Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

桂歌丸 逝く! & 日本サッカー惜敗 !

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とうとう桂歌丸師匠が逝ってしまいました。酸素吸入の管を装着しながらの高座は痛々しいものがありましたが、その心意気には感服させられたものでした。

歌丸と言えば笑点です。笑点の初代大喜利メンバーです。初代メンバーで生き残っているのは林家こん平だけとなりました。そのこん平も多発性硬化症とやらで闘病中で落語はできません。

立川談志三遊亭圓楽三遊亭金遊改め小圓遊柳亭小痴楽改め春風亭梅橋林家こん平、そして桂歌丸。座布団運びはウルトラマン石井伊吉こと毒蝮三太夫笑点の初代メンバーです。昭和41年に開始されました。2016年まで出演しました。司会まで勤めました。

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左から、歌丸、こん平、圓楽、談志、梅橋、小圓遊、毒蝮

桂歌丸はもともとはあの「おばあさん」の古今亭今輔の弟子でした。弟子入りは昭和26年、入門時は古今亭今児を名乗りました。ただ歌丸古典落語をやりたかったようで、新作派の今輔のところでは不満があったのかもしれません。人に勧められて今輔に弟子入りしただけで、歌丸曰く「噺家になれれば誰でも良かった」ようです。高座では古典ばかり演じるので今輔から破門されてしまいます。

暫くはポーラ化粧品のセールスマンになりますが。諦めきれず橘ノ圓の口添えで今輔にとりなしをしてもらい、兄弟子の桂米丸の弟子になります。米丸の弟子になって桂米坊、そして昭和39年に初代桂歌丸を名乗ります。昭和43年に真打に昇進します。

 

歌丸もこの頃はまだ新作落語を演じていました。いつごろからか、古典落語を演じるようになりました。これは歌丸が本来演じたかった落語なのです。特に三遊亭圓朝作などの大ネタを演じました。落語芸術協会会長まで勤め、旭日小綬章まで受けました。

 

晩年は病気との戦いでした。腰部脊柱管狭窄症による2度の手術、腸閉塞、肺気腫慢性閉塞性肺疾患による入退院の繰り返し。それでも高座にかける執念は人一倍でした。桂米丸も師匠の自分より先に弟子が逝ってしまってさぞかし残念なことでしょう。

 

話は変わりますが、私は小学校からの落語ファンで、高校の頃は本気で落語家の弟子入りを考えたほどです。すぐに諦めましたが。

特に古今亭志ん生文楽から始まって、三遊亭圓生柳家小さん等大名人、昭和の四天王と言われた立川談志古今亭志ん朝三遊亭圓楽春風亭柳などを聴いては楽しんでいました。その他にも綺羅星のごとく名人がおりました。東京へ出てからは寄席にも随分通いました。DVD、CDも随分集めました。

その中でも多いのはやはり志ん生志ん朝、談志です。上記の名人たちはすでに全員他界しています。

今残っている昭和の名人と言えば柳家小三治三遊亭圓窓ぐらいでしょうか。

最近はお笑いブームで、落語ももてはやされているようです。歌丸師匠も喜んでいる事でしょう。

最近の若手落語家はあまり聴きませんが、昔のテープは今でもよく聴きます。昔は寄席番組が多くて楽しかったな。

 

いつも音楽と映画の話ばかりなのでたまには変わったネタを書いてみました。

 

歌丸師匠は生前、「古典ネタを自分のものにするのは本当に苦しい。この苦しさから解放されるときは死ぬ時だ」と話していました。これでやっと楽になれたことでしょう。

 

心よりご冥福をお祈りします。合掌

 

 

追記

これまた全く話は変わりますが、老体に鞭打って早起きしてサッカーを観ました。ほぼ勝ったと思ったら負けました。昔のサッカー少年としては残念な結果ですが、よく頑張ったと言ってあげたいと思います。あと一歩でした。

メキシコオリンピック歓喜を今一度と思ったのですが、次回の楽しみということですね。

 

 

それでは今日はこの辺で。

 

 

 

