Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

佐川一政、死す!

昨日の新聞の訃報欄に佐川一政の名前がありました。この名前を憶えている人はどの位いるでしょう。私は41年前の嫌な記憶が戻ってきました。

   

佐川一政は1981年、パリの大学に留学中に同じ大学のオランダからの女子留学生を自宅で銃で殺害し、屍姦し彼女の遺体を切断し、その肉を食べたのです。その後、死体を遺棄しようとしているところを発見され逮捕されました。

 

ところが、フランスの警察は精神鑑定の結果、心神喪失の状態だったとして不起訴処分にしました。これには驚きました。その後、日本に送還され東京の精神科病院に入院しましたが、その病院の医師は佐川は精神病ではないと判断、警察も彼を起訴しようとしましたが、フランスの警察は不起訴となった事件の資料の提供を拒み、結局そのまま病院も退院しました。

 

すると、マスコミは彼を特別扱いし、テレビ出演したり、小説を執筆・出版し、時の人となりました。宮崎勤事件の時などでも大活躍でした。また、神戸連続児童殺傷事件の時は『少年A』の出版もしました。

 

が、その後しだいに仕事も減り、収入も無くなっていきますが、女遊びは止められず、闇金からの借金まみれになって逃亡。それでも父親の遺産で借金は返済しましたが、一時は生活保護を受けた時期もあったようです。その後は脳梗塞など病気を発症、そしてとうとう今年の11月24日、肺炎のために亡くなりました。

 

父親はあの栗田工業の社長でした。未熟児で生まれ、小さいころから人肉を食べることに興味を抱いていたようです。こんな男が前代未聞の犯罪を犯し、世間を震撼させたにも関わらず、不起訴となってのうのうとテレビなどに出ている姿を見て、激しい嫌悪感を持ちました。

 

その頃、ローリング・ストーンズのアルバム『アンダーカバー(Undercover)』の中で「Too Much Blood」という曲でこの事件に触れていました。

 

 

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また、あの状況劇場唐十郎が書いた小説『佐川君からの手紙』が1983年の芥川賞を受賞しました。これには驚き、さっそく読んで衝撃を受けた記憶が残っています。いわゆるカニバリズム系の小説、たとえば武田泰淳の『ひかりごけ』や大岡昇平の『野火』なども読みましたが、この『佐川君からの手紙』はまた違った意味でショックでした。

 

大久保清宮崎勤、勝田清孝など残虐な殺人犯はいましたが、それぞれ刑に服しています。ただ、この佐川一政は裁かれることなく、牢獄にも入らず、しゃばで人生を全うした稀な殺人犯です。

あれから41年、忘れていた嫌な気持ちが蘇ってしまいました。

 

それでは今日はこの辺で。