先日、たまたまテレビをつけたら懐かしい映画が放映されていました。『地下室のメロディー』でした。
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
製作:1963年 フランス 同年 日本公開
この映画を初めて観たのはおよそ50年以上前になります。洋画を観始めた高校生の頃、当時からフランスではアラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが人気を二分していました。劇場で初めてアラン・ドロンの映画を観たのは確か1969年の『シシリアン』だと思います。この映画もジャン・ギャバンとの競演で話題になりました。監督も同じくアンリ・ヴェルヌイユでした。もう一人の競演が『冒険者たち』で共演したリノ・ヴァンチュラでした。この映画でアラン・ドロンに魅了され、後追いで過去の映画を観始めました。その中にこの『地下室のメロディー』もありました。
『太陽がいっぱい』『若者のすべて』『太陽はひとりぼっち』『危険がいっぱい』『山猫』『冒険者たち』『サムライ』『悪魔のようなあなた』『あの胸にもういちど』『さらば友よ』『太陽が知っている』などなど、思い出すだけで次から次へとアラン・ドロンの姿が浮かんできます。その後も多くの映画に出演しました。J.Pベルモンドとの『ボルサリーノ』、イヴ・モンタンとの『仁義』、三船敏郎、チャールズ・ブロンソンとの『レッド・サン』、リチャード・バートンとの『暗殺者のメロディー』、カトリーヌ・ドヌーヴとの『リスボン特急』、そして再びジャン・ギャバンとの『暗黒街のふたり』などなど、数えだしたらきりがありません。
この『地下室のメロディー』はアラン・ドロン得意のフィルム・ノアールの一作で緊迫感溢れる映画でした。
高齢のギャング、シャルル(ジャン・ギャバン)は生涯最後の一世一代の大仕事としてカンヌのカジノの地下金庫から10億フランを盗み出す計画を練っていました。旧友に声をかけると、カジノの図面を渡してくれたが自分は体力的に無理だと辞退します。
そこでシャルルは刑務所で一緒だったチンピラのフランシス(アラン・ドロン)を誘います。さらにフランシスの義兄を運転手として雇い着々と計画を進めます。一足先にカンヌに入ったフランシスはカジノのダンサーをたらし込み、カジノの舞台裏へ入り込む手段を得ました。
そして犯行当日、フランシスはカジノのステージの舞台裏から屋上へ抜け、通風孔からエレベーターの上に降り地下の金庫室へと侵入、従業員を銃で脅し、外で待つシャルルを迎え入れます。そして金庫室から手提げバック2つに10億フランを詰め込み、まんまと逃走します。これで計画は成功したはずだったのですが、思わぬ落とし穴がありました。
翌日の新聞にカジノでのフランシスの姿が映し出されていたのです。シャルルは慌ててフランシスに電話して、金の入ったバッグを自分の車に詰め込めと命令します。フランシスはバッグを持って車に向かいますが、そこら中に警察が立っています。身動きができないフランシスはプールの片隅でじっと警察が立ち去るのを待ちます。しかし、なかなか警察は去りません。危険を感じたフランシスは2つのバッグをプールに沈めます。そして暫くすると、バッグの蓋から札束が漏れ出してきました。やがてプール一面を紙幣が覆ってしまいました。
ラストシーンにフランス映画の粋を感じさせます。ジャン・ギャバンも若いドロンもカッコよかった!金庫室に忍び込む場面は緊張感いっぱいでした。
この映画、後にカラー化されたものが売り出されましたが、やはり私はこの白黒バージョンが好きです。
それでは今日はこの辺で。