映画『花咲くころ』を観る

今日のキネ旬シアターは『花咲くころ』でした。 

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監督:ナナ・エクチミシヴィリ、ジーモン・グロス

主演:リカ・バブルアニ、マリアム・ボケリア

制作:2013年ジョージアグルジア)、ドイツ、フランス 日本公開2018年

 

2015年からジョージアと表記するようになったかつてのグルジアの映画です。おそらく初めて観るグルジア映画です。グルジア黒海カスピ海に挟まれた、人口3700万人ほど、ワイン発祥の国です。まだまだ経済的には貧しい国です。

旧ソ連の構成国で、1991年ソ連解体と共に独立もしばらく旧ソ連勢力との内戦状態が続きます。その内戦が休戦状態にあった1992年の首都トビリシが舞台となっています。

ジョージアと言えば最近大相撲の栃ノ心大関になって一躍有名になりました。私などはまだグルジアと言った方がピンときます。

 

この映画、とにかく不機嫌です。登場人物ほとんど全員が常に怒っています。主人公の二人の女生徒の家族、学校の教師、同級生、配給のパンに並ぶ行列の人々、みんな不機嫌で喧嘩ばかりしています。

 

二人の女生徒、エカとナティアは14歳、親友です。エカの父親は殺人の罪で刑務所に入っています。姉は悪友と遊んでばかり。母親は無関心。ナティアの父親は飲んだくれで、いつも母親と喧嘩。祖母は口うるさく怒ってばかり。弟とは常に喧嘩。要は国全体が未来を見等せずイライラしていたのでしょう。

 

この二人の救いはお互いの友情です。ある日、ナティアはボーイフレンドのラドから拳銃をもらいます。「お前が心配だから、これで自分を守れ」と言います。

ナティアはエカが不良のコプラにいじめられているのを知り、拳銃を渡します。これで脅かせというのです。エカは無視しているからいいと断りますが、無理やり押し付けられます。

 

ナティアはラドに好意を持っているのですが、コテというあまり質の良くない男に求婚されます。ナティアは笑って一蹴します。何故だと聞くコテにナティアは「バカだから」と応えます。

 

しかしある日パンの配給の行列にエカと並んでいるときに仲間と共に車でやってきたコテに拉致されてしまいます。そして強姦されます(想像です)。

 

場面は変わってナティアの結婚式です。驚きます。これは映画の中の少女たちの会話の中でも出て来ますが、この国のこの当時の女性は処女のまま結婚するのが一般的で、処女じゃなかったら離婚されるというのです。つまりナティアは止む無く結婚の道を選んだというわけです。大昔の日本のようです。それでもまだ14歳です。

 

エカはナティアの選択が不満です。トイレにナティアを呼び出し拳銃を返します。ナティアは自分は幸せになるからとエカに言います。エカは皆の前で民族舞踊のような踊りを披露します。この場面は圧巻です。

 

結婚後エカがナティアを訪ねます。ナティアは結婚生活や夫に対する有り余る不満をぶちまけます。エカは見かねて実家に帰って誕生会をやろうと連れ出します。祖母が料理を用意してくれました。グルジア特産のワインを飲みほっと解放されるナティアです。

 

するとアパートの下の広場から歌声が聞こえてきます。ラドです。ナティアとエカは駆け下りて傍にいきます。眼で挨拶するナティアとラド。そこにコテが帰って来いと迎えに来ます。ナティアは断ります。コテはラドを睨みつけます。ラドの隣で歌う男性の歌がいいんです。

 

翌日、コテと不良仲間たちはラドを襲い殺してしまいます。半狂乱になったナティアは拳銃を取りに自宅に向かいます。エカはそれを必死に止めます。コテの両親は訳が分からずナティアを詰ります。ナティアは「あんたの息子は人を殺した」と言います。驚く両親。銃を奪い取ろうとするナティア。絶対渡さないエカ。ナティアはとうとう諦めます。そしてエカは湖に銃を捨てます。そしてナティアに向かって「帰ろう」と言います。二人は揃って夜道を帰ります。

 

