今日の「この人の、この1枚」はエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)の『ジス・イヤーズ・モデル(This Year's Model)』です。
このアルバムは1978年リリースのエルヴィス・コステロのセカンド・アルバムです。日本ではデビューアルバムになります。
この前の年あたりから、ロック界はパンクだ、ニューウェイヴだ、と新しい波の話題一辺倒でした。我が愛読紙「ニュー・ミュージック・マガジン」もご多分に漏れず、この話題で持ちきりでした。
イギリスではセックス・ピストルズ、クラッシュ、ダムドなど、アメリカではパティ・スミス、テレヴィジョン、ラーモンズなどなどのパンク・バンド。
そしてその後に現れたのが、いわゆるニューウェイヴと呼ばれたバンド群。その中の一人として紹介されていたのがエルヴィス・コステロです。本名ではありません。プレスリーへのあこがれでしょう。
当時の雑誌ではどれをとってもニューウェイヴの記事のオンパレード。なかでもエルヴィス・コステロはべた褒めです。ただし、ファーストアルバムはまだ発売されていませんでした。それなのにこの騒ぎです。
私自身はあまり人気に左右されずに聴きたいものを聴くというスタンスでしたが、この流れに逆らえず、セックス・ピストルズやクラッシュ、ポップ・グループなど話題のバンドに手を出していました。
エルヴィス・コステロについても輸入盤でファーストを、日本での発売を期してセカンドを購入しました。
ファーストアルバムは『My Aim Is True』です。
そしてセカンドアルバムが『ジス・イヤーズ・モデル(This Year's Model)』です。
Side A
A1,No Action
A2.This Year's Girl
A3.The Beat
A4.Pump It Up
A5.Little Triggers
A6.You Belong To Me
Side B
B1.Hand In Hand
B2.(I Don't Want To Go To) Chelsea
B3.Lip Service
B4.Living In Paradise
B5.Lipstick Vogue
B6.Watching the Detectives
アルバムジャケットではエルヴィス・コステロの個人名義になっていますが、レコード盤は「Elvis Costello & The Attractions」となっています。このアルバムからバック・バンドは正式にアトラクションズと名乗りました。発売国によって曲が違っていたようです。ここでは日本盤の曲順で書きました。
メンバーは
エルヴィス・コステロ(Elvis Costello,g,vo)
スティーヴ・ナイーヴ(Steve Nieve ,p,org)
ブルース・トーマス(Bruce Thomas,b)
ピート・トーマス(Pete Thomas,ds)
プロデュースはあのブリンズリー・シュウォルツのニック・ロウ(Nick Lowe)です。
パンク・ニューウェイヴという触れ込みでしたのでどうなのかと思いましたが、中身は古いロックンロール・アルバムを聴いているような錯覚を起こしたぐらい、ポップ・ロックンロールでした。逆にそれだけ佳曲が多いということでもありました。とても聴きやすく、ある意味拍子抜けしたのを憶えています。エルヴィスを名乗るのも頷けます。
このアルバムは全英でも4位になるヒットでした。これでエルヴィス・コステロは人気ミュージシャンの仲間入りを果たしました。
この後の活躍は周知のとおりです。コステロの音楽性は多様で、好きなミュージシャンにグラム・パーソンズを上げているくらいにカントリーにも造詣が深いようです。
そしてなんといっても、あのダイアナ・クラールを娶ったのです。それも3度目の結婚だというのですから、悔しいです。その影響なのか、ジャズ・アルバムも出しています。
Elvis Costello - This Year's Girl (1978) [+Lyrics]
Elvis Costello - Living In Paradise (1978) [+Lyrics]
それでは今日はこの辺で。