寛の「夢は夜ひらく」などなど。しかし、実際はラジオからはよく流れてきたという記憶があります。

 

この「イムジン河」は加藤和彦の友人の松山猛朝鮮学校の生徒から教えてもらった曲に訳詞を付けたものを加藤和彦に教え、曲ができたようです。松山猛は1番しか教えてもらっていなかったので、2,3番を自分で作詞しました。

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イムジン河

 

作曲:高宗漢

原詩:朴世永

訳詞:松山猛

 

 

イムジン河 水清く とうとうと流る

水鳥 自由にむらがり 飛び交うよ

我が祖国 南の地 想いははるか

イムジン河 水清く とうとうと流る

 

北の大地から 南の空へ

飛び行く鳥よ 自由の使者よ

誰が祖国を 二つに分けてしまったの

誰が祖国を 分けてしまったの

 

イムジン河 空遠く 虹よかかっておくれ

河よ 想いを伝えておくれ

ふるさとを いつまでも忘れはしない

イムジン河 水清く とうとうと流る

 


イムジン河 フォーク・クルセイダーズ

 

1967年の自主製作盤『ハレンチ』には別なバージョンが収録されています。3番は朝鮮語です。


イムジン河 2017REMASTER

 

この曲を高石友也先生もカバーしました。アルバム『坊やおおきくならないで/高石友也フォーク・アルバム第3集』のボーナス・トラックに収録されました。


イムジン河 🐯 高石ともや

 

 

ザ・フォーシュリークというグループが1968年に『リムジン江』というタイトルで、また歌詞も李錦玉という人の訳詞で発表しましたが、これも放送禁止歌に指定されました。このグループは後に山田パンダやイルカなども在籍したシュリークスの全身です。

 

リムジン江

 

作曲:高宗漢

作詞:朴世永

訳詩:李錦玉

 

リムジンガン水清く

静かに流れゆき

鳥は 川よぎり

自由に 飛びかうよ

南のふるさとへ なぜに帰れぬ

リムジンの流れよ

答えておくれ

 

悲しく 水鳥は

南の岸で鳴き

荒れた野良には

むなしく風が立つ

しあわせ花咲く 祖国の民の歌

リムジンの流れよ

伝えておくれ

 


ザ・フォーシュリーク 『 リムジン江(イムジン河)』

 

イルカもこちらのバージョンです。


リムジン江 🐬 イルカ

 

この頃はまだ北朝鮮ユートピアのような国だったのです。