場面は変わって刑務所。エカはこれまで母親に誘われても来なかった父親が収監されている刑務所に一人で向かいました。

そして面会の寸前、突然映画は終わります。

 

このようなストーリーを書くのも憚られるような、ストーリーというストーリーはありません。あとは想像にお任せ、みたいな感じで場面はどんどん進みます。ストーリにはあまり重要性はないみたいですが飽きることはありません。ついつい飲み込まれてしまいます。

 

このグルジアという国の当時の有り様が、映画の中に描かれているような気がしてなりません。反ソ、反ロ感情が特に強かったグルジア。その国民の怒りの感情が映画のどこかしこに現れています。ソ連からの解放と同時に、これからどこへ向かうのかという未来に対する不安が14歳の少女たちの姿を通して描かれています。

 

学校の教室の場面でナティアがカバンを投げたところを女教師に見られ、教室を出るように言われます。納得がいかないナティアですが、女教師は譲りません。止む無く教室を出るナティア。するとエカも私も同罪だから教室を出ますと、女教師に言います。女教師はその必要は無いと言います。それでもエカは出ると言う。すると教室の生徒たちが次々に教室を出ると騒ぎだし授業をボイコットします。ある種独裁的な女教師に対する生徒たちの反発。これはソ連社会主義体制の終焉を物語っているのでしょう。

 

また映画の中で女性が洗面所に立てこもるシーンが多くあります。女性蔑視の時代だったのでしょう。逃げ場所はトイレ・洗面所。国の未来もそうですが、女性にとっての未来も不透明な時代だったのだと思います。監督が女性だということもあって、その辺のところが至る所に描かれていました。

 

エカ役のリカ・バブルアニとナティア役のマリアム・ボケリアは、ともに演技未経験だったが、本作でそろってサラエボ国際映画祭の主演女優賞を受賞したそうです。この二人、とても14歳とは思えない美しい女性たちでした。

驟雨の中を走る長いシーンなど、印象深いシーンが多くありました。秀作です。

 


映画『花咲くころ』予告編

 

 

それでは今日はこの辺で。

 

この人の、この1枚 『ママス&パパス(The Mama's & The Papa's)/If You Can Believe Your Eyes and Ears』

夢のカリフォルニア」で有名なママス&パパス(The Mama's & The Papa's)です。

 

ママス&パパスは(ママ)キャス・エリオット(Cass Eliott,vo)が所属していたフォークグループ「ビッグ・スリー」とデニー・ドハーティ(Denny Doherty,vo)や後にラヴィン・スプーンフルのメンバーになるザル・ヤノフスキーらが所属していた「ヘリファックス・スリー」が合体して『マグスワンプス』が結成されますが、すぐに解散。ここにはやはりラヴィン・スプーンフルを結成するジョン・セバスチャンもいました。その後デニー・ドハーティはジョン(John PHillips,vo,g)ミッシェル(Michelle phillips,vo)フィリップス夫妻が所属する『ニュージャーニーマンに合流します。そこにジャズ・トリオでヴォーカルをとっていたキャス・エリオットが再び合流して1965年に『ママス&パパス』が結成されました。

ママス&パパスは男女混成のヴォーカルグループです。キャスとミッシェルが女性。デニーとリーダーでソングライターのジョンが男性。

そして1965年、シングルGo Where You Wanna Goでデビューします。

続いて「California Dreamin'(夢のカリフォルニア)」が全米4位、第3弾のMonday Monday」が遂に全米1位を獲得します。

そしてアルバム『If You Can Believe Your Eyes and Ears』がリリースされます。

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Side A

1.Monday, Monday

2.Straight Shooter

3.Got A Feelin'

4.I Call Your Name

5.Do You Wanna Dance(踊ろよベイビー)

6.Go Where You Wanna Go(青空を探せ)

 

Side B

1.California Dreamin'(夢のカリフォルニア

2.Spanish Harlem

3.Somebody Groovy

4.Hey Girl

5.You Baby

6.In Crowd

 

メンバーは

キャス・エリオット(Cass Elliot,vo)

デニー・ドハーティ(Denny Doherty,vo)

