今日の「この人の、この1枚」はキャンド・ヒート(Canned Heat)の『ブギー・ウィズ・キャンド・ヒート(Boogie With Canned Heat)』です。
このブログを始めた頃に、『ブルースロックの名手たち』というシリーズで何組かのアーティストをまとめて紹介した記事を書いていました。個別のアーティストについて詳しく触れられなかったので、改めて彼らのアルバムを何枚かづつ紹介したいと思います。まさかこんなにブログを続けることになるとは思ってもいませんでしたので、とにかく多くのバンドをいっぺんに書きたかったのでしょう。今読み返したらこの頃は読者の方もほとんどいませんでした。
ということで、今日はキャンド・ヒートのセカンド・アルバム『ブギー・ウィズ・キャンド・ヒート(Boogie With Canned Heat)』を取り上げます。
キャンド・ヒートの結成は1965年、ロサンゼルスです。デビュー・アルバムは1967年の『Canned Heat』です。結成からデビュー・アルバムまでの間にメンバー変遷があり、デビュー・アルバム時のメンバーは
ボブ・ハイト(Bob “The Bear” Hite, vo)
アラン・ウィルソン(Alan”The Blind Owl” Wilson, g, vo,harmonica)
ヘンリー・ヴェスティン(Henry “The Sunflower” Vestine, g)
ラリー・テイラー(Larry Taylor, b)
フランク・クック(Frank Cook, ds)
中心メンバーはボブ(熊)とアラン(フクロウ)です。二人とも熱心なブルース愛好家でした。ボブはレコード・コレクターとしても知られていました。ボブの家でブルースのレコードを聴いていると楽器を持っていた連中が演奏を始めました。これがキャンド・ヒートの始まりです。そこにアランもいました。ベンチャーズのドン・ウィルソンの弟です。アランはほとんど盲目に近いド近視でした。それで「盲目のフクロウ」というニックネームがついています。ちなみにボブは大変な巨漢で「熊」というニックネームでした。ジョン・ファヒー(John Fahey)もいました。ただし彼はすぐ辞めて、代わりにマザーズ・オブ・インベンションからヘンリー・ヴェスティンが加入しました。ラリー・テイラーはベンチャーズのメル・テイラーの弟でモンキーズのセッション・ベーシストでした。フランク・クックはジャズ・ミュージシャンとの共演が豊富なドラマーでした。
デビュー・アルバムは全曲ブルースのカヴァーでした。このアルバムの直前には『モンタレー・ポップ・フェスティバル』に出演していました。その影響もあるのか、このアルバムは当時ブルースなど黒人の間でも人気がなかったのですが、ビルボードの76位と大健闘でした。
そしてドラムがフランクからアドルフォ・デ・ラ・パーラ(Adolfo"Fito" de la Parra ,ds)に代わって1968年にセカンド・アルバム『ブギー・ウィズ・キャンド・ヒート(Boogie With Canned Heat)』がリリースされました。
Side A
1.Evil Woman
2.My Crime
3.On the Road Again
4.World in a Jug
5.Turpentine Moan
6.Whiskey Headed Woman No. 2
Side B
1.Amphetamine Annie
2.An Owl Song
3.Marie Laveau
4.Fried Hockey Boogie
アディショナル・ミュージシャンで
ドクター・ジョン(Dr. John ,horn arrangements, p)とブルースマンのサニーランド・スリム(Sunnyland Slim ,p)が参加しています。
プロデュースはスキップ・テイラー(Skip Taylor)とダラス・スミス(Dallas Smith)です。
アルバム・ジャケットが日本盤とアメリカ盤では違っています。よくあることです。日本では先にサード・アルバムが紹介されました。キこのセカンド・アルバムはその後に『ニュー・ロック・ベスト・シリーズ』として東芝リバティから発売されました。
このアルバムはファーストと打って変わってA1を除いてその他はすべてキャンド・ヒートのオリジナルです。A3の「オン・ザ・ロード・アゲイン」は彼らの代表曲の一つでブルースマンのフロイド・ジョーンズが1953年に録音したものをアラン・ウィルソンが焼き直したもので、これが全米16位、全英8位のヒットとなりました。ヴォーカルはアランで、彼の蜂のようなだと言われたファルセットは一度聴いたら忘れられません。多くの著名な黒人ブルースマンはアランのハーモニカは史上最高だと絶賛しています。B1は薬物使用に対する警告です。
この頃のアメリカのブルースバンドと言えばポール・バターフィールド・ブルースバンドがいますが、彼らはシカゴ・ブルースを基本としていましたが、キャンドヒートはどちらかというとそれ以前のミシシッピ・デルタ地帯のデルタ・ブルースを基本に置いていました。
この後、2枚組のサード・アルバム『Living the Blues』がリリースされますが、それは次回に回します。
Canned Heat - Boogie With Canned Heat - 01 - Evil Woman
Canned Heat - On The Road Again [HQ]
Canned Heat - Boogie With Canned Heat - 08 - An Owl Song
それでは今日はこの辺で。