ジョン・フィリップス(John Phllips,g,vo)

ミシェル・フィリップス(Michell Phillips,vo)

 

参加ミュージシャンとして

P.Fスローン(P.F Sloan,g,vo)

ラリー・ネクテル(Larry Knechtel,key)

ジョー・オズボーン(Joe Osbone,b)

バド・シャンク(Bud Shank,flute on B-1)

ハル・ブライン(Hal Blaine,ds)

ピーター・ピラフィアン(Peter Pilafiaan,violin)

 

プロデュースはルー・アドラー(Lou Adler)です。

 

A-4はビートルズ、A-5はボビー・フリーマン、A-6はベン・E/キング、B-5はタートルズ、B-6はラムゼイ・ルイスのそれぞれヒット曲です。その他はジョン・フィリップスの曲になります。

 

このアルバムも全米1位となりロングヒットになりました。何といってもA-1とB-1でしょう。1960年代後半、ラジオから常にこの曲たちが流れてきました。すぐに口ずさめる分かり易いメロディーと美しいハーモニーが受けたのでしょう。日本でもポップスが人気になり始めた頃です。

そして1967年には彼らはモンタレー・ポップ・フェスティバルにも出演し、人気を博しました。

その後4枚のアルバムをリリースし、解散状態にあったものの契約上の問題で制作せざるを得なかった1971年のラストアルバムを除いては、それぞれヒットアルバムとなりました。

     

 

 

バンドはデニーとミッシェルの不倫が発覚してからメンバー間がぎくしゃくし始め、1968年にはキャス・エリオットが独立を宣言、バンドは実質上の終焉を迎えました。

 

各自ソロ活動に移行し、キャス・エリオットは1973年に亡くなるまでに7枚のアルバムをリリースしています。中にはデイヴ・メイソンとの競演盤もあります。

キャス・エリオットはサンドウィッチをのどに詰まらせて亡くなったと言われていましたが、死因は心筋梗塞だったらしいです。あの巨漢ですから十分あり得ます。32歳の若さでした。

 

ジョン・フィリップスは何枚かのソロアルバムをリリースし、デヴィッド・ボウイの映画音楽なども手がけました。2001年に心臓疾患で亡くなりました。65歳でした。

 

デニー・ドハーティも3枚のソロアルバムをリリースしましたが、2007年に66歳で亡くなりました。

 

メンバーの中でただ一人の生存者。ミッシェル・フィリップスは音楽活動と女優業を兼務しています。現在73歳。

ジョン・フィリップスとは1970年に離婚しています。その前にはバーズのジーン・クラークとの不倫、さらには離婚後、俳優のデニス・ホッパーとの結婚、1週間で離婚。その後ラジオ局の重役と結婚、2年後離婚。恋多き女性です。

 

 

ママス&パパスは1960年代後半のウェストコーストを彩った華やかなグループでした。

 


California Dreamin' - The Mamas & The Papas


The Mamas & The Papas - Monday Monday


The Mamas & the Papas - Dedicated To The One I Love


Words Of Love The Mamas & The Papas HQ {Stereo}

 

 

 それでは今日はこの辺で。

 

 

映画 今年上半期 ベスト5

早いもので今年も半年が過ぎました。

ということで今年前半に観た映画の中から印象に残った作品を5本選んでみました。

劇場で観たものに限ります。テレビやDVDは除きます。劇場と言ってもこの半年間はキネマ旬報シアター以外では観ていませんでした。

 

まず、今年観た映画を列挙してみます。

 

1月 

ヒトラーに屈しなかった国王』

僕のワンダフル・ライフ

ロダン カミーユと永遠のアトリエ』

静かなふたり

ル・アーヴルの靴みがき

 

2月

彼女がその名を知らない鳥たち

ローズの秘密の頁

『ギフテッド』

女の一生

『永遠のジャンゴ』

 

3月

ベロニカとの記憶

『早春』

『ルイの9番目の人生』

犬猿

 

4月

ベルリン・天使の詩

フェリーニに恋して

パリ、テキサス

『ラッキー』

オリエント急行殺人事件

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

 

5月

『ビガイルド 欲望のめざめ』

ウイスキーと2人の花嫁』

『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目覚め』

ウィンストン・チャーチル

『すばらしき映画音楽たち』

 

6月

ペンタゴン・ペーパーズ』

『サバービコン・仮面を被った街』

男と女、モントーク岬で

 

以上、28本でした。ちょっと少なめでした。

 

順位付けは難しいので観た順番にいきます。

 

ヒトラーに屈しなかった国王』

あまり知ることが無かったノルウェーの歴史を垣間見ることが出来ました。

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

『永遠のジャンゴ』

ジャンゴ・ラインハルトの知られざる人生とギターの素晴らしさ、それとロマ族に対するナチスの弾圧が凄まじかったことを認識させられました。

lynyrdburitto.hatenablog.com

パリ、テキサス

ジム・ベンダースの作品。リバイバルですが何度見てもいいですね。ライ・クーダーのスライドギターを存分に聴けました。

lynyrdburitto.hatenablog.com

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

もう、楽しいの一言。言葉はいりません。何度でも見たい映画。ライ・クーダーはもとより、他のミュージシャンが素晴らしい。

lynyrdburitto.hatenablog.com

ペンタゴン・ペーパーズ』

ジャーナリズムの底力と真髄を見せられました。報道・表現の自由が脅かされる危機感を感じます。

lynyrdburitto.hatenablog.com

番外編です。

 

『すばらしき映画音楽たち』

ドキュメンタリーです。映画音楽家たちの苦悩と喜びがリアルです。

lynyrdburitto.hatenablog.com

 たった半年間なのに、記憶にないものがいっぱいありました。情けない話です。

でも、このブログを書いているおかげで、読み直せば内容を思い出せます。便利です。当初のブログの目的達成です。

記事を書いていない作品もいくつかありましたが、つまらなかったというわけではなく、なんとなく筆が進まない、ということだったと思います。

記事にはしませんでしたが犬猿の姉役、お笑いニッチェの江上敬子ははまり役でした。思わず笑っちゃいました。

ポスター画像

 

 

昨年のベスト5の記事などを見ても、どうやら歴史や政治物、それに音楽に関する映画が好きなようです。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

時間の都合で見逃してしまった映画も多々ありました。

キネ旬シアターのこれからの予定を見てみると

ダンケルク』(1964年版)

『哀しみのトリスターナ』

『昼顔』

太陽がいっぱい

『太陽はひとりぼっち』

エヴァの匂い

突然炎のごとく

等、なぜか懐かしい映画が目白押しです。【華麗なるフランス映画特集】だそうです。学生時代が思い出されます。

ルイス・ブニュエルミケランジェロ・アントニオーニジョセフ・ロージー、フランソワ・トリフォー監督の作品をまた劇場で観られるなんて思いませんでした。

また、アラン・ドロンジャン・ポール・ベルモンドカトリーヌ・ドヌーブジャンヌ・モロー、モニカ・ビッティ達とスクリーンで逢える日を楽しみにしています。

キネマ旬報シアター様に感謝です。

 

 

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「映画 突然炎のごとく」の画像検索結果

 

 

 

それでは今日はこの辺で。

 

この人の、この1枚 『ジュディ・コリンズ(Judy Collins)/Who Knows Where The Time Goes』

アメリカの女性フォークシンガー、ジュディ・コリンズ(Judy Collins)

彼女は1939年、ワシントン州シアトルの生まれです。クラシックを勉強しピアノを習っていました。その腕前は大したものだったらしいです。

1960年頃、ウディ・ガスリーピート・シーガーの歌に触れ、フォークソングに目覚めました。そしてピアノをギターに変え歌うようになりました。

1967年までに7枚のアルバムを発表しています。なかでも1967年の第7作目の『野生の花(Wildflowers)』の中のジョニ・ミッチェルの「ボース・サイズ・ナウ(Both Size Now)」ビルボードの8位にランクされるヒット曲となり、1969年公開の映画『青春の光と影(Changes)』でも使用されました。日本でも『青春の光と影』という邦題がついてから売れました。それまではLPの中でも「ボース・サイズ・ナウ」となっていました。

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ちょっと見づらいですがB面の1曲目に入っています。

 

1968年にアルバム『Who Knows Where The Time Goes』をリリースします。

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Side A

1.Hello, Hooray

2.Story Of Isaac

3.My Father

4.Someday Soon

5.Who Knows Where The Time Goes

 

Side B

1.Poor Immigrant

2.First Boy I Loved

3.Bird On The Wire

4.Pretty Polly

 

参加メンバーは

ジュディ・コリンズ(Judy Collins,vo,p,g)

ティーヴン・スティルス(Steven Stills,g,b)

クリス・エスリッジ(Chris Ethridge,b)

ジェームス・バートン(Jamen Burton,g,dobro)

ジェームス・ゴードン(James Gordon,ds)

ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks,p)

バディ・エモンズ(Buddy Emmonds,steel)

 

プロデュースはデヴィッド・アンダール(David Anderle)です。

 

何といっても注目はスティーヴン・スティルスの参加でしょう。これでジュディとスティルスは恋人同士になりますが、すぐに別れてしまいます。その悲しみをスティルスはアルバム『CS&N』の中の組曲:青い眼のジュディ(Suite: Judy Blue Eyes)」という曲で歌っています。

アルバムの方は、まだまだ無名だったレナード・コーエンの曲を2曲(A-2,B-3)も取り上げています。前作では3曲も取り上げていました。それにイアン・タイソン(A-2)、サンディー・デニー(A-5)、ボブ・ディラン(B-1)、インクレディブル・ストリング・バンド(B-2)をカバーしています。A-1はアリス・クーパーも取り上げた曲。

 

参加メンバーを見てもこれまでのアコースティック・フォークアルバムからロックにやや近づいた感があります。カントリー・タッチのA-4などは新しい一面を見せます。サンディー・デニーのA-5は聴きどころとなっています。もちろんサンディーもいいですがジュディの声も合っています。

 

私などはジュディ・コリンズというとすぐに『青春の光と影』、そして当時のアメリカンニューシネマを思いだ出してまいます。この映画はニューシネマの分類には入っていなかったかもしれませんが、私の中では『俺たちに明日はない』『卒業』『真夜中のカウボーイ』『イージーライダー』『明日に向かって撃て』『いちご白書』等々の映画が次々と浮かび上がってきます。それだけこの歌の思い出はなぜか強烈でした。

 

ジュディ・コリンズ、滅多なことでは聴かなくなってしまいましたが、『野生の花(Wildflowers)』と並んで思い出の名盤です。

 


Judy Collins - Both Sides Now (Official Audio)


Judy Collins - I Pity The Poor Immigrant

 


Judy Collins - Someday Soon


Who Knows Where The Time Goes

 

 

それでは今日はこの辺で。

この人の、この1枚 『リタ・クーリッジ(Rita Coolidge)/Anytime...Anywhere』

リタ・クーリッジ(Rita Coolidge)は1945年生まれで、アメリカはテネシー州ナッシュビル出身のチェロキー・インディアンの血を引く女性シンガーです。

 

小さい頃から讃美歌を歌い、ピアノも練習していました。生まれたところがカントリーミュージックの盛んなと場所ということもあって、カントリーやR&Bにも興味を持ち始めました。15歳の時にはフロリダに引っ越し、学校などでも姉のブリシラと歌うようになりました。次に家族はメンフィスに移り住みました。そこで彼女はラジオのスポット・コマーシャルの仕事をはじめ、シングルのレコーディングもしてローカルヒットになったこともありました。

その頃、姉のブリシラがブッカーT.ジョーンズと知り合い、そこからリタも多くのミュージシャンを紹介されました。やがてラニー&ボニーと知り合いツアーに帯同するようになりました。そのツアーにはレオン・ラッセルも参加しており、彼の紹介でジョー・コッカーマッド・ドッグス&イングリッシュマンのツアーに参加しました。そこで、後にカーペンターズがヒットさせた「スーパースター」を歌って、ソロシンガーとして認められました。

そしてA&Mと契約しソロデビューを飾るのです。

1971年から1975年までに5枚のソロアルバムと、結婚した夫のクリス・クリストファーソンとのデュオアルバム2枚をリリースしました。

これらのアルバムにはいずれも凄いメンバーが参加しています。それと特徴は選曲の上手さです。才能あるソングライターの曲を多く取り上げています。

 

そして1977年にアルバム『Anytime...Anywhere』をリリースします。

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Side A

1.(Your Love Has Lifted Me) Higher And Higher

2.The Way You Do The Things You Do(あなたは最高)

3.We're All Alone(みんな一人ぼっち)

4.I Feel The Burden (Being Lifted Off My Shoulders)(心の重荷)

5.I Don't Want To Talk About It(もう話したくない)

 

Side B

1.Words

2.Good Times

3.Who's To Bless And Who's To Blame(神のさだめ)

4.Southern Lady

5.The Hungry Year

 

参加ミュージシャンは

ジェリー・マギー(Jerry McGee,g)

ディーン・パークス(Dean Parks,g)

マイク・アトレイ(Mike Utley,p,organ,Synthesizer)

ブッカーT.ジョーンズ(Booker T.Jones,p,organ,Synthesizer)

リーランド・スクラ―(Leland Sklar,b)

サミー・クリースン(Sammy Creason,ds)

マイク・ベアード(Mike Baird,ds)

ニック・デ・カロ(Nick DeCaro,strings)

アル・パーキンス(Al Parkins,pedal steel)

キム・カーンズ(Kim Carnes,vo)、クライディ・キング(Clydie King,vo) etc

 

プロデュースはファーストからリタ・クーリッジを担当しているデヴィッド・アンダーレ(David Anderle)

 

このアルバムは全米6位になりました。

A-1はゲイリー・ジャクソンのソウルナンバー。名曲です。

A-2はスモーキー・ロビンソンの曲。

A-3はボズ・スキャッグスのヒット曲。リタ・クーリッジでもヒットしました。これも名曲です。

A-4はバーズのジーン・クラークの曲。こういう曲を取り上げるところが心憎い。

A-5はダニー・ウィットンの名作。泣けてきます。

B-1はビージーズのヒット曲。

B-2はサム・クックの曲。

B-3は夫のクリス・クリストファーソンの曲。

B-4はイギリスのシンガーソングライター、マイケル・ヘイゼルウッドの曲。

B-5はニール・セダカのバラード

 

実に伸びやかな歌唱力でしっとり歌い上げる曲とテンポよく乗りに乗った曲とが合い混じって、よくバランスが取れています。

聴いていてほっとさせてくれる歌手です。

 

クリス・クリストファーソンとは1980年頃に離婚しています。

その後は日本人と結婚しているようです。

 

A-1,3,5は忘れられない曲です。

 


RITA COOLIDGE We're all alone (1977)


Rita Coolidge - I Don't Want To Talk About It


Rita Coolidge 1977 Higher And Higher

 

それでは今日はこの辺で。

映画『男と女、モントーク岬で』を観る

今日のキネ旬シアターは男と女、モントーク岬ででした。

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監督:フォルカー・シュレンドルフ

主演:ステラン・スカルスガルド,ニーナ・ホス、スザンネ・ウォルフ

制作:ドイツ、フランス、アイルランド合作 2018年公開(日本)

 

フォルカー・シュレンドルフは『ブリキの太鼓』でパルム・ドール賞、アカデミー外国語映画賞を獲った監督です。

 

この映画は男の身勝手さと過去を引きずる女々しさが女とのすれ違いを生むという、中年初老男の恋愛映画です。

 

ドイツ在住の作家マックス・ゾーンは新刊本のプロモーションでニューヨークを訪れます。ニューヨークには事実婚妻のクララが住んでいます。

 

映画はマックスの新刊本の朗読会のシーンから始まります。朗読会が終わった後、マックスは古い知り合いのウォルターに出会います。ウォルターからかつての恋人レベッカがニューヨークに住んでいると聞かされます。

居ても立っても居られなくなったマックスはニューヨークでの秘書役リンジーに早速レベッカに電話をさせます。レベッカは忙しくて会えないと断ってきます。それでも会いたいマックスはレベッカの事務所に押しかけます。

レベッカは著名な弁護士になっていました。高層ビルのエレベーターから降りてきたレベッカと久しぶりの対面をしますが、レベッカの態度はよそよそしいのです。そして冷たくあしらわれて返されます。連絡先だけを教えて引き返します。

それでも諦めきれず、今度は夜中に自宅のマンションに押しかけます。ちょうど友人が来客中でその友人が面白がって家に入れてしまいますが、レベッカは再び体よく追い返してしまいます。

翌日、レベッカから秘書のリンジーに連絡が入り、明日ロングアイランド島のモントーク岬に行くが一緒にどうかと連絡が入ります。マックスは有頂天になりクララとの約束があるにもかかわらずモントーク行きを了承してしまいます。

 

レベッカはモントーク岬にある別荘を母親のために購入するため,下見に来たのでした。ところが管理人不在で一泊せざるを得なくなりました。近くのモーテルに別々に部屋を取りましたが、その部屋は中でつながっていました。当然の如く夜は一つのベッドで、ということになります。

 

翌朝、海岸を散歩するレベッカにマックスは「クララとは別れるから、もう一度やり直そう」と言います。驚いたレベッカは「そんなことはできない」と拒否します。逆に「17年前、どうしてニューヨークを去ったの?」と訊かれます。マックスは「小説を書くことに夢中だった。ネタを探すために色々なところに行った」と答えます。さらに別な女性との間に16歳になる娘がいることも告白します。レベッカは何も知らなかったと憤慨します。

 

レベッカはマックスと別れてからのことを話し始めます。「あれから運命の人と出会った、そしてその彼は亡くなってしまった、自分は精神を病んだ、自分の精神は彼に持っていかれた、今の自分は抜け殻よ」と告げます。

 

マックスは傷心の思いでニューヨークに戻ってみると、クララは怒って自分のアパートに帰ってしまっていました。アパートを訪ねるとクララの怒りは収まりませんでした。クララはマックスがリンジーとモントークへ行っていたと勘違いしていたのです。「お前が全てだ」みたいなことを言って何とかクララをなだめます。

 

マックスが帰国する日の朗読会で、マックスは過去の恋愛についての話をします。それを聞いていたクララはマックスの心は自分の方には向いていないことを悟ります。

そしてマックスを空港に送り届け、僅かに手を振って帰ります。そしてマックスは飛行機に乗って帰国するのでした。

 

マックスの冒頭での朗読会での言葉に「後悔には2つある。やってしまった後悔とやらなかった後悔」というのがあります。やってしまったことは取り返しがつきませんが、やらなかった後悔は未然に防ぐこともできます。この”後悔”という言葉がこの映画の全編を貫いているテーマなのでしょうか。

 

男は過去の女を忘れられなくて、女々しく、うじうじとするところがあり、もう一度あの頃に戻りたいなどと考えたりすることがあります。それに引き換え、女は過去の男などきれいさっぱり忘れ去ることが出来るという違いがあるようです。

これは多分に男女の脳の仕組みの違いからきていると、何かの本で読んだ記憶があります。男の脳は「時間は繋がっている、つまり過去と現在は繋がっている」。女の脳は「時間は途切れる、つまり過去は過去、現在は現在」。男は歴史好きが多い(最近では歴女も多いですが)というのもこの辺からきている、というようなことが書いてあったような気がします。定かではありません。でもなんとなくわかるような気もします。

 

マックスのように昔の女によりを戻そうと言っておきながら、断られると今度は今の女の機嫌を取る、なんて身勝手な男だ、と思われますが、これが男の真相かもしれません。

 

マックスがインタビューに答えて「私は地中に根を張る”木”ではありません。動き回る”動物”です」と答えるシーンがあります。一つ所に留まれないのが、これまた男かもしれません。

 


【映画 予告編】 男と女、モントーク岬で

 

 

それでは今日はこの辺で。